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462.帰陣4
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誠一はこれまで得た情報をレドリアン導師に報告した。
無論、誠一たちとレドリアン導師の間には、和やか雰囲気など
全くなく、室内はぎすぎすした雰囲気であった。
終始無言でたまに口元を釣り上げて、レドリアン導師はせせら笑った。
「その程度の情報は、既に入手済みだ。
そもそも最も貴重な情報が抜け落ちているだろう。
アルフレート、貴様が高名な吟遊詩人にパーティで
絶賛されたことがなぁ。随分と楽しそうに踊って
いたようだったな。
報告・連絡・相談、その辺りがまともに出来ぬとはな。
ファウスティノの魔術院の教育レベルの低さよ」
誠一は内心イラっとしていたが、そんなことはおくびにも出さずに
粛々と報告を続けた。
「では、最後に二件ほど報告します。
一件目ですが、グレイガーから更に独立して
行動するジェイコブ遊撃軍が更に大きく旋回して、
ヴェルトール王国に侵入を企てています。
二件目です。闇の勢力圏から北関までの街道の村々が
全滅しています」
誠一の報告にレドリアン導師は眉を顰めた。
ジェイコブ遊撃軍、そんな情報は彼の耳には全く入ってなかった。
ジェイコブ・ジェルミラ、確か子爵家であったが、
その能力は推して知るべし、到底、軍を指揮・統率できるような
人物ではなかった。
街道の村々の話は、レドリアン導師にも報告が上がっていた。
しかし、冒険者も雇えないような貧乏な農村が
魔物か野党に襲われただけと思い、適当に巡回の兵を派兵して、
放置していた。
「ジェルミラ子爵ねえ。君はあの無能者の下に付いていたのか。
君の話によれば、途中で置き去りにされたようだが、
幸運だったな。
あのような無能者、軍を自壊させた後に
闇の勢力圏で野垂れ死んでいるだろう。
農村の件は、兵を既に巡回させている。
既にその件は、論ずるに足りん些細なこととなっている」
誠一はジェイコブ遊撃軍の件は兎も角として、農村の件は食い下がった。
「貴様、五月蠅いぞ。その件は、既に対策済みだ。
そもそもこの戦時に寒村に一々、軍を割けると思っているのか!
黙れ、アルフレート、思い上がるなよ。
貴様に必要なのは、報告・連絡だけだ。相談など必要ない。いいな」
誠一はレドリアン導師の態度に全く余裕がないように感じられた。
レドリアン導師は平時の能臣、乱世の名将とはいかぬようで、
この長引く戦乱ではどうやら活躍できずに相当、焦っているようであった。
あまり刺激するのは得策でないと判断した誠一たちは、
レドリアン導師の話に粛々と相槌を打った。
その後は特に悶着なく誠一は報告を終わらせることができた。
無論、誠一たちとレドリアン導師の間には、和やか雰囲気など
全くなく、室内はぎすぎすした雰囲気であった。
終始無言でたまに口元を釣り上げて、レドリアン導師はせせら笑った。
「その程度の情報は、既に入手済みだ。
そもそも最も貴重な情報が抜け落ちているだろう。
アルフレート、貴様が高名な吟遊詩人にパーティで
絶賛されたことがなぁ。随分と楽しそうに踊って
いたようだったな。
報告・連絡・相談、その辺りがまともに出来ぬとはな。
ファウスティノの魔術院の教育レベルの低さよ」
誠一は内心イラっとしていたが、そんなことはおくびにも出さずに
粛々と報告を続けた。
「では、最後に二件ほど報告します。
一件目ですが、グレイガーから更に独立して
行動するジェイコブ遊撃軍が更に大きく旋回して、
ヴェルトール王国に侵入を企てています。
二件目です。闇の勢力圏から北関までの街道の村々が
全滅しています」
誠一の報告にレドリアン導師は眉を顰めた。
ジェイコブ遊撃軍、そんな情報は彼の耳には全く入ってなかった。
ジェイコブ・ジェルミラ、確か子爵家であったが、
その能力は推して知るべし、到底、軍を指揮・統率できるような
人物ではなかった。
街道の村々の話は、レドリアン導師にも報告が上がっていた。
しかし、冒険者も雇えないような貧乏な農村が
魔物か野党に襲われただけと思い、適当に巡回の兵を派兵して、
放置していた。
「ジェルミラ子爵ねえ。君はあの無能者の下に付いていたのか。
君の話によれば、途中で置き去りにされたようだが、
幸運だったな。
あのような無能者、軍を自壊させた後に
闇の勢力圏で野垂れ死んでいるだろう。
農村の件は、兵を既に巡回させている。
既にその件は、論ずるに足りん些細なこととなっている」
誠一はジェイコブ遊撃軍の件は兎も角として、農村の件は食い下がった。
「貴様、五月蠅いぞ。その件は、既に対策済みだ。
そもそもこの戦時に寒村に一々、軍を割けると思っているのか!
黙れ、アルフレート、思い上がるなよ。
貴様に必要なのは、報告・連絡だけだ。相談など必要ない。いいな」
誠一はレドリアン導師の態度に全く余裕がないように感じられた。
レドリアン導師は平時の能臣、乱世の名将とはいかぬようで、
この長引く戦乱ではどうやら活躍できずに相当、焦っているようであった。
あまり刺激するのは得策でないと判断した誠一たちは、
レドリアン導師の話に粛々と相槌を打った。
その後は特に悶着なく誠一は報告を終わらせることができた。
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