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568.それぞれの思惑7

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「そうですか。まあいいです。
一つ言っておきますが、ロジェさんと夜、
ふらふらと出歩くのは禁止です。駄目です」
アミラは誠一を立ち合い人として、
ヴェルが良からぬことを覚えないように
牽制するつもりであった。

「行ってないって。前にも言っただろう。
ったくアル、証人になってくれよ。
俺が夜遊びなんてしないって」

まんまと獲物の罠にかかってしまったヴェルであった。
アミラのヴェルトとの散策を邪魔してしまった手前、
誠一はアミラの策に乗っかった。

「勿論、いいさ。ヴェルは夜遊びしないと約束した。
ってかヴェルは夜遊びしている余裕がないだろうね」
誠一はくすりと笑った。

「ちっ言ってくれるじゃねーか。
学院が再会したら、あっと驚かせてやるさ」
ヴェルと誠一が話し出して、置いてきぼりにされたアミラはまた、
不満たらたらな雰囲気を醸し出した。
そして、アミラは無理やり二人の会話に割って入った。
「それでアルフレートさん、どうするんですか?」

「今は強くなるしかないさ。強く無ければ何も成しえない」
誠一の力強い言葉にヴェルは無言で頷いたが、
アミラは小首を傾げた。
「言っていることは分かりますが、
具体的にどうするんですか?」

「おい、アミラ!そこは黙って頷くとこだぞ。
まったくそう言ったことからちゃんと教えないとな」

アミラは目でヴェルを制して、構わず続けた。
「何の計画もなく闇雲に何かをしても効果は上がらないです。
それに付き合う人たちにも人生や生活があります。
アルフレートさん、リーダである以上、
私たちが頷けるようにそれを示すです」

「そうだね。その通りだ。だか僕には今、方策はない。
だからみんなに相談するよ。
できないことやわからないことを
一人で抱え込んでもあんまりいい結果に結びつくことはないからね」
誠一は笑った。

アミラも誠一に笑い返した。

ヴェルはむすっとした。

「アルフレートさん、わかりました。
私たち二人はあなたに協力するです。
あんまり二人でにこにこと話していると、
ヴェルが不貞腐れるです」

アミラの次はヴェルか。
そう思うと随分とめんどくさい二人であると
ついつい誠一は思ってしまった。

アミラは椅子をヴェルに寄せた。
「アミラ、近いって。食事が取りにくいだろ」
そう言ったが、ヴェルは、ほぼ食べ終えていた。
そして、その表情は満更でもなさそうであった。

「アルフレートさん、すみません。
全くヴェルは、アルフレートさんが私に取られたと
思ってやきもちを焼いたんです」

「バッなっ!ちがっ、俺はなあ、アミラが、いやそうじゃねえっ。
そうだ、グロウさんから預かったアミラが、
言いたくないが軟派野郎の毒牙に掛かると思って心配したんだよ」

「ヴェル、それはちょっと聞き捨てならないな」

誠一の言葉に焦るヴェルであった。
そして二人に突っ込まれて、更に墓穴を
掘っていくヴェルであった。
ようやく他の卓のように昼飯時に
相応しい笑いに誠一たちの卓も包まれた。
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