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第六章:ドドス共和国
6-12デベローネ神父
しおりを挟む「賢者の石ですって!?」
デベローネ神父が見せびらかせているその宝石が賢者の石とか言うやつらしい。
カリナさんはそれを聞いて大いに驚く。
そしてネッドさんも驚きながら言う。
「賢者の石がもし本物だとすればその力は測り知れない。無限とも言われる魔力を手に入れられれば魔術師としてその力は絶大になってしまう……」
驚くその中デベローネ神父は高笑いをしながらその指輪を高々と掲げて自慢げに言う。
なんかその態度がもの凄くむかつく。
「ふははははははぁっ! どうだ? いくら貴様らが束になってかかってこようともこれがる限り我は無限の魔力を……」
「『消し去る』!」
私はよくわからないけどルラを助ける為にそしてむかついたのでデベローネ神父が見せびらかせているその賢者の石とか言う宝石を消し去った。
「へっ!?」
呆気に取られているデベローネ神父。
すると途端に外に降っていた雨足が弱くなり始め、ルラを襲っていた鎧骸骨も動きを悪くし始める。
もしかして降っている雨も消し去ったその賢者の石とかってのが原因なのかな?
そして何故かカリナさんもネッドさんもトーイさんもザラスさんも、そしてデベローネ神父も見事に声をハモらせて叫ぶ。
「「「「あ”あ”ぁ”ぁぁぁぁぁぁぁ――――っ!!!!」」」」
一体何だと言うのだろう?
そんなヤバいアイテムがあったらいくらルラが「最強」のスキル持っていたって大変でしょうに?
「リルぅっ! 何てことするのよ!!!!」
「リ、リル、賢者の石なんですよ!?」
「あー、お宝がぁ……」
「あれが本物なら一生遊んで暮らせるほどなのに……」
何故かカリナさんは私の両の肩を掴んで激しく揺さぶる。
「リル! 何てことするのよ!! あれ奪い取って売り払えば莫大なお金が入って来て数百年は遊んで暮らせると言うのに!!」
「あわわわわぁ、カ、カリナさん止めて止めて!」
思い切りがくがく揺さぶるカリナさんに舌を噛みそうになりながら私はそう言う。
しかし涙目になってカリナさんは鼻と鼻がくっつきそうなほど顔を近づけて言う。
「リルぅ~!!」
「わわ、近い近い!」
カリナさんに迫られて焦る私。
と、ここで地獄の底から聞こえて来そうな声がする。
「ふ、ふざけるなぁ! 賢者の石だぞ? 秘宝だぞ? そ、それを消し去っただとぉ!? このバカエルフが! なんて事してくれたんだ!!」
どうやら声の主はデベローネ神父その人らしい。
何とかカリナさんを押し退けそちらを見ると血の涙を流すかのようにしてこちらを睨んでいる。
でもそんな事言われたってそんなモン自慢げに私に見せるんだもん。
それが無ければきっとルラにけしかけている鎧骸骨もあの防壁魔法も、精霊力の阻害も出来なくなるだろうと踏んで出たのに、なんかものすごく怒こられている。
しかも仲間であるはずのカリナさんにまで。
なんか納得いかない。
ぶつぶつと文句を言いたかったけど、そんな私の雰囲気を吹き飛ばす勢いでご立腹のデベローネ神父。
あんまり怒こると頭の血管切れるよ?
「ゆ、許せん! 貴様八つ裂きにしてくれる!!」
「そうはさせないよ! お姉ちゃんはあたしが守るんだから!!」
すっ!
ばごーんっ!!
「がはっ!」
ご立腹のデベローネ神父にいつの間にか鎧骸骨を始末して迫っていたルラがデベローネ神父の上に現れて一気に殴り飛ばす。
哀れデベローネ神父は床にバウンドして白目をむいて気を失った。
「よっしぃ! 悪いやつは成敗!!」
とん。
ルラは床に降り立ちこちらに向かってブイサインを出している。
私はにっこりと笑ってルラの元へと行くのだった。
* * * * *
「どうやら魔力供給が無くなったので天候を操る水晶はその力を失ったようですね」
ネッドさんはそう言いながらあの水晶を見ている。
古代魔法王国時代のマジックアイテムらしいけど大元の魔力供給が無いと動かないらしく今はその機能を止めているとか。
使い方が分からないので止めたりする方法が分からなかったけど、魔力切れで動かないって言うならもう大丈夫だろう。
なので今はそれを回収する為にネッドさんが台座から外している所だ。
「ところでこの人どうするの?」
「うーん、とりあえず気が付いたらなんでこんな事したとか聞いてみないとね」
「ふっふっふっふっふっ、トーイ、ザラスこいつをひん剥いて持ち物全部没収よ? その後私が『至高の拷問』してあげていろいろと吐いてもらうわ!」
なんかカリナさんが不穏な事言いながらデベローネ神父を見ている。
確かジュメルとか言う秘密結社の七大使徒とか言っていたっけ?
ジュメルの中でも偉い人なのだろうか?
まあ、その辺はカリナさんにお願いしてこれでやっと雨が止む。
そして内緒で洪水とか川の氾濫をチートスキル「消し去る」で消しちゃえばやっとドドス共和国に向かえる。
窓の外を見るともう雨は止んで所々に雲が切れ始めている。
久しぶりに青い空も見え始めた。
私はその様子を見てほっと胸をなでおろすのだった。
……誰よ、今無い胸は撫でおろせないとか思った人は!?
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