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序章
第24話 おじさんと少女が邂逅しそうで、しなかったりするお話②
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さて、こちらは言語に対する謎が一向に解けないガールズチーム。
ハルフリーダは『変な話を振ってしまったのでは……』と、要らぬ心配をしながら慌てたように話題を変える。
「そ、そういえば明芽様たちは、どのようなご用件でサブロウ様を?」
その問いには明芽が答えるようだ。
「え? あぁ……私とエミィちゃん、魔法の知識がからっきしでね。それでサブロウさんって人が魔法に詳しいって聞いたから、教えてもらおうと思って尋ねに行ったの」
「そうだったのですか。私も魔法は少ししか使えないので、ご教授願いたいものです……」
うんうんと頷くエミリアは、危うく聞き逃すところだったハルフリーダの台詞に驚く。
「え⁉ ハルって、魔法使えるの⁉」
「はい。供応魔術を少々」
すると、それを聞いた明芽が「えー! 凄ーい!」と立ち上がり、ぴょんぴょんしながら続ける。
「ねえねえ! どんな感じなのか見せてくれない⁉ 私、まだ見たことなくってさ~」
「え、今ですか? ふふっ……何だか緊張しますね。お友達の前でやるのは初めてで……えへへ……」
頬を両の手で包み、照り焼きチキンの如くデレっデレになるハルフリーダ。
その姿に蘇り始めていた男客たちは再び白き灰となり、受付のお姉さんによってチリトリで掻き集められていた。
「うん。気持ちは分かるけど、早く見せてくれない? エミィも気になるからさ……!」
呆れつつも、うずうずしているエミリアに催促され、ハルフリーダはコホンと息を整える。
「それでは僭越ながら、やらせてただきます。アクセスコード019を申請いたします!」
すると、天から――
《お早う御座います、ハルフリーダ様。今回の申請、有難く承認させていただきます。もしよろしければ、アフタヌーンティーなどもご一緒に如何でしょう? 今ならリラクゼーション機能もお付けいたしますが?》
などと、低音ボイスがめちゃめちゃ下手に出てくる。
「長っ⁉ っていうか、こんな懇切丁寧な承認初めて聞いたんだけど⁉ 何コレ⁉」
「凄ーい! お姫様だと、やっぱり待遇が違うのかな?」
エミリアと明芽が驚く中、ハルフリーダは転輪する緑文字を掌に宿し、
「執行――【千なる愚者の灰狼】」
執行と共に力を解放、その手にドリンク剤を生み出した。
「はい。こちらをどうぞ」
ハルフリーダはそう言いながら、明芽にドリンク剤を手渡す。
「えっとー……これは?」
「栄養ドリンク剤です。飲んでいただくと、力が漲ります!」
想像してた魔法と違った明芽は、目をパチクリさせながらエミリアへと視線を向ける。
エミリアも同感のようで、「と、取りあえず飲んでみなさいよ……」と、恐る恐る勧めてくる。
「じゃあ……いただきます」
明芽は恐縮しながらドリンク剤の蓋を開け、グビッと飲み込む。その後、「ぷはぁ~」と吐息を漏らした。
それを見たエミリアは興味深そうに「ど、どう……?」と尋ねる。
「うん。なんか、ファイトが一発! って感じかな」
「へー……いや、よく分かんないけど……。美味しいってこと?」
「うん。ちょっと、お薬って感じがするけど美味しいよ。なんだか力も湧いてくるし!」
「そ、そう……。エミィはもっとファンタジックなのを想像してたんだけど……。まあ、明芽が気に入ってるならいいわ」
若干不服そうなエミリアに対し、ハルフリーダは満足気に微笑む。
「お気に召したのなら何よりです。他にもお弁当など出せますので、よろしかったら――」
「いや、大丈夫! エミィたち、お腹すいてないから……」
得意気に執行しようとするハルフリーダを、エミリアはそれとなく断った。
ハルフリーダは『変な話を振ってしまったのでは……』と、要らぬ心配をしながら慌てたように話題を変える。
「そ、そういえば明芽様たちは、どのようなご用件でサブロウ様を?」
その問いには明芽が答えるようだ。
「え? あぁ……私とエミィちゃん、魔法の知識がからっきしでね。それでサブロウさんって人が魔法に詳しいって聞いたから、教えてもらおうと思って尋ねに行ったの」
「そうだったのですか。私も魔法は少ししか使えないので、ご教授願いたいものです……」
うんうんと頷くエミリアは、危うく聞き逃すところだったハルフリーダの台詞に驚く。
「え⁉ ハルって、魔法使えるの⁉」
「はい。供応魔術を少々」
すると、それを聞いた明芽が「えー! 凄ーい!」と立ち上がり、ぴょんぴょんしながら続ける。
「ねえねえ! どんな感じなのか見せてくれない⁉ 私、まだ見たことなくってさ~」
「え、今ですか? ふふっ……何だか緊張しますね。お友達の前でやるのは初めてで……えへへ……」
頬を両の手で包み、照り焼きチキンの如くデレっデレになるハルフリーダ。
その姿に蘇り始めていた男客たちは再び白き灰となり、受付のお姉さんによってチリトリで掻き集められていた。
「うん。気持ちは分かるけど、早く見せてくれない? エミィも気になるからさ……!」
呆れつつも、うずうずしているエミリアに催促され、ハルフリーダはコホンと息を整える。
「それでは僭越ながら、やらせてただきます。アクセスコード019を申請いたします!」
すると、天から――
《お早う御座います、ハルフリーダ様。今回の申請、有難く承認させていただきます。もしよろしければ、アフタヌーンティーなどもご一緒に如何でしょう? 今ならリラクゼーション機能もお付けいたしますが?》
などと、低音ボイスがめちゃめちゃ下手に出てくる。
「長っ⁉ っていうか、こんな懇切丁寧な承認初めて聞いたんだけど⁉ 何コレ⁉」
「凄ーい! お姫様だと、やっぱり待遇が違うのかな?」
エミリアと明芽が驚く中、ハルフリーダは転輪する緑文字を掌に宿し、
「執行――【千なる愚者の灰狼】」
執行と共に力を解放、その手にドリンク剤を生み出した。
「はい。こちらをどうぞ」
ハルフリーダはそう言いながら、明芽にドリンク剤を手渡す。
「えっとー……これは?」
「栄養ドリンク剤です。飲んでいただくと、力が漲ります!」
想像してた魔法と違った明芽は、目をパチクリさせながらエミリアへと視線を向ける。
エミリアも同感のようで、「と、取りあえず飲んでみなさいよ……」と、恐る恐る勧めてくる。
「じゃあ……いただきます」
明芽は恐縮しながらドリンク剤の蓋を開け、グビッと飲み込む。その後、「ぷはぁ~」と吐息を漏らした。
それを見たエミリアは興味深そうに「ど、どう……?」と尋ねる。
「うん。なんか、ファイトが一発! って感じかな」
「へー……いや、よく分かんないけど……。美味しいってこと?」
「うん。ちょっと、お薬って感じがするけど美味しいよ。なんだか力も湧いてくるし!」
「そ、そう……。エミィはもっとファンタジックなのを想像してたんだけど……。まあ、明芽が気に入ってるならいいわ」
若干不服そうなエミリアに対し、ハルフリーダは満足気に微笑む。
「お気に召したのなら何よりです。他にもお弁当など出せますので、よろしかったら――」
「いや、大丈夫! エミィたち、お腹すいてないから……」
得意気に執行しようとするハルフリーダを、エミリアはそれとなく断った。
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