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20 最終話
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国中に響き渡る祝福の鐘に人々は歓喜に酔いしれた。王太子妃殿下になる私はパン職人でしかも聖女だ。いまだかつて存在しなかった異例の王太子妃の誕生は民衆達に大歓迎された。
たくさんの観衆のなか、手を振る私は純白のウェディングドレスに身を包む。恥じらいながらもバージンロードを歩み、その先には最愛のセオドリック王太子殿下がいる。一歩一歩を神妙な思いで進んで行くと、今までのさまざまな場面が思い出された。
悲しい言葉しか言われなかったカスパー第二王子殿下との苦い思い出、唯一の癒やしだったセオドリック王太子殿下との大切な時間。それから、愛し慈しんでくれた両親と紡いできた優しい時間。それらは今この瞬間混ざり合い溶け合い、カスパー第二王子殿下との思い出すらも、美しい時間に変えてしまう。あの辛い時間があるから今この瞬間がなお一層輝くのだから。
わたし達はお互いに誓いの言葉を述べ、愛の口づけを交わす。大聖堂に列席した貴族達の中には不満げな表情を浮かべる者もいた。私が平民出身だから侮る貴族もいるのは確か。それでも、わたし達はお互いに助け合い支え合って生きていくのよ。
大聖堂から一歩外にでると民衆達が拍手喝采しわたし達を祝福してくれた。皆の顔が喜びに輝き、わたし達に多くの期待を寄せていることがわかる。
陽が傾き空が鮮やかなオレンジ色に染まっていくなか、肩を寄せ合って民衆に手を振っていると、セオドリック王太子殿下が私の頬に口づけた。嬉しくて自分の頬が染まるのがわかる。夕陽に照らされた私はきっと真っ赤なトマトのようになっている。
「わぁーー!! おめでとうございまぁす!!」
「アンジェリーナ王太子妃殿下ーー!! 万歳!!」
「セオドリック王太子殿下、万歳!!」
そうして、ドラゴン王がわたし達の前に舞い降りて、背中に乗せ夕焼けに染まる大空を優雅に一回りした。歓声がますます大きくなり、祝いの音楽が高らかに響き渡ったのだった。
完
※花嫁のイラストは青空イラストギャラリーにあります。
たくさんの観衆のなか、手を振る私は純白のウェディングドレスに身を包む。恥じらいながらもバージンロードを歩み、その先には最愛のセオドリック王太子殿下がいる。一歩一歩を神妙な思いで進んで行くと、今までのさまざまな場面が思い出された。
悲しい言葉しか言われなかったカスパー第二王子殿下との苦い思い出、唯一の癒やしだったセオドリック王太子殿下との大切な時間。それから、愛し慈しんでくれた両親と紡いできた優しい時間。それらは今この瞬間混ざり合い溶け合い、カスパー第二王子殿下との思い出すらも、美しい時間に変えてしまう。あの辛い時間があるから今この瞬間がなお一層輝くのだから。
わたし達はお互いに誓いの言葉を述べ、愛の口づけを交わす。大聖堂に列席した貴族達の中には不満げな表情を浮かべる者もいた。私が平民出身だから侮る貴族もいるのは確か。それでも、わたし達はお互いに助け合い支え合って生きていくのよ。
大聖堂から一歩外にでると民衆達が拍手喝采しわたし達を祝福してくれた。皆の顔が喜びに輝き、わたし達に多くの期待を寄せていることがわかる。
陽が傾き空が鮮やかなオレンジ色に染まっていくなか、肩を寄せ合って民衆に手を振っていると、セオドリック王太子殿下が私の頬に口づけた。嬉しくて自分の頬が染まるのがわかる。夕陽に照らされた私はきっと真っ赤なトマトのようになっている。
「わぁーー!! おめでとうございまぁす!!」
「アンジェリーナ王太子妃殿下ーー!! 万歳!!」
「セオドリック王太子殿下、万歳!!」
そうして、ドラゴン王がわたし達の前に舞い降りて、背中に乗せ夕焼けに染まる大空を優雅に一回りした。歓声がますます大きくなり、祝いの音楽が高らかに響き渡ったのだった。
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※花嫁のイラストは青空イラストギャラリーにあります。
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