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第4章「大丈夫。ずっと、そばにいるから」
直に感じる、愛おしい人の温もり 裕翔side
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「俺の事、……怖くなった?」
もうどんな風に終わってもいい。そういう思いで、桜十葉に尋ねた。でも、桜十葉は俺の背中に回した手を離そうとはしなかった。
「っ、…バカだなぁ裕翔くんは。本当に、バカだよ」
桜十葉はそう言って、俺の頭をくしゃっと撫でた。
わけが分からなくて、不安な気持ちが広がる。
「そんな事ない。だって、ヤクザの息子だろうが、総長?だろうがそんな事、私にはどうだっていいもん。裕翔くんは、裕翔くんなんだから」
その言葉に、胸が震えた。
どこかで分かっていた。そして、どこかで弱い自分が桜十葉の事を信じていなかった。
「っ、……おとはっ」
俺は小さくて華奢な体を強く抱きしめる。
直ぐに、壊れてしまいそうな大切なもの。
もし、彼女が過去を思い出してしまったら今度こそ、俺から離れていってしまうだろう。
俺はそんな不安も抱えながら、桜十葉にキスをした。2日ぶりに重ねた桜十葉の唇。
とても柔らかくて、それだけで涙が出そうになった。
俺はやっぱり、桜十葉なしでは生きられない。
桜十葉があの日のことを思い出してしまったら。もし、またあの日のことが繰り返されてしまったら、俺はもう、そばにいる事さえ許されなくなる。
「裕翔くん、……。私もね、言いたいことがあるの。私、裕翔くんの事が……大好きだよ」
その言葉に、俺の全身が固まる。
それと同時に、心臓が今まで以上に早鐘を打っている。
気づけば桜十葉も、俺と一緒に泣いていた。
泣きながら俺のことが好きだと伝えてくれた君は、俺の瞳にどんな風に映っているのだろう。
俺だけじゃ、なかったんだ。自分の気持ちを伝えるのが、こんなにも怖いということを知っているのは、俺だけじゃなかった。
「桜十葉が俺を、……好き?」
信じられなくて、桜十葉にゆっくりと尋ねた。
「うんっ……。裕翔くんの事が好き、大好き」
真っ赤な、顔をしてそう伝える桜十葉。
そんなに可愛い顔、しないでよ……。
俺は耐えられなくなって桜十葉の唇を強引に塞ぐ。
何度も何度も深いキスをする。
「んっ、……んぁ……、んんっ」
桜十葉の甘い声に、俺はまた理性がくすぐられる。さっきも唇がヒリヒリするまでキスしたというのに、まだ足りない。
桜十葉の事が愛おしくてしょうがない。
桜十葉の事を誰よりも大切にしたい。幸せにしたい。
でも、それは俺じゃない他のやつの事なのだろう。
「桜十葉、俺も……好き」
深いキスの合間に、桜十葉に好きだと伝える。
桜十葉はその言葉にびっくりしたように、俺の胸を叩いた。
「なんだよ、……もっとしたかったのに」
「ひ、裕翔くん……今、すすす好きって……」
「愛してる、桜十葉。今も昔もこれからも、ずっと。俺は桜十葉だけが欲しい。どうしようもなく」
自分は何を言っているんだ、と情けなく思う。桜十葉は鈍感だから“昔も”なんて言葉に気づけない。
きっと……。
俺は桜十葉にキスする事で、桜十葉の事を愛していると伝えているはずだったが、やはり桜十葉はそんな事に気づいてなどいなかったのだから。
「大丈夫。そばにいるから」
とても優しい顔をして、俺を安心させてくれる彼女は、どれだけ俺に、無償の優しさを与えてくれるのだろう。
どんなに大きな嘘を包み隠さず話そうとも、俺はまた嘘を重ねて、桜十葉が俺から離れられないようにする。
俺は何度も何度も、そうやって嘘を付くんだ……。
✩.*˚side end✩.*˚
もうどんな風に終わってもいい。そういう思いで、桜十葉に尋ねた。でも、桜十葉は俺の背中に回した手を離そうとはしなかった。
「っ、…バカだなぁ裕翔くんは。本当に、バカだよ」
桜十葉はそう言って、俺の頭をくしゃっと撫でた。
わけが分からなくて、不安な気持ちが広がる。
「そんな事ない。だって、ヤクザの息子だろうが、総長?だろうがそんな事、私にはどうだっていいもん。裕翔くんは、裕翔くんなんだから」
その言葉に、胸が震えた。
どこかで分かっていた。そして、どこかで弱い自分が桜十葉の事を信じていなかった。
「っ、……おとはっ」
俺は小さくて華奢な体を強く抱きしめる。
直ぐに、壊れてしまいそうな大切なもの。
もし、彼女が過去を思い出してしまったら今度こそ、俺から離れていってしまうだろう。
俺はそんな不安も抱えながら、桜十葉にキスをした。2日ぶりに重ねた桜十葉の唇。
とても柔らかくて、それだけで涙が出そうになった。
俺はやっぱり、桜十葉なしでは生きられない。
桜十葉があの日のことを思い出してしまったら。もし、またあの日のことが繰り返されてしまったら、俺はもう、そばにいる事さえ許されなくなる。
「裕翔くん、……。私もね、言いたいことがあるの。私、裕翔くんの事が……大好きだよ」
その言葉に、俺の全身が固まる。
それと同時に、心臓が今まで以上に早鐘を打っている。
気づけば桜十葉も、俺と一緒に泣いていた。
泣きながら俺のことが好きだと伝えてくれた君は、俺の瞳にどんな風に映っているのだろう。
俺だけじゃ、なかったんだ。自分の気持ちを伝えるのが、こんなにも怖いということを知っているのは、俺だけじゃなかった。
「桜十葉が俺を、……好き?」
信じられなくて、桜十葉にゆっくりと尋ねた。
「うんっ……。裕翔くんの事が好き、大好き」
真っ赤な、顔をしてそう伝える桜十葉。
そんなに可愛い顔、しないでよ……。
俺は耐えられなくなって桜十葉の唇を強引に塞ぐ。
何度も何度も深いキスをする。
「んっ、……んぁ……、んんっ」
桜十葉の甘い声に、俺はまた理性がくすぐられる。さっきも唇がヒリヒリするまでキスしたというのに、まだ足りない。
桜十葉の事が愛おしくてしょうがない。
桜十葉の事を誰よりも大切にしたい。幸せにしたい。
でも、それは俺じゃない他のやつの事なのだろう。
「桜十葉、俺も……好き」
深いキスの合間に、桜十葉に好きだと伝える。
桜十葉はその言葉にびっくりしたように、俺の胸を叩いた。
「なんだよ、……もっとしたかったのに」
「ひ、裕翔くん……今、すすす好きって……」
「愛してる、桜十葉。今も昔もこれからも、ずっと。俺は桜十葉だけが欲しい。どうしようもなく」
自分は何を言っているんだ、と情けなく思う。桜十葉は鈍感だから“昔も”なんて言葉に気づけない。
きっと……。
俺は桜十葉にキスする事で、桜十葉の事を愛していると伝えているはずだったが、やはり桜十葉はそんな事に気づいてなどいなかったのだから。
「大丈夫。そばにいるから」
とても優しい顔をして、俺を安心させてくれる彼女は、どれだけ俺に、無償の優しさを与えてくれるのだろう。
どんなに大きな嘘を包み隠さず話そうとも、俺はまた嘘を重ねて、桜十葉が俺から離れられないようにする。
俺は何度も何度も、そうやって嘘を付くんだ……。
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