【ルーズに愛して】指輪を外したら、さようなら

深冬 芽以

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9.面倒臭い快感

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「ああ――っん」

 イッて間もない膣内が、更なる快感に悶える。比呂を受け入れる悦びに、蜜を溢れさせた。

「ん……」

 比呂がゆっくりと奥を目指して突き進む。

「さっきの……良かったけど、やっぱ膣内には敵わねーな」

 比呂がふるっと身震いして、歯を食いしばった。額と鼻の頭に汗が光る。

 私は彼の鼻の頭の汗を、親指の腹で拭った。

「寂しかった?」

「千尋は……?」

「全然?」

「俺のパーカー、着てたくせに?」

 比呂がニッと片方の口の端を上げて笑う。

「出かける時にハンガーに掛けておいたのに、なんでベッドの上にあった?」

「……ハンガーから落ちたんじゃない?」

 可愛くないことを言った。

 比呂のいないふた晩、彼のパーカーを着て眠った。比呂に抱き締められているようで安心できたなんて、恥ずかしすぎて言えない。

「素直じゃねーな」

 比呂がハハッと笑う。

「そこが可愛いんだけど」

「変態!」

 ズルッと引き抜いて、グンッと最奥まで一気に突き上げる。思わず叫びそうになったが、堪えた。

「愛しい恋人にそんなん言うなら、土産やんねーぞ?」

「誰が愛しい恋人よ」

「言ったろ? 俺と面倒臭い恋愛しよう、って!」

 大きく、腰を一振り。膣内が痺れる。

「……っなんっか……違う」

「そうか? ま、何でもいいだろ」

「テキトーすぎっ!」

「いーんだよ。昨日の嫌のこと忘れるくらいのセックス、しよーぜ」

 また、大きく一振り。

「足……下ろして」

「なんで? 奥まで届くだろ?」

 もう一度。

 もっと動いて欲しくて、膣内が疼く。



 だけど……。



「キス……して……」

 比呂が少し驚いた顔をして、それから、顔を背けた。肩から私の足を下ろす。

「俺が早漏になったら、お前のせいだかんな」

「なんでよ」

「なんでも。ほら、キスしよーぜ」

 ゆっくりと、優しく唇が重なり、どちらからともなく差し出した舌が絡み合い、私は比呂の首に腕を絡めて、もっともっととせがんだ。

 比呂も私の肩をしっかりと抱いて、ぎこちなく腰を揺り動かした。

 唇がふやけるまで、キスをした。
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