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悪役令嬢の終わり
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「……い、嫌よ。殺さないで」
ガタガタと震えるミンダの元に、メイドが近づいてきた。
「あ、ああぁあなた! あなた人質にされたのね!? 全く酷い――」
「違います」
「え?」
「私は自らの意思で、お嬢様を裏切りました」
「……」
腰が抜けてしまって動けないミンダのために、メイドは屈んで顔を近づけた。
「お嬢様。あなたは散々悪事を働いてきました。奴隷への扱い。労働者への拷問。数えあげればキリがありません。……私がその最終的な判断を下さねばならなかったこともたくさんあります。その度に心を痛めてきました」
「そ、そうよ。あなたが最後に判断したんだから、あなたのせいじゃない!」
「それは違うね」
セインが会話に割って入った。
「彼女は君に強制されて動いていたにすぎない。全ては君のせいだ」
「そんな……」
「ミンダ様。罪を認めてください」
「罪……?」
「そうです。権力を悪用して、多くの人々を傷つけてきたこと。そして……。今日にいたっては、大勢の労働者を無差別に殺そうとしたこと。全て償っていただきます」
「い、いや! 死にたくないわ!」
ミンダは涙を流し、必死で訴えた。
「カムラ! 私たち昔は友達だったじゃない! 同じ令嬢同士、争うなんて良くないことだわ! ね? 今すぐこの野蛮な副団長の剣を取り上げて!」
「……男爵令嬢に、何も触られたくないのでは?」
「それとこれとは話が別よ!」
「どうしようカムラ。彼女を大人しくしてしまった方が、話は早いと思うけど」
「いやぁあああ!!!」
頭を抱え、ぶるぶると震えるミンダの髪を、カムラは雑に掴んだ。
「こんな風にして……。髪を抜かれそうになったのは、いつだったでしょうか」
「ひっ……ひぐうぅ……!」
「謝ってください。過去の全てを。そして――今後二度とこの街には立ち入らないことを誓うのです」
「ち、誓いますぅ! だから許してください!」
「申し訳ございませんでした。さぁ言って?」
「申し訳ございませんでした!」
「……よし」
ミンダの頭を投げるように、カムラは髪を引きちぎった。
「いぎゃぁっ!」
床に倒れたミンダは、ヒクヒクと痙攣しながら、涙を流し続けている。
「後は……。あなたの好きにしてください」
カムラはメイドにそう呼びかけた。
メイドは早速、ミンダの顔面に蹴りを入れる。
「んがっ!」
ミンダは口を切ってしまい、口から血を吐いた。
「セイン。行きましょう。一度体制を立て直し――。準備をせねば」
「そうだね。……行こう」
ミンダの泣き声を背に受けながら、二人は伯爵家を後にした。
ガタガタと震えるミンダの元に、メイドが近づいてきた。
「あ、ああぁあなた! あなた人質にされたのね!? 全く酷い――」
「違います」
「え?」
「私は自らの意思で、お嬢様を裏切りました」
「……」
腰が抜けてしまって動けないミンダのために、メイドは屈んで顔を近づけた。
「お嬢様。あなたは散々悪事を働いてきました。奴隷への扱い。労働者への拷問。数えあげればキリがありません。……私がその最終的な判断を下さねばならなかったこともたくさんあります。その度に心を痛めてきました」
「そ、そうよ。あなたが最後に判断したんだから、あなたのせいじゃない!」
「それは違うね」
セインが会話に割って入った。
「彼女は君に強制されて動いていたにすぎない。全ては君のせいだ」
「そんな……」
「ミンダ様。罪を認めてください」
「罪……?」
「そうです。権力を悪用して、多くの人々を傷つけてきたこと。そして……。今日にいたっては、大勢の労働者を無差別に殺そうとしたこと。全て償っていただきます」
「い、いや! 死にたくないわ!」
ミンダは涙を流し、必死で訴えた。
「カムラ! 私たち昔は友達だったじゃない! 同じ令嬢同士、争うなんて良くないことだわ! ね? 今すぐこの野蛮な副団長の剣を取り上げて!」
「……男爵令嬢に、何も触られたくないのでは?」
「それとこれとは話が別よ!」
「どうしようカムラ。彼女を大人しくしてしまった方が、話は早いと思うけど」
「いやぁあああ!!!」
頭を抱え、ぶるぶると震えるミンダの髪を、カムラは雑に掴んだ。
「こんな風にして……。髪を抜かれそうになったのは、いつだったでしょうか」
「ひっ……ひぐうぅ……!」
「謝ってください。過去の全てを。そして――今後二度とこの街には立ち入らないことを誓うのです」
「ち、誓いますぅ! だから許してください!」
「申し訳ございませんでした。さぁ言って?」
「申し訳ございませんでした!」
「……よし」
ミンダの頭を投げるように、カムラは髪を引きちぎった。
「いぎゃぁっ!」
床に倒れたミンダは、ヒクヒクと痙攣しながら、涙を流し続けている。
「後は……。あなたの好きにしてください」
カムラはメイドにそう呼びかけた。
メイドは早速、ミンダの顔面に蹴りを入れる。
「んがっ!」
ミンダは口を切ってしまい、口から血を吐いた。
「セイン。行きましょう。一度体制を立て直し――。準備をせねば」
「そうだね。……行こう」
ミンダの泣き声を背に受けながら、二人は伯爵家を後にした。
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