転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

466.護衛4

「ぐううう、アルフレートよ。
利口な貴様なら、ここでどういう答えを言えば
命が助かるかわかっているだろう。
皇帝陛下への執り成しと口添えは俺が責任をもってする。
賊軍への投降など一時の気の迷いだろう」

「パワーシフト」
ロジェが技を発動させて、一人の騎士へ向かって突進した。

話しているジェイコブの隣に一人の騎士が吹き飛ばれてきた。
鎧が拉げており、生きているのか死んでいるのか
良く分からない状態であった。

「落ち着けっ！
敵の戦士と槍兵を牽制しつつ、後方の弓兵、魔術師二人をコロセ。
後で女二人を楽しもうと思うな。確実に殺すぞ。
ジェイコブさんヨ、おまえらも戦え」
騎士たちは散会して、剣を振り上げて、襲いかかった。

ロジェ、ヴェル、誠一が前面に出て、騎士たちと刃を交えた。

そして、シエンナが補助魔術を高速無詠唱で展開した。

「流石、シエンナね。じゃ私もやりますかー。はああっ、飛電弓」
キャロリーヌは速射で飛電弓を向かって来る騎士に向かって放った。
矢は正確に彼らの額を打ち抜いていた。

「ちょっと、キャロリーヌ！何人かしょっ引かないと」

「分かってるわよ。サリナが何人か野党と騎士を眠らせるでしょ」
話ながらも怯んだ騎士の足に向かって飛電弓を放った。
帯電した矢が刺さった騎士は、痙攣しながらその場に倒れた。

騎士を叩き潰すようにツヴァイヘンダーを振り下ろすロジェ。

鎧の隙間やつなぎ目を突き刺し、騎士へ出血を強いるヴェル。
剣を叩き折り、力任せにメイスを振り回し、鎧の上から騎士の骨を叩き割る誠一。

誠一たちは、最早、せこせこと悪銭を稼ぎ、おざなりな訓練をして、
のうのうと過ごしてきた騎士たちが太刀打ちできるような相手ではなかった。

　騎士たちの数が急速に減っているのをジェイコブは、
右往左往しながら、眺めるだけであった。
辛うじて、ヤレ、奴らを殺せと虫の鳴く様な声で呟いていた。
幾人かの取り巻きはおずおずと剣を抜いたが、
誠一たちに襲いかからずにジェイコブの周りで
ワーワーと罵詈雑言を喚き散らすだけであった。

「ちっ、役立たずどもめ」
舌打ちすると、近くの取り巻き達を突き飛ばして、
馬に騎乗すると一目散に逃げ出した。
その機敏で流れるようなしなやかな動きは、
見る者の瞳を捉えて離さなかった。

「おおおう！ジェイコブ様に倣え！」

「ジェイコブ王を守れ―。いくぞっ！」

「我が剣は王と共にありぃー」

適当に己を正当化すると、取り巻き達も騎士たちを
置き去りに逃げ出そうと算段した。

「サリナ、頼む」
我に返った誠一が隠れているサリナに向かって叫んだ。

「まったく私としたことが、あの俊敏な動きに気を削がれるとわね。
二、三人を捕獲するわよ」
しなやかな動作で短剣がサリナより投擲された。
短剣の刺さった野盗は、馬からどさりと崩れ落ちた。