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10.閑話 とある会社の情景1

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 西暦2449年、現在。
人類は、2000年代も半ばに突入しているが、
宇宙開発は思うように進んでおらず、
月と火星に居住区があるだけで、
人類の大半は地球で生活をしていた。

 最盛期には70億を数えた人類も
度重なる天災と大戦により、20億程度まで減少していた。
人類は過去に学ばず、愚考をいまだに繰り返していた。
それは、職場というフィールドにおいても同様であった。

 株式会社山田電設の総務兼経理部に
勤める佐藤千晴は、生活のためとはいえ、
毎日の通勤が憂鬱だった。
始業は8:00であったが、各管理職へのコーヒーの準備、
謎の朝礼の段取り等々で7:00には会社へ千晴は出勤していた。
 同僚と挨拶を交わすと千晴は、マイクと朝礼台の設置、
同僚はコーヒーの準備を開始した。
管理職が出社する毎にコーヒーを配膳し、
にこやかに挨拶をする。
そして、8:00より担当管理職により朝の朝礼が開始される。
社是の唱和と社歌斉唱に始まり、社員の5分スピーチ、
そしてありがたい管理職のお話し。
ここまで約30分の時間を千晴は常々、時間の浪費と思っていた。
その後、各部署のミィーティングが毎日の流れであった。
実際に仕事が始まるのは、8:45くらいからであった。

 株式会社山田電設は、ビルやテナントの
電気・計装工事の中堅会社であった。
体質は古く、いまだに体育会系の雰囲気が会社を支配していた。

総務部の課長の島崎が千晴の仕事をチェックするためか、
彼女の後方から右肩口に近づいた。
左手は彼女の左肩に添えられていた。
「ふむ、佐藤さん。今日は中々にペースが遅いね。
こうするとより早く作業が進むと思わないかな?」
島崎は左腕をそのまま伸ばし、彼女に覆いかぶさるようにして、
左の人先指で机の上を軽く叩いた。
そのため、千晴の左胸に島崎の左腕が密着していた。
島崎の若干乱れた呼吸が彼女の耳に聞こえた。
5分程、島崎は彼女の胸の感触を楽しんでいたが、
内線がかかってきたために席に戻った。
千晴は、ため息をつくと、仕事を再開した。
21時過ぎ、事務所は一か所を除いて、消灯していた。
18時以降は、基本サビ残であった。
千晴は、16時頃に突然、大量に持ち込まれた
出張処理清算書の処理に追われていた。
明日の締め日までに完了させないと入金が
15日遅れるためであった。
工事部の部長直々のお達しに島崎はペコペコしながら、
引き受けていた。
他の面々は、約束が家族がとぶちぶち島崎に圧力を加え、
定時で帰宅していた。
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