みんな大好き、中華料理

佐山ぴよ吉

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 私からの本当のプレゼントは『待ち合わせに行ったら私じゃなくて本命の彼女がいてチョコを渡されてそのまま打ち上げバレンタインデートに持ち込んじゃうプラン』だ!
 そのままプロポーズでもなんでもしてくれ。

 私の地獄の終わりが見えてきた。

「綾斗……嬉しい!ありがとう!明日、頑張ってね」

 笑顔満開で言うと、高蔵君がキスしてきた。
 明日他の女の子にプロポーズする男が他の女とする事じゃないとは思うけれども高蔵君の倫理観だったらOKなんだろう。だとしても引く。破れ鍋と綴じ蓋、高蔵君はどっちなんだろう。

「この続きはまた明日。琴子、愛してるよ」

 ぞっとする事を囁いて、高蔵君は走り去って行った。
 やっぱり高蔵君にはサイコパスみを感じる。
 高蔵君の私に対しての『愛してるよ』なんて、『殺してやる』と異音同義語にしか思えない。

 次の日、私は物件探しの為に新幹線に乗って新天地へと足を伸ばした。
 ここで良い物件があればもう月曜日から本格的に引越し作業を始める予定だ。
 新しい土地は今住んでいるところほどの利便性はないけれども、家賃も安いし空気も美味しい。そして何より、家族の干渉がない事が1番だ。

 予約していた不動産屋さんを何件か巡り、色々と内見させて貰って納得のいく条件の場所を見つけた。
 早速契約して、その足で契約金も振り込んできた。
 バイトでちまちま貯めてきた貯金は、これであとは引越し料金に充ててしまうとほとんどなくなってしまうけれども致し方ない。

 契約金を振り込んだ銀行を後にした時は午後5時を回っていた。
 スマホを見ると、高蔵君から『優勝したよ』という一言メッセージのポップアップが画面中央に浮かんだところだった。
 すぐに返信する。

『すごい!ここまでよく頑張ったね!会ったら沢山お祝いだね。駅の噴水で待ってるね♡』

 まあ実際お祝いするのも待ってるのも佳奈なんだけど。
 ずっと頑張ってたのは本当だから♡位はつけてあげようかなと思って少し悩み、最後につけてあげて送信した。
 よし、これでお姉ちゃんからのサプライズバレンタインデートプロポーズ大作戦が上手くいって彼らが結婚して丸く収まってくれれば万事解決だ。

 新しい生活に期待を寄せて胸をほくほくさせながら帰路に着く。帰りは交通費をケチって夜行バスだ。
 スーパー銭湯に寄って汗を流した後、一旦安居酒屋に寄ってご当地メニューとお祝いがてらのビールを自分へのご褒美として頂く。それからほろ酔い気分でバスに乗り込んだ。

 バスの座席に座り、ほっと一息着いてからスマホを見てみると、メッセージが3桁程来ていた。
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