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405.不穏10

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その後、パーティは、盛り上がること終わりを向えた。
厚い雲に覆われた夜空にいつ雨が降るか分からない天候に
パーティの参加者たちは急いで帰途についた。
そんな中でも目端が効く者は誠一と挨拶を交わしていた。

「ぐわわー頭が割れそうだ。くそっ、くそっ。
ぐううっ。神ヨ、ご慈悲をご慈悲よ」
王太子グレイガーは、寝室のベッドの上で苦しみに苛まされていた。

『先ほどの醜態は一体なんだ。恥をかかせやがって。
リリーの開催しているイベントだぞ。次はないぞ』

グレイガーのプレーヤーは彼が到底受け入れられないような
無理難題な命令を出し、彼に苦痛を与えていた。

『いいかもっと頭を使え、取り巻きの貴族、近衛兵、
冒険者、盗賊、そう言った連中におまえの立場を利用して
アルフレートに襲撃させろ。
必要なら俺のクランからメンバーを送るか?』

グレイガーは苦しみながらも拝跪して、何度も頷いた。

『そのくらいにしておこう。奴を狙う敵も多い、直ぐに行動に移せ』

苦しみから解放されたグレイガーはその場に蹲り、
何度も何度も額を床に擦りつけて頭を下げた。
顔面蒼白で瞳は閉じられていた。
彼の神への御心を知る術はプレーヤーにもなかった。
しかし、額から血が流れようとも止むことなく拝跪するグレイガーの姿に
プレーヤーは満足して、ゲームをログアウトした。

グレイガーの部屋から呻き声が聞えなくなり、暫くして、
バーバラとザガナスが彼の寝室に入室した。
「兄さま、もう大丈夫です」
「兄様」
二人がグレイガーを支えて立ち上がらせた。

「あのような神」
バーバラの言葉をグレイガーが遮った。
「バーバラ、言葉に気を付けよ。
神は全知にして全能とまでは言わぬが、
どこでどう監視しているかわからない」

「兄様、神は今、去っておりますでしょう。
少し気分を楽にしてください」
ザガナスがグレイガーの額の血を拭った。

「そうだな。しかし神は過去の我らの行動、言葉を
透視することは出来る。それはおまえたちも分かっているだろう。
言葉を慎め。神罰をおまえたちも受けるぞ」
バーバラもザガナスも無言で彼の言葉に従った。

「ザガナス。バリーとジェイコブを呼べ。
それと、神の敬虔なる使徒『岩壁のブラスナ』に繋げ。
使徒の力を借りる。それと闇の勢力に連絡しろ」
闇の勢力と言う言葉に二人が過剰に反応した。
そして、二人は再考をグレイガーに求めた。

「もうよい、もう沢山だ。どこでなにをしていても常に見られている。
何が神だ。くだならない。
そこらじゅうにいる下衆な貴族どもと同じだ。
奴は神を僭称して、俺で遊んでいるだけだ。
もうよい、とことんやってやる。
アルフレートのやつも糞の様な奴に遊ばれて、
この地へ堕ちて来たんだろう。
天上から高みの見物をしている奴らに滅茶苦茶に
とことん遊ばれてやろうじゃないか。クハハハッ」

グレイガーは狂ったように高笑いしていた。
しかし、その表情は全く笑っておらず、泣いている様であった。
バーバラとザガナスは、心配そうにグレイガーを
見つめるだけであった。
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