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173.閑話 とある外食での情景1

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 千晴は、清涼や莉々子から聞いた
イベント攻略報酬なるものをオープンしていた。

「うわっ、めっちゃクリアーされてるじゃん」

ポチポチと宝箱のようなものを押して、
イベント報酬を受け取る千晴だった。
ありきたりなアイテムしか出なかったが、
最後に開けた宝箱は、どうやら特別なアイテムが
入っていたようだった。

上位魔人撃破報酬:瞬足の足袋

何となく凄そうだったので、ピンチの時にでも
送ろうとアイテムボックスのわかりやすい所に
収納した。

休日の初日は、ゲームとビールで過ぎてしまった。

流石に一日中、ゲームというのも健康上、精神衛生上、
よろしくないと思い、朝食後に外出することに千晴は決めた。
その前に「ヴェルトゥール王国戦記」へアクセスした。

「ゲロゲロー、何なん」
画面を見て、奇声を発してしまった。

モニター上で誠一がリシェーヌとオニヤの前で
自慰行為に耽っていた。

千晴は、顔を赤らめながらも、誠一の行為を
終わりまで見てしまった。

「はぁはぁ。まったくなんてものを
朝っぱら、見せてくれんのよ」
悪態を突きながらも千晴はベッドにまた、
潜り込み、もぞもぞし始めた。

 最悪だ。千晴は、午前中の行為で自己嫌悪に陥っていた。
ベッドから起き上がり、シャワーを浴びると既に
11時を回っていた。
ゲームにばかり依存する訳にはいかないと思い、
外食でもしようとふらりと外出をした。

 きょろきょろ、視線を感じたような気がしたため、
周囲を見渡すが、人影は見当たらなかった。
気のせいだと思い、駅前に向かった。

 駅前に来たのはいいが、さほど大きな駅でもなく、
古びたアーケード通りがあるだけであった。

ノスタルジックな雰囲気が残っているこの商店街は、
そういった雰囲気を好む層にそれなりの評価を受けていた。
休日ともなれば、その雰囲気を楽しむために
遠方からもそれなりに人が集まり、賑わっていた。

 先月の残業時間が少なかったこともあり、
現在の千晴の懐事情はあまり良くなかった。
選択肢は限られていた。
定期を利用して、別の街へ移動して、
お洒落なお店でランチ。
もしくは、安い・沢山・味そこそこの中華定食。
お財布を覗くと、自然と足は中華屋に向かった。
料理人の入れ替わりが多ために、
味が安定しないとの評判だが、
一定以上のクオリティは維持しているため、
千晴は行けば頼む安定のセットに中ジョッキを
頼んだ。

 提供された料理は、圧巻のボリュームであった。
麻婆豆腐の辛さでビールが進む。
誘惑に勝てず、二杯目を頼む千晴だった。
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