8 / 1,006
8.編入
魔術院への入学までの間、
誠一は出来る限りの情報を集めていた。
ミシャの監視が少々、煩わしかったが、
露骨な妨害をするでもないため、放っておいた。
魔術院に向かう当日、誠一は、ミシャに釘を刺した。
「廃嫡の件のみは皆に伝えておいてくれ。廃嫡の件はな。
爺なら、それ以上のことを言わなくなくても判るだろう」
にやりとして、馬車に乗り込んだ。
ミシャは、ただただ頷くだけだった。
魔術院の建物が誠一の眼に入ると、
13歳らいしい声をあげてしまった。
如何にも魔術の学び舎といった建物、
黒を基調とした雰囲気が彼の想像と合致していた。
バッシュは魔術院の建物を訪れることが滅多になかった。
そのために誠一はこの建物をじっくり見るのは初めてであった。
正門を通り過ぎると、魔界に落とされた者たちの
怨嗟の声のようなものが馬車まで届いた。
その声は尽きることなく響いていた。
「なんだ?一体?大規模な魔術の行使でも行われているのか?」
誠一が呟くと、付き人がそれに答えた。
「これはどうもあちらの方角から聞こえます。
人々の断末魔のようです」
誠一は言われた方に視線を向けると、ぎょっとした。
ローブに身を包んだ人たちが走っている。
そして、模擬刀を持った何名かがへたり込みそうな者たちに
刀を振るって追い込んでいた。
「これは一体?何の罰なのか?」
「いえ、恐らく10数年前から組み込まれている
授業の一環かと思われます。
ここまで、厳しいとは思っておりませんでしたが」
付き人の話によると、10数年前のバッシュとの戦いに
参戦していた大賢者の発案で始まったようであった。
魔術師にも体力は必須であるとの主張であった。
「戦の最中、息を切らしているようでは、
まともな魔術行使は出来ないとの事から、
今ではどこの魔術院でも当たり前の様に行われています。
一説には、長距離を走るだけなら、
同世代では魔術師が一番だとかと噂されています」
倒れているローブ人たちを見るに体力に
あまり自信のない誠一は、一抹の不安を抱えつつ、
編入のための手続きに向かった。
大賢者、ファウスティノ・ソリベス・セドゥは、
現魔術院の学院長であり、13年前の大逆者バッシュを
退けた英雄の1人であった。
魔術師としては、新しい魔術を生み出すといったことより、
無言詠唱、複数の同時魔術、ストック魔術、
体力の必要性という魔術運用、行使に
新たな一石を投じた人物であった。
誠一は、大賢者と対面していた。無論、編入ためであった。
全てを見透かしたような視線を誠一に送る大賢者が言った。
「ふむ、半年の遅れを追いつくことができるかな。
学識は、君の努力次第ですぐにでも追いつけよう。
しかし、体力、持久力はどうかな?
追いつくには血の出るような努力が必要になろう。
できるかな?」
誠一は、「何を馬鹿なことを」
と内心で思いつつも先ほどの情景が脳裏に映った。
「何時間にも及ぶ大魔術の詠唱には
学識才能など何の助けにもならんよ。
詠唱しきる体力が最も重要となる。
無論、魔術の発展と共に変わるであろうが、
集中力を持続するためにも体力は必要であり、
迷宮を探索するにも徹夜作業にも必要である」
誠一は思った。
この爺さんは社畜戦士でも育成しているのかと。
そんな思いとは裏腹に誠一は殊勝に答えた。
「全力で同期の方々に追いつけるように努力いたします」
大賢者は何も言わずにしばらく誠一を見つめていた。
ため息一つつくと、
「今、どのくらいの差が同期生とあるか、知ることも必要だのう」
1人の講師を呼ぶと、練兵場に向かうように伝えた。
誠一は出来る限りの情報を集めていた。
ミシャの監視が少々、煩わしかったが、
露骨な妨害をするでもないため、放っておいた。
魔術院に向かう当日、誠一は、ミシャに釘を刺した。
「廃嫡の件のみは皆に伝えておいてくれ。廃嫡の件はな。
爺なら、それ以上のことを言わなくなくても判るだろう」
にやりとして、馬車に乗り込んだ。
ミシャは、ただただ頷くだけだった。
魔術院の建物が誠一の眼に入ると、
13歳らいしい声をあげてしまった。
如何にも魔術の学び舎といった建物、
黒を基調とした雰囲気が彼の想像と合致していた。
バッシュは魔術院の建物を訪れることが滅多になかった。
そのために誠一はこの建物をじっくり見るのは初めてであった。
正門を通り過ぎると、魔界に落とされた者たちの
怨嗟の声のようなものが馬車まで届いた。
その声は尽きることなく響いていた。
「なんだ?一体?大規模な魔術の行使でも行われているのか?」
誠一が呟くと、付き人がそれに答えた。
「これはどうもあちらの方角から聞こえます。
人々の断末魔のようです」
誠一は言われた方に視線を向けると、ぎょっとした。
ローブに身を包んだ人たちが走っている。
