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第十五章:動く世界
15-26服従
しおりを挟む「はぁはぁはぁ、リルいい加減に諦めたら?」
「はぁはぁはぁはぁ、た、たとえ体を好きにされても……絶対にあなたのモノになんか…… ならないっ!」
既にどれだけの時間が経っているか分からなくなっていた。
私の流した汗のせいでベッドがだいぶ森の香りになってしまった。
エルフ族の体臭は森の香りがする。
流れる汗は樹木のような香りがして、その香りは人族には清々しい森の香りに感じられるらしい。
これは私たちがその昔「樹木と精霊」から古い女神様に創られたからだと言われれている。
「ふう、だいぶ森の香りが強くなったわね…… 確かエルフ族の体臭よね? それに笹の様な香りまでしているからもっと違う所も臭ってきているのかしら?」
「ひっ! い、言わないで!!」
「ふぅ~ん、こんなに私にされてるのにまだ恥ずかしいんだ…… じゃあこうよ!」
すんすん
アリーリヤはそんな事を言いながら私の体の隅々まで香りを楽しむ。
もの凄く恥ずかしい。
汗臭さとかいろんな場所の匂いを嗅ぎながらアリーリヤはいちいち感想を言ってくる。
「ふぅ~ん、ここが笹の葉の様な香りがするのね? あらこっちはもっと甘い香りがする、ほんとエルフ族って面白い!」
「もう……やめてぇ……///////」
もの凄く恥ずかしい。
私のくさい臭いをかがれ、そしてニヤニヤと私に言って来るアリーリヤ。
「【浄化魔法】かけて欲しい? そうすれば体臭なんかすぐになくなるわ。もっとも、人族である私には全然気にならない香りなんだけどね」
「ううううぅぅぅぅ/////////」
真っ赤になりながらも鎖を引っ張られるごとに匂いをかがれやすくなるように体が動く。
あんな格好やこんな格好、いくら女同士でもぜったに見せられないような恰好までさせられる。
「ふふふふふふ、それじゃぁそろそろやろうかしら?」
「い、いやぁ、やめてぇ……」
アリーリヤは私の足を開きそこへ自分の足を割り込ませ、腰をグイっと引き寄せ覆いかぶさりながら言う。
そしてそっと薄い胸の横に手を差し入れ……
こちょこちょこちょこちょっ!
「あーっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ!」
わきに手を入れられそこをくすぐられる。
くすぐりって場所によってその感じ方が違うので我慢できずに笑い声が上がってしまう。
アリーリヤは私のわきをくすぐりながら首筋も舐めて来る。
れろぉ~
「ふふふふふふ、面白いわよね、リルのここって汗も森の香りなんだけど甘く感じるわ」
「い、いやぁ…… あーひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!」
味見とか言われてあちらこちらも舐め回されている。
その都度恥ずかしい事言ってくるからもう何が何だか分からなくなってくる時がある。
「あら、ほんとアリーリヤも好きよね? まだリルさんを楽しんでいるの? こっちはうまく行ったわ。ルラさんはもう夢の中。私の意のままよ」
「はぁはぁはぁ、イリカ、ルラを落せたのね?」
「ええ、残念ながらこの二人に『時の指輪』を産ませることは出来ないかったけど、ルラさんのスキルは自由に使えるよういなったわ。後はリルさんだけよ?」
ルラのスキルが自由に使えるようになった?
私はくすぐられ辱められ意識が遠のきそうになる中その言葉を聞いた。
まさかルラもイリカにこんな恥ずかしいことされて屈服したの!?
「【幻夢魔法】か…… リルにも使ったけど意志が強いとちょっとした誤弊から意識を取り戻すのよね」
そう言いながらアリーリヤは無理矢理私に口づけをしてくる。
「んむっ!」
ちゅば、ちゅばっ!
「ぷはぁっ、ほんと可愛らしいわ。早く身も心も私のモノになりなさいよ!」
「はぁはぁ、いや! 誰があんたのモノになんか!!」
それでも私は意識を振り絞ってアリーリヤに抗う。
が、先ほどキスされた時に何か口に入れられたのに今更気付く。
「飲み込みなさい」
「んぐっ!? ごくん…… な、何を飲ませたのよ!?」
「ふふふふふふ、気持ちよくなる薬よ。あんまり飲ませると壊れちゃうから使いたくはなかったのだけどね……」
アリーリヤはそう言ってニヤリと笑う。
ぐらっ!?
