兄皇帝は妹皇女を深く愛する

青空一夏

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迎えにきた皇帝

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 妹が娼館に連れていかれた時から、わたしは臣下を次々と味方につけていた。

ときには汚い手を使っても、とにかく一刻も早く皇帝にならなければならない‥‥例え、父の皇帝を殺しても‥‥

父皇帝の側近を失脚させ、血の粛清をしていく。

「この裏切り者が!そなたは余の息子だろう?なぜ、こんなことをする?」


「エリザベスのためです。わたしは彼女を妻に迎えたい」


「皇妃にという意味か?無理だな。あいつは大衆娼館にわざと行かせた。誰とでも、何人でも客をとらせられる、最悪の娼館に。あれから半年も経つ。身体もぼろぼろで、命すらないかもしれない」


「まさか!!エリザベスは高級娼館に行かせたのではないのですか?
そこなら半年は客はとらされないはずだ。欺しましたね?わたしを?」

「もうすっかり、娼婦になってる女が皇妃になどなれるものか!!」

「そうでしょうか?誰がそんなことを決めたのですか?」

「誰がだと?前例がないし、娼婦が皇妃になっている国などきいたことがない!」

「そうですか。ならば、この私が最初の皇帝になります。前例がないならこれから作ってみせましょう」


わたしは前皇帝を離れに幽閉しようとしたが、皇帝はなにを思ったかわたしに剣を抜いて斬りかかってきた。

とっさにこちらも剣を抜き、ばさりと切り捨てると一瞬、皇帝の目が正気に戻った。

「もっと早くにお前は余を斬るべきだった‥‥」
そう言いながら崩れおちていく皇帝があわれだった。









エリザベスがいると聞いた娼館は「快楽園」

中は品のないショッキングピンクの安っぽい壁紙が貼られ、赤の絨毯もシミだらけで不潔なかんじが漂っていた。

まさに大衆向けの平民が来るところじゃないか!!

女将を捕まえて聞くと、少しお待ちください、などと言ってもう2時間も待たされていた。

いったい、ここで、本当に働いているのだろうか?

わたしの可愛い愛おしい皇女がここで‥‥







「あのぅーー大変、申し訳ございません。エリザベス様はお加減が悪いようで今日のところはお帰りください」


「え?体調が良くないのか?ならば、王宮にすぐに連れて帰る」

「あ、いいえ‥‥その‥‥エリザベス様がお会いしたくないと‥‥」

「え?」
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