98 / 277
21~30話
24c、いつもありがとうございます
しおりを挟む
「『デュメリア ~拐われた姫と愛の奇跡~』? これって最近話題の大衆演劇ですよね?」
マニーがうっとりと話していたのを思い出す。
人気のロマンス小説を題材にした劇で、なんでもヒーロー役の俳優がものすごく格好いいのだとか。
「そうらしいな。こういった服装だからと大衆演劇にしてみたが、オペラやオーケストラの方がよかったか?」
「いいえ! これ、気になってたんです」
劇自体にも力が入っていて、随分と凝った演出をすると聞く。
「ならよかった」
チケットをしまい直したグレニスは、最初の言葉通りすべての料理を綺麗に平らげた。
さすが人気の演目だというだけあって、上演する劇場も広い。
グレニスが手配してくれた座席は、壁に沿って左右に伸びたバルコニー席の右側最前列だった。
「ここからだと舞台全体がよく見えますね」
「そうだな」
二人がけソファへと並んで座る。
寛いだ様子でソファに凭れたグレニスは、当然のように私の腰に腕を回してぐっと抱き寄せた。
フードを脱ぐと、ようやくいつもの険しい顔が顕になる。
「大丈夫ですか? フード脱いじゃって」
「ここは薄暗いから平気だろう」
顔が見えていなくたって一緒にいるだけでドキドキするけれど、やっぱり目を見て話せる方が嬉しい。
ほどなくして、舞台の幕が上がった。
マニーがうっとりと話していたのを思い出す。
人気のロマンス小説を題材にした劇で、なんでもヒーロー役の俳優がものすごく格好いいのだとか。
「そうらしいな。こういった服装だからと大衆演劇にしてみたが、オペラやオーケストラの方がよかったか?」
「いいえ! これ、気になってたんです」
劇自体にも力が入っていて、随分と凝った演出をすると聞く。
「ならよかった」
チケットをしまい直したグレニスは、最初の言葉通りすべての料理を綺麗に平らげた。
さすが人気の演目だというだけあって、上演する劇場も広い。
グレニスが手配してくれた座席は、壁に沿って左右に伸びたバルコニー席の右側最前列だった。
「ここからだと舞台全体がよく見えますね」
「そうだな」
二人がけソファへと並んで座る。
寛いだ様子でソファに凭れたグレニスは、当然のように私の腰に腕を回してぐっと抱き寄せた。
フードを脱ぐと、ようやくいつもの険しい顔が顕になる。
「大丈夫ですか? フード脱いじゃって」
「ここは薄暗いから平気だろう」
顔が見えていなくたって一緒にいるだけでドキドキするけれど、やっぱり目を見て話せる方が嬉しい。
ほどなくして、舞台の幕が上がった。
応援ありがとうございます!
3
お気に入りに追加
1,243
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる