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291.旅路9
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「神でも物の怪でもないのだが。
新たなる巫女が現れるまでここを清浄に保つのが
終わることなき我が仕事」
「さてどうしたものやら。
天狗は些か故郷で斬り過ぎた故に面白くない」
殺気を解いて、のほほんとする剣豪であった。
「啓示を受ける者が1人だけいる。
奥殿に向かう資格はあると思うがどうでござる?」
表情に乏しい天狗の顔の一部がピクリとした。
「良かろう。ただし一人で行ってもらう。
神託の儀に失敗したら、秘中の秘のため、その者には死んで貰うがよいな」
「了解した。失敗すれば、貴殿が殺すのであろう」
誠一の預かり知らぬところで運命は決した。
彼は神託の儀に失敗すれば、殺される運命となった。
「ちょっと、二人で何を勝手な事を決めているのよ。
アルに確認すべきことでしょ!」
キャロリーヌが二人に割って入り、反論した。
かなりの音量に天狗は眉を顰めた。
意外と感情の豊かな天狗なのかもしれない。
「ふむ、断ることはできません。
どのみち私と烏天狗が相手では、力づくでねじ伏せることは
出来ないでしょう。
神託の儀を受けないのであれば、あなたがたは死ぬまで
ここで過ごすことになります。
私は一人でここを去ります」
『神託の儀』なる言葉が天狗より発せられてから、
剣豪の様子があからさまにおかしくなった。
どうにも普段からは想像できないぎらぎらとした表情であった。
剣豪とキャロリーヌが言い争っている間に誠一たちが戻って来た。
キャロリーヌから相当に曲解された説明を受けた誠一たちは、
唖然としていた。
当の本人の剣豪はどこ吹く風のごとく口笛を吹いていた。
「先生、これは一体どういうことですか?
キャロリーヌからの説明が事実なら、
さすがにちょっと受け容れられませんが」
誠一の言葉は最もであった。
説明を受けた他のメンバーを同じ印象だったのだろう。
険しい表情で剣豪を見つめていた。
「ふーむ、キャロリーヌの説明は少々過激な表現でありましたが、
概ね間違ってはいないです。
アルフレート様、この試練を受けなさい。
あなたの望むべきものに近づくチャンスかもれしれません。
ただの啓示を受ける者ではこの試練は受けることも
例え受けたとしてもそこの烏天狗に殺されるのがおちなのですよ」
剣豪はこれ以上話をしても無駄という脅しを言葉の端々に加えていた。
誠一は何故だが分からないが、剣豪がある程度正確に
自分の存在に気付いていることを理解した。
ファウスティノからの情報だろうか、
どこまで知っているだろうか逡巡する様々な思いが
誠一の脳を駆け巡った。
新たなる巫女が現れるまでここを清浄に保つのが
終わることなき我が仕事」
「さてどうしたものやら。
天狗は些か故郷で斬り過ぎた故に面白くない」
殺気を解いて、のほほんとする剣豪であった。
「啓示を受ける者が1人だけいる。
奥殿に向かう資格はあると思うがどうでござる?」
表情に乏しい天狗の顔の一部がピクリとした。
「良かろう。ただし一人で行ってもらう。
神託の儀に失敗したら、秘中の秘のため、その者には死んで貰うがよいな」
「了解した。失敗すれば、貴殿が殺すのであろう」
誠一の預かり知らぬところで運命は決した。
彼は神託の儀に失敗すれば、殺される運命となった。
「ちょっと、二人で何を勝手な事を決めているのよ。
アルに確認すべきことでしょ!」
キャロリーヌが二人に割って入り、反論した。
かなりの音量に天狗は眉を顰めた。
意外と感情の豊かな天狗なのかもしれない。
「ふむ、断ることはできません。
どのみち私と烏天狗が相手では、力づくでねじ伏せることは
出来ないでしょう。
神託の儀を受けないのであれば、あなたがたは死ぬまで
ここで過ごすことになります。
私は一人でここを去ります」
『神託の儀』なる言葉が天狗より発せられてから、
剣豪の様子があからさまにおかしくなった。
どうにも普段からは想像できないぎらぎらとした表情であった。
剣豪とキャロリーヌが言い争っている間に誠一たちが戻って来た。
キャロリーヌから相当に曲解された説明を受けた誠一たちは、
唖然としていた。
当の本人の剣豪はどこ吹く風のごとく口笛を吹いていた。
「先生、これは一体どういうことですか?
キャロリーヌからの説明が事実なら、
さすがにちょっと受け容れられませんが」
誠一の言葉は最もであった。
説明を受けた他のメンバーを同じ印象だったのだろう。
険しい表情で剣豪を見つめていた。
「ふーむ、キャロリーヌの説明は少々過激な表現でありましたが、
概ね間違ってはいないです。
アルフレート様、この試練を受けなさい。
あなたの望むべきものに近づくチャンスかもれしれません。
ただの啓示を受ける者ではこの試練は受けることも
例え受けたとしてもそこの烏天狗に殺されるのがおちなのですよ」
剣豪はこれ以上話をしても無駄という脅しを言葉の端々に加えていた。
誠一は何故だが分からないが、剣豪がある程度正確に
自分の存在に気付いていることを理解した。
ファウスティノからの情報だろうか、
どこまで知っているだろうか逡巡する様々な思いが
誠一の脳を駆け巡った。
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