(完結)夫に浮気されたのは嫁の私が至らないせいだそうです

青空一夏

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6 イボンヌ強し!

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「そうですとも! 家柄よりも後ろ盾があるかないかですわ。青物屋はとても儲かっていますし、うちは王妃殿下ご贔屓のお店なのですよ。皆様も王妃殿下の美しさを知っていらっしゃるでしょう? あれはうちの新鮮な野菜を召し上がっているからですわ。これは秘密ですよ」

(なんて大胆な嘘をつくのかしら。王妃殿下が召し上がる野菜は、ルビー宮奥の農園で作られたものだけなんだけど)

「え? もしかして、秘密の側近がいるってイボンヌさんのことかな? 王妃殿下の若さと美しさはその者の”魔法の手”によって維持されている、という噂を聞いたことがあるよ。見た者はいないし、名前も家柄もわからない。単なるデマで、影と同じように王家にまつわるただの伝説だと思っていたけど・・・・・・」
 ショーンが眩しそうにイボンヌを見る。

(伝説じゃないって。影はいます)

「え? 秘密の側近? あぁ、うん、それですわ。その秘密の”魔法の手”はこの私ですわ!」

(いや、それはどう考えてもこの私よね? )

「え! ということは、イボンヌさんは王妃殿下のお気に入り?」
 とショーン。

「それはすごい。ここにずっといるといい」
 目を輝かせたのはギガンテッド元男爵。

 男性陣二人はすっかり感心して、イボンヌを女神のように拝んでいた。

(秘密の存在がそう簡単に秘密を漏らすわけないのになぁ・・・・・・なんて浅はか・・・・・・吹き出しそう)

「そんなの嘘でしょう? 王妃殿下のお気に入りだなんていいかげんなことを言わないで! 本当ならここで証明してみせてよ! 王宮に出入りできる身分証明書とか持っているはずよねぇ・・・・・・」

 ジェンナ様は負けじとイボンヌに挑みかかる。

「証明なんてできませんわ。だって私は秘密の存在ですよ? 証明書は特別なもので、人に見せることは禁じられています。見せた私も見せろとせがんだ者も、王妃殿下から厳しく罰せられますからね。ショーン様のお母様が酷い目に遭うなんて耐えられませんわ。ですから、今のお言葉は聞かなかったことにしてあげます」

「・・・・・・」

 言い返せず固まってしまうジェンナ様。

(とりあえず、この瞬間はイボンヌが勝利者なのかな? もっと、言い返せばいいのに・・・・・・さすがのジェンナ様も王妃殿下に罰せられる、と言われたら言い返せないのかしら?)






「ところで、夕食の用意をしなくてはなりませんわね。具合が良くなったのなら、イボンヌ手伝ってくれる?」

 私は頃合いをみて、イボンヌに声をかけた。

「ダメだ! 体調の良くないイボンヌさんになんてことをお願いするんだ! ジェンナ! お前が手伝え。イボンヌさんはお客様だぞ」

 ギガンテッド元男爵は自分の妻にそう命令した。またもや、びっくり!

「はぁ? なんで私がこんな小娘のために?」

「いいから! この方は王妃殿下のお気に入りなんだぞ! ショーンが文官で出世するかもしれないのだ。早くパトリシアと一緒に食事の支度をしろ! パトリシア一人よりジェンナと二人でやった方が早くできるだろう?」

「・・・・・・信じられない・・・・・・この私がお料理をするなんて・・・・・・」

 ブツクサと文句を言い続けるジェンナ様に、私はなんの下処理もしていない魚を手渡す。

「さぁ、お義母様。口を動かす暇があったら手を動かしてくださいね! 中にハーブを入れて蒸しますから、このお魚のお腹を切って内臓を綺麗に取り除いてくださいな」
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