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パーティ 王宮にて
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王宮にて、レイダーとスミリーの結婚を祝したパーティが行われていた。
誰よりも涙を流しているのは、レイダーの姉であるハナンである。
「うぅ……。色々あったけど、本当に良かったわ」
「はは……。姉上。ほら、ハンカチを」
「ありがとう」
思いっきりハンカチで鼻をかんだ姉を見て、レイダーは思わず顔をしかめた。
「これからは正式に、私の妹となるのよね、スミリー」
そう言いながら、スミリーを抱きしめるハナン。
……まだ少し拭いきれていない鼻水が、スミリーのドレスについてしまった。
「えぇ。よろしくお願いいたします。お姉様」
「お姉様……! 良い響きだわ」
あれから、王都も少し変わった。
様々な面で顔を利かせ、迷惑行為を繰り返していたクレセンド家がいなくなり、色々なことが、良い方向に向かって行ったのだ。
具体的には、自然との共存を目指すようになった。
公園を増やし、景色を豊かにする。
いつのまにか王都は、緑の街と呼ばれるようになり、観光の面でも非常に人気となっている。
特に、クレセンド家の跡地にできた公園は、魔女の公園と呼ばれ、ハナンが魔法により、不思議な植物を生やしたり、アスレチックを作ったりして、子供たちが楽しく過ごせる場所となっていた。
……魔女の公園と呼ぶことを、ハナンは拒んだが、国王がどうしても譲らなかった。
『あれほどの功績を治めたにも関わらず、何も褒美を与えないようでは、国王としての立場がなくなってしまう! 頼むから受け入れてくれ!』
そう言われ、渋々承諾したのだった。
クレセンド家の件依頼、様々な面で活躍する機会の増えたハナンは、今や街の人気者になってしまった。
目立たない人生を心掛けていたにも関わらず、大きな誤算である。
「姉上。教授がお呼びです」
「あらっ。ちょっともう……。私はまだ、二人と会話していたいのに。……もしかして、二人きりにしなさいと、神様が命令しているのかもしれないわね?」
「……」
「ねぇスミリー。もう一回お姉様って呼んでくれるかしら」
「お姉様っ」
「よしっ! 行ってくるわね!」
ハナンは、二人の頬にキスをした後、教授の元へ向かった。
「お待たせしましたわ。教授、どのような用件で?」
ハナンが会話している相手は、自然について研究している教授である。
王都が緑の街と呼ばれるようになったのは、ハナンと共に活躍したこの教授の力もあった。
教授と呼ばれているが、歳は若い。まだ二十代前半である。
ハナンとは、いくつも変わらないのだ。
二人が会話している様子を……。オズベル家当主、レオリス・オズベルは、にこやかな視線を送りつつ、見守っていた。
「次は……。彼女たちだろう」
小さく呟いて、紅茶を一口飲んだ。
誰よりも涙を流しているのは、レイダーの姉であるハナンである。
「うぅ……。色々あったけど、本当に良かったわ」
「はは……。姉上。ほら、ハンカチを」
「ありがとう」
思いっきりハンカチで鼻をかんだ姉を見て、レイダーは思わず顔をしかめた。
「これからは正式に、私の妹となるのよね、スミリー」
そう言いながら、スミリーを抱きしめるハナン。
……まだ少し拭いきれていない鼻水が、スミリーのドレスについてしまった。
「えぇ。よろしくお願いいたします。お姉様」
「お姉様……! 良い響きだわ」
あれから、王都も少し変わった。
様々な面で顔を利かせ、迷惑行為を繰り返していたクレセンド家がいなくなり、色々なことが、良い方向に向かって行ったのだ。
具体的には、自然との共存を目指すようになった。
公園を増やし、景色を豊かにする。
いつのまにか王都は、緑の街と呼ばれるようになり、観光の面でも非常に人気となっている。
特に、クレセンド家の跡地にできた公園は、魔女の公園と呼ばれ、ハナンが魔法により、不思議な植物を生やしたり、アスレチックを作ったりして、子供たちが楽しく過ごせる場所となっていた。
……魔女の公園と呼ぶことを、ハナンは拒んだが、国王がどうしても譲らなかった。
『あれほどの功績を治めたにも関わらず、何も褒美を与えないようでは、国王としての立場がなくなってしまう! 頼むから受け入れてくれ!』
そう言われ、渋々承諾したのだった。
クレセンド家の件依頼、様々な面で活躍する機会の増えたハナンは、今や街の人気者になってしまった。
目立たない人生を心掛けていたにも関わらず、大きな誤算である。
「姉上。教授がお呼びです」
「あらっ。ちょっともう……。私はまだ、二人と会話していたいのに。……もしかして、二人きりにしなさいと、神様が命令しているのかもしれないわね?」
「……」
「ねぇスミリー。もう一回お姉様って呼んでくれるかしら」
「お姉様っ」
「よしっ! 行ってくるわね!」
ハナンは、二人の頬にキスをした後、教授の元へ向かった。
「お待たせしましたわ。教授、どのような用件で?」
ハナンが会話している相手は、自然について研究している教授である。
王都が緑の街と呼ばれるようになったのは、ハナンと共に活躍したこの教授の力もあった。
教授と呼ばれているが、歳は若い。まだ二十代前半である。
ハナンとは、いくつも変わらないのだ。
二人が会話している様子を……。オズベル家当主、レオリス・オズベルは、にこやかな視線を送りつつ、見守っていた。
「次は……。彼女たちだろう」
小さく呟いて、紅茶を一口飲んだ。
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