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21~30話
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ストーリーは、姫と護衛騎士の恋物語。
大陸一の美姫と評判のデュメリアがその噂を聞きつけたドラゴンに拐われ、護衛騎士レガルトが討伐隊と共にドラゴンを退治して姫を救い出すというもの。
姫を救い出したレガルトは、かねてよりの想いを告白。姫も秘めたる想いを打ち明けて、二人は結ばれめでたしめでたし。
ドラゴンとの戦いにより瀕死の重傷で倒れたレガルトがデュメリアの祈りで復活したりもするけれど、まあおおよそはこんな感じだ。本を読んだことがある。
護衛騎士レガルトが登場すると、場内からは黄色い歓声が上がった。
すらりとした長身、整った顔つき。情感たっぷりの堂々とした演技は見る者を魅了する。
しかし、騎士役の俳優は演技も上手く、確かに整った顔をしていると思うけれど……やはり騎士にしては線が細すぎるし、立っているだけで滲み出る頼もしさのようなものも感じられない。
格好いいというのなら、グレニスの方がよっぽど……。
ちらりとグレニスを盗み見れば、なぜかばっちりと目が合ってしまった。
「なんでこっちを見てるんですか」
盗み見たことがばれた気まずさと、うるさい鼓動を誤魔化すように、ひそひそ声で抗議する。
舞台は向かって前方だ。こちら側じゃない。
「リヴも見てたじゃないか」
「わ、私は……グ、グレンが、ちゃんと劇を観てるか確認しただけですっ」
「なるほどな」
グレニスの声は楽しげで、私の動揺なんて全部見透かされてしまっているような気持ちになる。
「ちゃんと舞台を観ててください!」
ぷいと顔を背け、舞台に集中しようと試みる。
試みる……けれど、なんだかまだ横顔に視線が刺さっている気がする。
「ちゃんと観てますか!?」
恥ずかしくてグレニスを振り返ることはできない。
「ああ、ちゃんと見てる」
「ほんとに!?」
「もちろん」
私も舞台を観ているはずなのに、ストーリーなんてちっとも頭に入ってこなかった。
大陸一の美姫と評判のデュメリアがその噂を聞きつけたドラゴンに拐われ、護衛騎士レガルトが討伐隊と共にドラゴンを退治して姫を救い出すというもの。
姫を救い出したレガルトは、かねてよりの想いを告白。姫も秘めたる想いを打ち明けて、二人は結ばれめでたしめでたし。
ドラゴンとの戦いにより瀕死の重傷で倒れたレガルトがデュメリアの祈りで復活したりもするけれど、まあおおよそはこんな感じだ。本を読んだことがある。
護衛騎士レガルトが登場すると、場内からは黄色い歓声が上がった。
すらりとした長身、整った顔つき。情感たっぷりの堂々とした演技は見る者を魅了する。
しかし、騎士役の俳優は演技も上手く、確かに整った顔をしていると思うけれど……やはり騎士にしては線が細すぎるし、立っているだけで滲み出る頼もしさのようなものも感じられない。
格好いいというのなら、グレニスの方がよっぽど……。
ちらりとグレニスを盗み見れば、なぜかばっちりと目が合ってしまった。
「なんでこっちを見てるんですか」
盗み見たことがばれた気まずさと、うるさい鼓動を誤魔化すように、ひそひそ声で抗議する。
舞台は向かって前方だ。こちら側じゃない。
「リヴも見てたじゃないか」
「わ、私は……グ、グレンが、ちゃんと劇を観てるか確認しただけですっ」
「なるほどな」
グレニスの声は楽しげで、私の動揺なんて全部見透かされてしまっているような気持ちになる。
「ちゃんと舞台を観ててください!」
ぷいと顔を背け、舞台に集中しようと試みる。
試みる……けれど、なんだかまだ横顔に視線が刺さっている気がする。
「ちゃんと観てますか!?」
恥ずかしくてグレニスを振り返ることはできない。
「ああ、ちゃんと見てる」
「ほんとに!?」
「もちろん」
私も舞台を観ているはずなのに、ストーリーなんてちっとも頭に入ってこなかった。
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