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304.閑話 とある大学での情景5

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千晴は誠一の鑑定眼でキャロリーヌのステータスもチェックした。
キャロリーヌは『純潔の婚約者』の称号を得ていた。

純潔を破れば、評判は地に落ちるため、注意が必要。

婚約者に裏切られれば、死ぬ。

婚約者から甘い言葉と態度を受けると、
一時的に書く能力が格段に上昇する。

知らぬ間に二人は婚約者の関係になってしまったようだった。
何となく面白くない千晴だった。
その上、淫蕩と思っていたキャロリーヌが実は純潔を
守っていたことも何となく面白くなかった。
面白くないはずだが、その後のキャロリーヌの殊勝な言葉に
対する誠一の言葉に千晴は不満を感じてしまった。
どこかでドラマチックな展開に期待していた自分がいた。
千晴は、面前で誠一がキャロリーヌを抱き締めただけでも良しとした。
一先ず、この場はこれで凌げそうなためにゲームを終了した。
時間を確認すると、既に16時近かった。隣で清涼が必死に手を
動かしていた。

「清涼さん、そろそろ帰りませんか?」

「はっああ、そうだね。明日から仕事だし」

清涼は急ぎ、パッドを片付けた。

「しかしまあ、キャロリーヌは美人だったね。
あれじゃ、プレーヤーが凌辱したくなるのも分かるよ。
まあ、鬼畜プレーヤーも一定数いるから、
佐藤さんは絡まれないように気を付けてね」

千晴はどきりとした。

ゲーム開始当初、誠一にその鬼畜プレイを強要したことを
思い出していた。
そしてそのことで、鬼畜と自分も罵られたようで自己嫌悪に陥ってしまった。

「そういうプレーヤーってそれで何を楽しむんでしょうね」
やっとのことで声を絞り出して千晴は答えた。

「そりゃ、その行為を見て楽しむんでしょ。
あまり女性には言いたくないけど、
それ見て、オナニーでもしてんじゃないのかな」

何気ないその一言が更に千晴にダメージを与えた。
誠一とキャロリーヌの絡みを見て、ベッドでもぞもぞした
自分を思い出して、頭に血がのぼり、顔が真っ赤になっていくのを感じた。
どうやらそれを清涼は誤解して受け取ったようだった。

「あっ、ごめん。気配りのない発言だったね。
忘れてくれると助かるよ」
清涼の言葉に何とか頷く千晴だった。

「まっまあ、収穫もあったことだし、後でアルフレートに
色々と聞いておいてよ。明日は仕事だし
、佐藤さん、そろそろ帰ろうか」
清涼が話題を上手く転じた。そしてそれに千晴も便乗した。

「そっそう、アルフレートから情報収集しておきますよ。
取り敢えず、今日は帰りましょう。
清涼さん、今日は付き合ってくれてありがとうございました」
千晴がぺこりとお辞儀すると、清涼は満更でもなさそうで、
頬を緩ませた。

「いやいや、久々の母校もいいもんだ。
一応、念押ししておくけど、アルフレートの件は
あまり深入りしない方がいいと思う。
何と言うか気味が悪いというか危ない気がするよ。
佐藤さんも大人だし、そこら辺の線引きは大丈夫かな。
じゃあ、帰ろう」

二人は最寄り駅までとりとめのない話をしながら歩いた。
並んで歩く二人に西日が眩しく時節、手で西日を遮る仕草をしていた。
駅で二人は別れると各々、帰宅の徒についた。
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