転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

181.中等部昇格試験2

「いやさ、ヴェルは、その好きな女性って
いないのかな？」
軽いノリで聞くつもりが、声が強張ってしまったが、
シエンナもその言葉を聞いて、真剣な表情で
ヴェルを見つめいてた。

二人に真剣な表情で見つめられているヴェルは、
訝しげな表情を更に曇らせていた。
「なんだよ、藪から棒にそんなことを聞いて。
今は講義中だろ。そんな話は後々だ」

「おっおい、なんとか言えって、二人とも」

「ヴェル、せめて好みの女性だけでも今、言って。
じゃないと講義に集中できない」
シエンナは、真剣な表情を崩さなかった。
シエンナも気になっていたのだろう。

「はぁ？ったく、急に一体なんなんだ。
まあ、いいけど。
そうだな、俺は、おしとやかで控えめな女性がいいな。
家事全般が得意で俺の帰りを心配して、
寂しそうに待っているけど、家のドアを開けると
笑顔いっぱいで迎えてくれる女性だ。
街を一緒に歩いていれば、自然と寄り添ってくる
そんな女性だ。
間違っても人前で下品に絡み合っているような
あそこの奴らじゃない。
俺からみれば、シエンナやリシェーヌも
あそこの連中と同じようで好みじゃない」
ヴェルは、言うべきことは言ったという感じで
講義に耳を傾け始めた。

誠一はほっとした半面、これは難しいなと思った。
一先ず変な疑惑は解けたためにほっと一息ついて、
講義に集中した。
隣ではシエンナが顔を真っ赤にしながら、
何かを言い返そうとしているが、
どうにも上手く言葉が浮かんで来ないようであった。
そのうちシエンナもばからしくなったのか、
いつの間に講義を聴いていた。

こうして彼らの他愛ない日常の一幕は、過ぎていった。

　中等部昇級試験が始まった。

実技に試験、そして最後に指定迷宮の探索が
主であった。
講義科目は初等部より専門性が高くなり、
実技は多岐に渡った。

「うおおっーついについにこの時が来たっ」
どの項目でもその日のうちには結果が伝えられるため、
その日にあった科目の結果に講堂でヴェルが吠えていた。

解体・選別、保管の実技でヴェルが他の追従を
許さぬほどの結果を取っていた。

無論、トップであった。

ファブリツィオやその他の中・上流階級の子弟は、
軒並み低調な結果であり、誠一はどうにも
苦手意識が足を引っ張り、ヴェルの後塵を拝した。
シエンナは解体の丁寧さでは、ヴェル以上であったが、
速度に置いて大きく引き離されていた。

「ふん、騒がしい。
そのような卑職は、荷役にでもやらせれば良いんだ。
騒ぐ程のことでもない」
心の底からファブリツィオにとって、
この教科はどうでもいいようであった。
それは他の貴族の子息たちにとっても
同様のようであった。

ヴェルを見る瞳は、どれも侮蔑と嫌悪の色が混じっていた。
若干だが、それらの目線に項垂れるヴェルだった。