ミーナールの長い夏が終わる

中世後期、アブヤド海(東地中海)の貿易港・ミーナールを舞台にした、架空歴史ストーリー。

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豊かな貿易港により繁栄する都市国家・ミーナール。
ミーナールは宗主国として大国ルツを仰いではいるものの、事実上は街の評議会が主導する独立を誇っていた。
そしてこの評議会の代表――すなわちミーナールの代表役となるのが、最大の名門ワリド家の若き当主・アーリドであった。代々のワリド家当主そして評議会の力を持って、ミーナールは長らくにわたり自由と繁栄を享受し続けていた。

ミーナールに夏が始まったその日。街へ新たな喜びがやって来た。
宗主国ルツからの新太守として、かつてこの街で育った青年・エウジスが赴任して来たのだ。
ここに、幼い頃より無二の親友同士だったアーリドとエウジスが数年ぶりに再会した。二人は強く手を取り合い、街により輝かしい未来を作りだすことを誓い合った。その姿に、誰もが当然のように希望あふれた街の未来を描いたのだが――、
しかし、未来はぶれた。
……エウジスが少しずつ、着実に、街の自治を奪い取り始めたのだ。

「ミーナールを愛している。君との固い友情を信じている」
そう繰り返すエウジスの言葉に決して偽りはないと、アーリドも良く解かっている。だがその間にも、街はエウジスの手によって自治を狭められてゆく。
眩い夏の日が進む中、ミーナールの自由、そしてアーリドの友情は、逃げ場の無い場所へと追い詰められてゆく。……

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ミーナールという街の夏を主役に据えた、長い友情ストーリー。
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