そして、模擬刀を持った何名かがへたり込みそうな者たちに
刀を振るって追い込んでいた。
「これは一体?何の罰なのか?」
「いえ、恐らく10数年前から組み込まれている
授業の一環かと思われます。
ここまで、厳しいとは思っておりませんでしたが」
付き人の話によると、10数年前のバッシュとの戦いに
参戦していた大賢者の発案で始まったようであった。
魔術師にも体力は必須であるとの主張であった。
「戦の最中、息を切らしているようでは、
まともな魔術行使は出来ないとの事から、
今ではどこの魔術院でも当たり前の様に行われています。
一説には、長距離を走るだけなら、
同世代では魔術師が一番だとかと噂されています」
倒れているローブ人たちを見るに体力に
あまり自信のない誠一は、一抹の不安を抱えつつ、
編入のための手続きに向かった。
大賢者、ファウスティノ・ソリベス・セドゥは、
現魔術院の学院長であり、13年前の大逆者バッシュを
退けた英雄の1人であった。
魔術師としては、新しい魔術を生み出すといったことより、
無言詠唱、複数の同時魔術、ストック魔術、
体力の必要性という魔術運用、行使に
新たな一石を投じた人物であった。
誠一は、大賢者と対面していた。無論、編入ためであった。
全てを見透かしたような視線を誠一に送る大賢者が言った。
「ふむ、半年の遅れを追いつくことができるかな。
学識は、君の努力次第ですぐにでも追いつけよう。
しかし、体力、持久力はどうかな?
追いつくには血の出るような努力が必要になろう。
できるかな?」
誠一は、「何を馬鹿なことを」
と内心で思いつつも先ほどの情景が脳裏に映った。
「何時間にも及ぶ大魔術の詠唱には
学識才能など何の助けにもならんよ。
詠唱しきる体力が最も重要となる。
無論、魔術の発展と共に変わるであろうが、
集中力を持続するためにも体力は必要であり、
迷宮を探索するにも徹夜作業にも必要である」
誠一は思った。
この爺さんは社畜戦士でも育成しているのかと。
そんな思いとは裏腹に誠一は殊勝に答えた。
「全力で同期の方々に追いつけるように努力いたします」
大賢者は何も言わずにしばらく誠一を見つめていた。
ため息一つつくと、
「今、どのくらいの差が同期生とあるか、知ることも必要だのう」
1人の講師を呼ぶと、練兵場に向かうように伝えた。
あなたにおすすめの小説
異世界帰りのハーレム王
ぬんまる兄貴
ファンタジー
俺、飯田雷丸。どこにでもいる普通の高校生……だったはずが、気づいたら異世界に召喚されて魔王を倒してた。すごいだろ?いや、自分でもびっくりしてる。異世界で魔王討伐なんて人生のピークじゃねぇか?でも、そのピークのまま現実世界に帰ってきたわけだ。
で、戻ってきたら、日常生活が平和に戻ると思うだろ?甘かったねぇ。何か知らんけど、妖怪とか悪魔とか幽霊とか、そんなのが普通に見えるようになっちまったんだよ!なんだこれ、チート能力の延長線上か?それとも人生ハードモードのお知らせか?
異世界で魔王を倒した俺が、今度は地球で恋と戦いとボールを転がす!最高にアツいハーレムバトル、開幕!
異世界帰りのハーレム王
朝7:00/夜21:00に各サイトで毎日更新中!
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?
山咲莉亜
ファンタジー
ある日、高校二年生だった桜井渚は魔法を扱うことができ、世界最強とされる精霊王に転生した。家族で海に遊びに行ったが遊んでいる最中に溺れた幼い弟を助け、代わりに自分が死んでしまったのだ。
だけど正直、俺は精霊王の立場に興味はない。精霊らしく、のんびり気楽に生きてみせるよ。
趣味の寝ることと読書だけをしてマイペースに生きるつもりだったナギサだが、優しく仲間思いな性格が災いして次々とトラブルに巻き込まれていく。果たしてナギサはそれらを乗り越えていくことができるのか。そして彼の行動原理とは……?
ロマンス、コメディ、シリアス───これは物語が進むにつれて露わになるナギサの闇やトラブルを共に乗り越えていく仲間達の物語。
※HOT男性ランキング最高6位でした。ありがとうございました!
※完結後、三人称一元視点に変えて全話改稿する予定です。規約を確認してから決めますが、こちらも残したいと思っています。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~
仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。
ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。
ガチャ好きすぎて書いてしまった。