急に視界が歪む。
まるでお酒でも飲まされたかのように目の前がまわり始める。
「くっ、こんなの……」
「ふふふふふ、こう言うのってあまり好きじゃないんだけどそろそろ仕上げよ。【幻夢魔法】!」
「あっ……」
アリーリヤのその魔法に私は精神抵抗することなくすんなりとかかってしまうのだった。
◇ ◇ ◇
薄暗い何も無い場所に私は華奢な椅子に座らせられている。
そして目の前にはエルハイミさんがいる……
いや、この雰囲気はあの駄女神の方かな?
『あなたたちの身体は元の世界ではもう焼かれてなくなってしまいましたわ。まあ、私が本気になれば時間を戻して事故の前のあなたたちを救う事も出来ますがそれだと面白くないのですわ』
「は? 何それ?? ちょと駄女神、何言い出すのよ!?」
『だから私を楽しませるためにあなたたちには双子のエルフになってもらって苦労してもらい、楽しませてもらいますわ♪』
「ちょ、ちょっと」
なにこれ?
これは確か私たちがこっちの世界に来る時の……
記憶?
いや、本当の記憶!?
「あっ!?」
私が小さな悲鳴を上げた瞬間足元にぽっかりと真っ暗な深い穴が開き私は落とされてゆく。
それを上からいやらしい笑い顔でニヤリとしながら手を振っている駄女神がいた。
私はそれを見ながらどんどんと奈落の底へと落ちて行くのだった。
◇ ◇ ◇
「リル、ルラ何処にいるのよ?」
私はお花を摘むのをやめる。
レミン母さんが私たちを呼んでいる様だ……
「まったく、ただでさえ二人もいて大変なんだからどこかへ行かない。ほんと、気味の悪い娘たちよね……まだ十五歳だというのにやたらと物分かりが良いし、妙に利口だし……」
言いながら保護者であるレミン母さんは私たちを引き連れて家に戻る。
そして茹でたエルフ豆を山盛りにして目の前に差し出す。
「忙しいからさっさと食べなさい」
私とルラは言われてそれを黙々と何も言わず食べ始める。
毎日毎日エルフ豆の塩茹で。
他のものを食べたのはいつ以来だっただろうか……
何も変わらない、何も変われない閉鎖的なこのエルフの村。
私たちは一生この閉鎖された村で生きて行かなければならないのだろうか?
◇ ◇ ◇
「あなたたち本当に十五歳なの?」
「え、えっとそうですけど……」
泉で水浴びをしていたらお隣さんのシャルさんが来た。
エルフの村では水浴びは男女混浴。
とは言え、中には男の人だか女の人だか下半身を凝視しないと分からないような人もいる。
でもお隣さんのシャルさんはエルフの中ではそれなりに女性らしいスタイルで、出る所はそこそこ出て、腰回りもきゅっとしまっている。
「ふぅ~ん、お母さんのレミンさんはいないの? 二人だけ? よくもまあこんな若木二人だけで水浴びに来るわね」
「……すみません、お父さんもお母さんも忙しいって」
「まあいいわ、あなたたちは十五歳の癖にやたらと大人っぽいので有名だもんね」
そう言ってシャルさんは水浴びを始める。
お隣のエルフのお姉さん。
たまには私たちの面倒を見てくれるけど、私たちは年相応でないと村のみんなに気味悪がられている。
勿論シャルさんも……
「そうだ、今日は姉さんたちが来るんだった。あなたたちも会ってみる?」
「はい? シャルさんってお姉さんがいたんですか?」
「ええ、『女神の伴侶シェル』って呼ばれているステキな姉さんよ。それに今日は女神様も一緒に来るからあなたたちも来てみなさいよ」
「は、はぁ……」
珍しくおよばれした。
村では気味悪がられていた私たちは、村人たちとしてはあまり関わり合いを持ちたがらない人が多い。
でもシャルさんは一応お隣さんと言う事でこうしてたまに声を掛けてくれる。
私は頷きシャルさんの家に行って見ることにした。
* * *
「姉さん!」
「あらシャル、元気だった?」
シャルさんの家に一緒に向かっていると玄関の扉の所にちょうど誰かがいた。
シャルさんは大喜びでその人たちの所へ行く。
そして声をかけたエルフの人はシャルさんにどことなく似ている凄い美人のエルフのお姉さん。
長い透き通るような金髪、深い緑色の瞳、白い肌、そしてエルフにしてはかなり胸が大きい大人のエルフ。
しかしそんな素敵なシャルさんのお姉さんより私には気になる人物が隣にいた。
隣にいる彼女はゆっくりとこちらに振り返る。
金髪碧眼、こめかみの上に三つづつトゲのよな癖っ毛が生えていて、年の頃十七歳前後、エルフ顔負けの凄い美少女なのだけど私は知っている。
「エルハイミさん……」
そう、この世界の今の女神様だった。
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