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501.使節団14

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「エドワードかっ。流石に二人を相手にするのに
俺と正門の陰に身を顰めるあの二人じゃちときついな」
撤退の素振りを見せるナサレノだった。

「だが、このままじゃ、面白くないな。
竜人の一匹くらい殺しておかないと、
貴族様たちがうるさくてかなわないんだよ。
ラッシュソード」
ナサレノは突然、標的を変更して、父を見守るアミラに技を放った。
虚を突かれたグロウは反応が遅れた。

空を覆う竜がアミラに向かって急降下しているが
間に合いそうになかった。
グロウにはアミラが首を飛ばされる未来しか見えなかった。

咄嗟の事にアミラは、防御姿勢をとることで精一杯であった。
しかし、ナサレノにとって、それを崩して頸を刎ねることは、
児戯にも等しかった。
真紅の剣が迫り、不覚にもアミラは目を閉じてしまった。

「うおおおっ限界を越えろっ!今ここで超える。
コールバーサーク。
荒ぶる炎よ、全てを燃やし尽くし、
世界を再生しろぉーフレイムチャージ」

不死鳥を模した炎の塊がゾンビやスケルトンを
なぎ倒しながら、ナサレノに向かって突撃した。

アミラはフレイムチャージの声を聞くと、
目を再び開けることができた。
今、自分がすべきことは0.1sでもいいから、
時間を稼ぐことであった。
顕現している竜の力の全てを以て、後方へ飛び退いた。
その距離はナサレノにとって全く意味を
成さないことであったが、兎に角、刹那の瞬間を
稼ぐことができた。
そうすれば彼が助けに来てくれる。
確信めいた思いがアミラを動かした。

 ラッシュソードとフレイムチャージが激突した。
伝説の剣の類となる真紅の剣と交錯した見習い鍛冶師が
製作したハルバートだったが、砕け散ることはなかった。
 流石にグロウとの戦いを経て、ナサレノの体力・気力の消耗は大きかった。
ナサレノは剣を構えて、その場に立ち止まった。
「貴様、名は」

「ん?俺か!アルフレートフォン・エスターライヒが右腕!
名を魔道槍兵ヴェルナー・エンゲルス。
これからよく聞く名だ、覚えておけ」

「苦々しいが、貴様の勇気に免じて、ここは退いてやる。
助かった命を喜んでおくんだな」

ヴェルが不思議そうな顔つきでナサレノを見ていた。
「ンンン?おまえ、ここで倒されるのに何言ってんの?
エドワード陛下はぱっと見、何を考えているか分からないけど、
柳眉逆立つグロウさんから逃げられると思ってるの。
竜の逆鱗に触れたおまえは逃げる事は叶わないぜ。
そして、今のおまえなら俺でも足止めくらいはできるだろ」

ヴェルはハルバートを構えた。節々が軋んでいた。
補助魔術にコールバーサーク、そして『絆の仲間』による各能力のかさ上げ。
明日は、全身に感じる痛みで動けないこと必至であった。
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