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知られざる力
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「あ、ま、まま待って、連絡取れないのはもしかしたら私のせいかも…」
クロエは気付いてしまった。
城の結界が張られているだろうことは攻撃をされては困るのだから分かる。
しかし、結界に外からの攻撃を防ぐだけではなく、外からの転移を防ぐ効果もあるのだとしたら、この部屋へ転移してこれたことは確かに大問題だと。
結界に転移防止の効果があるなんてことは知られてはいない。というか転移魔法を使える者が少なすぎて話題に上がらない。
しかし、考えればそんな効果があっても不思議ではなかったし、頭の中では結界の中から外へ出れるような想像がつかなかった。
「結界には結界内への転移防止の効果もあるものなの?」
「そうだよ?」
ドアへ向かって歩いていたフリードは歩みを止めている。
全然笑えない。全く笑えない事実だ。
透視魔法と同等の内密にしなければならない力を晒してしまったと言うことだ。
結界内のここへ来れたことはもう隠しようのない事実。
家の結界にも同じ効果があるのなら、転送装置が利用出来ず連絡が取れないのは頷ける。
ダリアは転送装置でイシュトハンへ来ていたが、クロエが転送装置へ魔力を送り込んでいるため、結界の効果に気付くには至らなかった。
今は帰れなくて困っているのかもしれない。
今まで手紙が一通も届いていないと仮定して、父や母は何故気付かなかったんだ!
もっと早く気付いていればここには来なかったのにっ!
「常時魔法を使い過ぎていると私に言いましたよね?言われるまですっかり忘れていたのですが、虫除けのために屋敷に弱い結界を張っているんです。連絡を取れなくなったのはそれが原因だと」
「あぁ成る程。そのことはすぐ陛下へ報告しよう。それで?知らなかったとはいえ、この結界の中へ侵入した方法は教えてもらえるのかな?」
教えるも何も、特別な事はしていないのだから言えるわけがない。
こっちだって知らずに結界内に侵入してるんだから!
「結界内に転移して来られないなんて知らなかったのよ。私は普通に転移しただけよ」
「いつもと同じ転移魔法を使用したということだね?」
「ええそうよ」
転移してきたことを無かったことにしたい…
このまま逃げられず、王家との結婚を条件にイシュトハン領を認めるとか言われたら受けざるを得ないだろう。
本気で独立を考えるかもしくは個人の問題だとしたらこのまま逃げるべきだ。
「確かにクロエは無詠唱で転移魔法を使えるし嘘をついているようには見えない。でもそれはそれで問題だ。君の魔法は僕が解析出来ない部分も多い」
「それで?ここに転移出来る私はどうなるのです?」
「んー僕が爵位をもらって、従来通りプリンスの身分は捨てずに結婚するのが1番いいと思うけど、それは君にとっても僕にとっても最良の結末ではないだろう…まぁ今日のところの報告は何とか誤魔化すが、それは僕との結婚を受け入れてくれる前提になる」
陛下に嘘をついてまで婿入りを希望しているのかと呆れるが、それならば選択は一つしかない。
「フリード、陛下にはそのまま報告を。私は貴方に利用される人生を望みません」
クロエの静かな笑みが、残像の様にフリードの目に焼き付いていたが、もうそこにクロエの姿はなかった。
クロエは気付いてしまった。
城の結界が張られているだろうことは攻撃をされては困るのだから分かる。
しかし、結界に外からの攻撃を防ぐだけではなく、外からの転移を防ぐ効果もあるのだとしたら、この部屋へ転移してこれたことは確かに大問題だと。
結界に転移防止の効果があるなんてことは知られてはいない。というか転移魔法を使える者が少なすぎて話題に上がらない。
しかし、考えればそんな効果があっても不思議ではなかったし、頭の中では結界の中から外へ出れるような想像がつかなかった。
「結界には結界内への転移防止の効果もあるものなの?」
「そうだよ?」
ドアへ向かって歩いていたフリードは歩みを止めている。
全然笑えない。全く笑えない事実だ。
透視魔法と同等の内密にしなければならない力を晒してしまったと言うことだ。
結界内のここへ来れたことはもう隠しようのない事実。
家の結界にも同じ効果があるのなら、転送装置が利用出来ず連絡が取れないのは頷ける。
ダリアは転送装置でイシュトハンへ来ていたが、クロエが転送装置へ魔力を送り込んでいるため、結界の効果に気付くには至らなかった。
今は帰れなくて困っているのかもしれない。
今まで手紙が一通も届いていないと仮定して、父や母は何故気付かなかったんだ!
もっと早く気付いていればここには来なかったのにっ!
「常時魔法を使い過ぎていると私に言いましたよね?言われるまですっかり忘れていたのですが、虫除けのために屋敷に弱い結界を張っているんです。連絡を取れなくなったのはそれが原因だと」
「あぁ成る程。そのことはすぐ陛下へ報告しよう。それで?知らなかったとはいえ、この結界の中へ侵入した方法は教えてもらえるのかな?」
教えるも何も、特別な事はしていないのだから言えるわけがない。
こっちだって知らずに結界内に侵入してるんだから!
「結界内に転移して来られないなんて知らなかったのよ。私は普通に転移しただけよ」
「いつもと同じ転移魔法を使用したということだね?」
「ええそうよ」
転移してきたことを無かったことにしたい…
このまま逃げられず、王家との結婚を条件にイシュトハン領を認めるとか言われたら受けざるを得ないだろう。
本気で独立を考えるかもしくは個人の問題だとしたらこのまま逃げるべきだ。
「確かにクロエは無詠唱で転移魔法を使えるし嘘をついているようには見えない。でもそれはそれで問題だ。君の魔法は僕が解析出来ない部分も多い」
「それで?ここに転移出来る私はどうなるのです?」
「んー僕が爵位をもらって、従来通りプリンスの身分は捨てずに結婚するのが1番いいと思うけど、それは君にとっても僕にとっても最良の結末ではないだろう…まぁ今日のところの報告は何とか誤魔化すが、それは僕との結婚を受け入れてくれる前提になる」
陛下に嘘をついてまで婿入りを希望しているのかと呆れるが、それならば選択は一つしかない。
「フリード、陛下にはそのまま報告を。私は貴方に利用される人生を望みません」
クロエの静かな笑みが、残像の様にフリードの目に焼き付いていたが、もうそこにクロエの姿はなかった。
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