貴方との運命

ゆきりん(安室 雪)

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 美緒は葉月の手をペシッと叩き、払いのける。冗談じゃない。

「最初は無理矢理、次は流されただけですっ!なのに、子供ができたら困るっ。アフターピル買わなきゃ」

 そう言った美緒の肩を掴み、葉月は美緒の眼を睨みながら問い詰める。

「何だと!?俺の子は産みたくないのか!?」

 「痛いっ!す、好きじゃない人の子供は産みたくないっ」

 キッと葉月を睨みつける。

「そんなのは許さないっ」

「許さないも何も、イヤ!!ちゃんと愛し合った人の子供じゃないと無理っ」

「今から俺を好きになればいいだろ?美緒、俺を愛せ」

 そう言って、熱い視線を向け、葉月は美緒の頬を撫でる。

「無理だからっ」

 葉月の手を払いのけ、視線を外す。




 プイッと美緒がそっぽを向いてから、大した時間も経たず、部屋の入り口の鍵が『ガチャリ』開錠される音がする。

 美緒はすぐに扉を開けに行くと、スルリと開く。廊下に出るが誰もいない。足元には紙袋が置いてある。中を覗くと新しい服や下着類だ。部屋の中には服が無かったし、この部屋に来る時に着ていた服は、正直着たく無かったから助かる。鞄はーーー、そうだ、何も持って来てないのだ。このまま自分のアパートに帰りたかったが、アパートの鍵もお財布も全部葉月さんのマンションだ。

 着替えた美緒と葉月は裏口から出て、葉月のマンションに向かう。地下の駐車場に車を停め、葉月の部屋に入る。鞄が置いてある部屋に行くため、リビングを通ると、宮田さんの置き手紙がある。数日持つ様な惣菜や、下味を付けたお肉が冷蔵庫にあるとの事だ。それを見た瞬間『ぐ~っ』と美緒のお腹が鳴る。昨日からまともに食べていないのだ。

「俺も腹が減ってる。飯、食うぞ」

 葉月はダイニングに来てご飯の催促をする。すぐにこのマンションから出たかったが仕方がない。腹ごしらえしなきゃ。と言うことで、宮田さんの作り置きをチンする傍らで、お肉を焼く。生野菜は食べやすい大きさに切ってガラスのボウルに入っている。お皿に盛り付け、テーブルに持って行き、2人は無言で食べる。

 とりあえずお腹が満たされて、気持ちに余裕が出る。食器類をシンクに持って行き、食後のお茶を入れる。飲み終わったら、アパートに帰ろうと思っている美緒の心を読んだかのように葉月が話し出す。

「アパートに帰るのは許さないからな」

「は?帰りますよ。あなたとは一緒に住みたくない」

 そう言って、美緒は立ち上がる。

「そんな事を言うと、繋ぐぞ?」

 ギラリと暗い光を帯びた眼が美緒を捉え、グッと腕を掴まれる。





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