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5章

ハマった結果

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「んん?あれ?寝てた」
普通に部屋のベッドから起き上がる。
ベッドに来た覚えがない。
と言うより、昨日はみんなのリバーシを見ていた途中から記憶が無い。

(グレンが運んでくれたのかな?)

周りにはクラオル達がいない。
リビングへのドアを開けると、まだソファのところでみんなでリバーシをしていた。

騒いでいる様に見えるけど音がしないのでプルトンが結界を張っているんだろう。
ベッドルームに戻って着替える。

チラっとリビングを覗くとまだまだみんなはリバーシに夢中。
なら今のうちに朝ごはんを作ろうとコテージへのドアを出す。
ドアを開けっ放しにしておけばベッドルームに来た時に気付くでしょう。
キッチンで簡単なモーニングセットを作りお城の部屋に戻る。

私がコテージに行った事にも気付いていないみたい。
私がリビングに来た事も気付いていないのでみんなに「おはよう。朝ごはん食べる?」と念話で話しかける。

全員がハッと気付きダイニングテーブルに来る。

『主様ごめんなさい』

「ん?何が?」

『時間を忘れてたの』

「大丈夫だよ。運んでくれたのはグレン?」

〈そうだ〉

「ありがとう。みんな寝てないの?」

あるじぃ…ボクは寝てました』

「あらあら。グレウスは寝起き?可愛いねぇ」
グレウスがちょっとヨロヨロしながら寄ってくる。
寝起きは甘えん坊らしい。
撫でてあげると幸せそうに『えへへ』と笑っている。


〈寝てないな。リバーシが面白すぎる〉

「そっか…グレウスも夜更かししたんだね?」

『はい…』

「うーん…リバーシにハマるのはいいけど、寝なくなるとかはダメだよ。まぁ前の世界でしょっちゅう私もやってたけど…リバーシやるならお留守番だね」



「私がいた日本は昼夜逆転とか寝不足でも特に危険は無かったけど、この世界は違うでしょ?街の外に出たら死と隣り合わせだもん。
パーティが終わるまではこのお城にいなきゃいけないけど、夜寝れなかったらお昼に眠くなるでしょ?だからお留守番」

わしら精霊は寝なくても問題はない》
《そう!私達は大丈夫!》
われも数日寝なくても大丈夫だ〉
〔モトモト…ヤコウセ…〕

「グレンも数日って事は寝た方がいいんでしょ?今までちゃんと夜寝てたわけだし」

〈うっ…〉

『主様…ワタシ達置いて行くの?』
呆然としていたクラオルが悲しそうに聞いてくる。

「そうじゃないよ。寝不足は良くないからリバーシで寝ないなら部屋でお留守番してちゃんと寝てねって事だよ」

『怒ってる?』

「怒ってるんじゃなくて心配なんだよ。みんながケガするのも病気になるのも嫌だからね」
落ち込んだクラオルとグレウスを撫でながら説明する。

『分かったわ…残念だけどリバーシ我慢するわ…』

「うーん…ちょっと違うかな?何事もやり過ぎは良くないって事。全部を我慢するんじゃなくて、時間を決めたらどうかな?」

『時間を決める?』

「私も集中すると時間とご飯忘れちゃうからあんまり人の事言えないけど、寝る時は寝る。遊ぶ時は遊ぶ。ってしたら良いと思うんだよね。
だから寝るまではリバーシで遊んでも良いけど、寝る時間になったらリバーシを止めて寝るの。
もっとゆっくり出来る様になったら昼夜逆転でもいいと思うけど、今は何かあった時にすぐに街を出られる様にしたいからね」

『じゃあ寝るまではリバーシやっても良いの?』

「いいよ」

『ならそうするわ!主様と一緒が良いもの!』

「それでいいの?」

『いいわ!てっきりダメって言われるかと思ったもの』

「作ったのにダメとは言わないよ。まさかここまでみんながハマるとは思って無かったけどね」

『ごめんなさい』

「心配してるのを分かってもらえたならいいよ」

『主様はワタシ達を嫌いになったわけじゃないのよね?』

「嫌い?何で?みんなの事は大好きだよ」
言いながらクラオルとグレウスを持ち上げてスリスリする。

『良かった…』

「こんな事で嫌いになったりしないよー。まぁ何かしたら怒ったり注意したりはすると思うけど、嫌いになんかなれない気がする」

『うぅ…良かったぁ…』

「ふふっ。クラオルは可愛いねぇー。もちろんグレウスも可愛いよ。大好きだから心配なんだよ」

『ワタシも大好きよぉぉ』
『ボクも大好きですぅ』
2人ともスリスリと体を擦り寄せてくる。
うん。堪らん。可愛い。ウチの子可愛過ぎる。


「じゃあ、リバーシは寝るまでね。エルミス、プルトン、グレン、ポラルもそれでいい?」

《御意》
《いいわ!》
〈分かった〉
〔カシコマリマシ…〕

「じゃあみんなが納得出来たなら朝ごはん食べようか」

私が言うとみんなが席に座ったので朝食を配りいただきますと食べ始める。




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