【ルーズに愛して】指輪を外したら、さようなら

深冬 芽以

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「龍也! あきら!」

 店に入ってきた二人を見て、陸が呼ぶ。

「なに、二人で来たのか?」

「いや、そこで会った」

 あきらと目が合って、その表情で一緒に来たのだとわかった。

 二人から会費をもらい、封筒に入れ、バッグにしまった。

「まずはビールでいいか?」と、陸が聞く。

「私、ウーロン茶で」と、さなえ。

「飲まないの?」と、あきらが聞いた。

「うん。大斗が風邪気味で先に帰るかもしれなくて」

「最近寒いもんね」

「私もさっき、同じこと言った」と言って、私は笑った。

「んじゃ、ビール六つにウーロン茶一つな」

 陸が部屋から顔を出し、店員に注文した。開けておいた襖を閉める。

 店内が混みあってきて、乾杯から盛り上がる学生らしき若者の笑い声が響いた。

「大斗くんて保育園に行ってるんだっけ?」

 麻衣が聞いた。

「うん。毎日じゃないけどね」

「そんな、都合よく通えるの?」

「うん。無認可だから、融通が利くの。きっちり時間と日数を決めて通ってる人もいれば、週ごとに申請して通ってる人もいるの」

「へぇ」

 ふと、龍也が目に入った。

 心配そうにあきらを見ている。



 ホント、バレバレ……。



 当のあきらは黙ってさなえの話を聞いていて、別に辛そうとか悲しそうには見えない。



 気にしてるのは、あきらより龍也か……。



 過保護になりすぎるのも困りものだな、と思った。

 店員が二人、飲み物を運んできた。三十代に見える男性の店員はトレーを置くとすぐにいなくなった。二十代前半に見える女性店員が、トレーからテーブルにビールを移す。私とあきらも手伝った。

「すぐにお料理もお持ちします」

 女性店員はそう言って、襖を締めた。

 私と陸で少し早めに来て、とりあえずの料理を注文しておいた。

 後は、各自で追加注文する。

 以前はコース料理を注文していたが、飲むばっかりで料理を残しがちになり、やめた。

「んじゃ、とりあえず乾杯すっか」

 陸が、ビールを持って肘より高く上げた。

「今回は全員揃って良かったよ。次の幹事は龍也とあきら、な。大斗の風邪が早く治ることを願って、乾杯!」

「なにそれー」と、さなえが笑う。

「大斗くん、今頃くしゃみしてるよ」と、麻衣。

「帰れコール来たら、陸のせいだな」と、大和。

「え!? マジで?」

「ほら! 早く始めないと、ホントに電話きちゃうよ」

 なかなか乾杯にならない男たちを放って、私はあきらのグラスに乾杯した。

「だな! 乾杯!」

 カチャンッとグラスがぶつかる音。それから、ゴクッゴクッと喉を鳴らしてビールを流し込む音。
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