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国王に認められた二人
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アイナがハメッドの新たな婚約者となってから、しばらく経ったころ……。
いよいよ、公爵家が終わる。
そんな話が街中に広がっていた。
公爵家が爵位を得た理由なども知れ渡ってしまい、批判は集まるばかり。
一方、それに反するようにして、侯爵家の評判は上がり続けていた。
頼りない公爵家の代わりに、隣国などからも信頼され、徐々に関係が太くなっていく。
特に、令息のオーレンはもちろんのこと、その公爵家から不運にも捨てられてしまった秀才――伯爵令嬢のリゼッタの評価は高かった。
「あぁ良かった。やはりリゼッタ様がいて助かりました」
「いえいえそんな……」
侯爵家の使用人たちからも、感謝されている。
オーレンは、その様子が誇らしかった。
「リゼッタ。調子はどうだい?」
「順調です。……しかし、伯爵家の令嬢でしかない自分が、ここまで侯爵家の取引に携わってもいいのでしょうか」
「構うもんか。君は元々公爵家の代わりに、交渉を行っていたこともあるそうじゃないか」
「少しですから……」
リゼッタは謙遜するが、ダメダメ公爵家が、まだ何とか相手にされていたのは、リゼッタの活躍によるものが大きい。
しかし、それに全く公爵家は気が付いていない様子で……。
次から次へと、主要な取引相手が、公爵家を捨てて、侯爵家と新たに契約を結ぶように変わってきている。
侯爵家と伯爵家が合わさって、一つの公爵家のような強い働きを持っているのだ。
◇
ある日リゼッタとオーレンは、国王に呼び出された。
「お主らの活躍には感謝するばかりだ。……情けない公爵家には、手を焼いておったからのう」
「もったいないお言葉です……」
「……うむ。お似合いの二人じゃな」
「なっ」
二人の顔が赤くなり、国王は大きな声で笑った。
「国のシンボルとして、侯爵家と伯爵家には頑張ってもらいたい。これからもますますの活躍を期待しておるぞ」
「シンボルですか……」
「そなたらは見るからに……幸せそうじゃからな。隣国からのイメージも抜群じゃ」
国王はもとより、楽観的で楽しいことを好む性格だった。
つまらない公爵家よりも、二人を優先するのは当然のことと言える。
「近々、公爵の爵位も没収することになろう……。長い時間がかかったが、そなたらのおかげで国を変えていくことができる。改めて感謝しよう」
「ありがとうございます……」
二人は頭を下げた。
そして、王の間を後にする。
「……大変なことになったね」
「えぇ……。プレッシャーを感じてしまいます」
「大丈夫。僕らなら支え合って、きっとこの国を豊かにしていけるさ」
「……はい」
二人は手を繋ぎ、歩き始めた。
いよいよ、公爵家が終わる。
そんな話が街中に広がっていた。
公爵家が爵位を得た理由なども知れ渡ってしまい、批判は集まるばかり。
一方、それに反するようにして、侯爵家の評判は上がり続けていた。
頼りない公爵家の代わりに、隣国などからも信頼され、徐々に関係が太くなっていく。
特に、令息のオーレンはもちろんのこと、その公爵家から不運にも捨てられてしまった秀才――伯爵令嬢のリゼッタの評価は高かった。
「あぁ良かった。やはりリゼッタ様がいて助かりました」
「いえいえそんな……」
侯爵家の使用人たちからも、感謝されている。
オーレンは、その様子が誇らしかった。
「リゼッタ。調子はどうだい?」
「順調です。……しかし、伯爵家の令嬢でしかない自分が、ここまで侯爵家の取引に携わってもいいのでしょうか」
「構うもんか。君は元々公爵家の代わりに、交渉を行っていたこともあるそうじゃないか」
「少しですから……」
リゼッタは謙遜するが、ダメダメ公爵家が、まだ何とか相手にされていたのは、リゼッタの活躍によるものが大きい。
しかし、それに全く公爵家は気が付いていない様子で……。
次から次へと、主要な取引相手が、公爵家を捨てて、侯爵家と新たに契約を結ぶように変わってきている。
侯爵家と伯爵家が合わさって、一つの公爵家のような強い働きを持っているのだ。
◇
ある日リゼッタとオーレンは、国王に呼び出された。
「お主らの活躍には感謝するばかりだ。……情けない公爵家には、手を焼いておったからのう」
「もったいないお言葉です……」
「……うむ。お似合いの二人じゃな」
「なっ」
二人の顔が赤くなり、国王は大きな声で笑った。
「国のシンボルとして、侯爵家と伯爵家には頑張ってもらいたい。これからもますますの活躍を期待しておるぞ」
「シンボルですか……」
「そなたらは見るからに……幸せそうじゃからな。隣国からのイメージも抜群じゃ」
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つまらない公爵家よりも、二人を優先するのは当然のことと言える。
「近々、公爵の爵位も没収することになろう……。長い時間がかかったが、そなたらのおかげで国を変えていくことができる。改めて感謝しよう」
「ありがとうございます……」
二人は頭を下げた。
そして、王の間を後にする。
「……大変なことになったね」
「えぇ……。プレッシャーを感じてしまいます」
「大丈夫。僕らなら支え合って、きっとこの国を豊かにしていけるさ」
「……はい」
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