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51~60話
53a、甘酸っぱい臭い
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すっかり日も沈んだ頃。
グレニスが帰宅したとの報せを受けて、大急ぎで玄関へと向かう。
「グレン……っ!」
駆けつけた勢いのまま広い胸に飛び込めば、グレニスは僅かも揺るがずしっかりと抱きとめてくれた。
「おかえりなふぁい!」
ああ、何週間ぶりだろう。
厚い胸板、力強い腕、そしてこの……
すんすんすんすん
「ただいま、リヴ。会える日を楽しみにしていた。道中大事なかったか?」
「はい、順調な旅路れした」
『おかえりなさい』『ただいま』
なんだか家族になったかのようなやり取りに、むずむずと嬉しさが広がっていく。
これからはずっとグレニスと一緒に暮らせるのだ。
頬をくすぐられてにこにこと顔を向ければ、流れるような動作で口付けが落ちた。
「!!」
そうだった!
グレニスが頬をくすぐるのは口付けの催促なのだった!!
恐る恐る視線だけで周囲を窺うと、執事長はグレニスから預かった荷物を手に、少し離れた位置で顔を俯け、静かに控えている。
いや、問題は執事長だけではない。この場には他の使用人だって———
「……俺といて余所見するとはいい度胸だな?」
「あぅ……」
片手でむにゅっと両頬を掴まれ、ピヨピヨと唇が突き出る。
グレニスが帰宅したとの報せを受けて、大急ぎで玄関へと向かう。
「グレン……っ!」
駆けつけた勢いのまま広い胸に飛び込めば、グレニスは僅かも揺るがずしっかりと抱きとめてくれた。
「おかえりなふぁい!」
ああ、何週間ぶりだろう。
厚い胸板、力強い腕、そしてこの……
すんすんすんすん
「ただいま、リヴ。会える日を楽しみにしていた。道中大事なかったか?」
「はい、順調な旅路れした」
『おかえりなさい』『ただいま』
なんだか家族になったかのようなやり取りに、むずむずと嬉しさが広がっていく。
これからはずっとグレニスと一緒に暮らせるのだ。
頬をくすぐられてにこにこと顔を向ければ、流れるような動作で口付けが落ちた。
「!!」
そうだった!
グレニスが頬をくすぐるのは口付けの催促なのだった!!
恐る恐る視線だけで周囲を窺うと、執事長はグレニスから預かった荷物を手に、少し離れた位置で顔を俯け、静かに控えている。
いや、問題は執事長だけではない。この場には他の使用人だって———
「……俺といて余所見するとはいい度胸だな?」
「あぅ……」
片手でむにゅっと両頬を掴まれ、ピヨピヨと唇が突き出る。
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