女批判の男 女として生きる~恋愛 結婚 出産 離婚~

女になって一年。

中山貴子、二十六歳。

ガールズバーの更衣室で、手慣れた動きでメイクを仕上げる。

「貴子ちゃん今日指名多いよ〜」

「はーい」

ヒールにも慣れた。
ナプキンの種類も完璧に把握している。
酔っ払いの扱いも、セクハラのかわし方も覚えた。

男だった頃、
“女は楽”と言っていた自分が、今は少し滑稽に思える。

でも――

楽じゃないからって、不幸とも限らない。

貴子は鏡の中の自分に小さく笑う。

「まぁ、悪くない人生だな」

店のドアが開く音がする。

「いらっしゃいませー」

その声とともに、フロアのざわめきが広がる。

貴子は最後にリップをひと塗りして立ち上がった。

「よし、仕事するか」

――性別で楽とか得とか、そんな単純な話じゃない。

逃げる理由を探すより、
今と向き合うこと。
今をちゃんと生きること。

それが一番大事だと、
女になって一年で、ようやくわかった。
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