（完）浮気ぐらいで騒ぐな？ーーそれを貴方が言うのですか？

それぞれの末路

19 おまけ キャサリンの再生

　これは読者様のリクエストによるものでして、キャサリンの再生の物語です。




　私は炭鉱を出てからコンラッドの話を聞いた。その身の毛もよだつ犯罪を聞き、その子を父として産まれた我が子を思った。

――どうしたらいい？　私は罪深い男の子供をこの世に産みだしてしまった。自分に今できることはなにかを目を閉じて考えると･･････被害者の方の為にまずは祈りを捧げたい！


　規律の厳しい修道院を訪ね理由を話し、いさせてほしいと頼むと2年祈りを捧げなさいと言われた。毎日朝方の4時から起きて祈りを捧げ清い質素な生活を毎日続けると、物欲や人を妬む心は自然と薄くなっていった。
　
　全ては死ぬまでの短い一生を、精一杯生きるためだけに与えられた命。自分なりにただ正直にまっすぐに生きていけばいい。そんな簡単なことがわからなかったいままでの私の愚かさを改めて思い知る。

　2年はあっという間にすぎて私は、イシド伯爵家を訪ねることにした。

――門前払いされるかもしれないわ。でも、お礼も言いたいし･･････

　散々迷った末に叩いたドアは思いのほか、あっさり開かれた。

「どうぞ、奥様がお会いするそうです」
　門番が開けてくれた門をくぐると、見事な薔薇が咲き誇るなかにアメリア様がほほえんでいた。

「キャサリンが修道院でお祈りを捧げていたことは聞いていますよ。あそこの修道院の院長をは昔から交流がありますからね。今日の要件もわかっていますよ」

「はい、私が産んだ子の行く末が心配なのです。そんな男の血を引いた子どもならば、犯罪者になる可能性はないのだろかと･･････それだけが心配なのです」

「そうね。100パーセントないとは誰も言えないけれど、環境や育てられ方が大きいし周りにいる大人の影響も大きいと思うわ。貴女が身近に仕えて見守ってあげなさい」

　私はそれからお金持ちの夫婦の侍女として雇われた。この子供も夫婦も私が母親だということは知らない。なにも知らされていない夫婦とその養女になった娘に、私は誠心誠意お仕えした。

　このお嬢様が悪いことをすれば本気で涙を流してしかり、良い事をしたときも涙を流して褒めた。

「うちの侍女のキャサリンは第2のお母様みたい！　本当に心から愛してくれるのがわかるから悲しませたくないって、いつも思うわ」
　優しい言葉を言ってくれるお嬢様（娘）に涙がまた止まらない。この大事なお嬢様を一人前に立派に育てあげるお手伝いをすることが私の仕事だ。

　週末には教会で祈りを捧げ、孤児院のボランティア活動にも行く。私ができることを毎日毎日丁寧に積み重ねていく日々。

　もし、このお嬢様が少しでも猟奇的殺人者になる片鱗が見られたらこの手で･･････そして自分も･･････と思ってもいたが、そんな日はおとずれなかった。

　お嬢様は素直な良い子に成長し幸せな結婚をし、今はその子供3人を寝かしつけている私だ。

「キャサリン、大好きよ。ずっと側にいてね！」
　お嬢様の子供達（孫）が私に抱きつき、嬉しい言葉を言ってくれた。

　私は死ぬまで祖母とは名乗れなくても、とても幸せだ。大事な人が側にいてその幸せを見守っていられる幸せ。あぁ、神様、ありがとうございます。

　そしてあのコンラッドに殺された被害者のためにも、これからも毎日祈ることを続けます。



おしまい


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以下宣伝です。ご不快に感じられたら申し訳ありません(( ⁎′̥̥̥ ⌑ ‵̥̥̥ ))





ライト文芸
「愛を教えてくれた人」
本日は、柊君の復讐劇になっております。