【ルーズに愛して】指輪を外したら、さようなら

深冬 芽以

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11.波乱の忘年会

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「龍也がそこまで本気とはなぁ」と、大和が感慨深そうにビールを飲む。

「つーか、あきらは? 龍也のことどう思ってんだよ?」と、陸。

「好きでもない男とヤルような女じゃないだろ? お前」

 ただでさえ素直じゃないあきらに、この場で自分の気持ちを認めさせるのは、さすがに酷だと思った。

「そんなこと――」

「当たり前じゃないですか!」と、私の言葉を遮って、龍也が言った。

「あきらはそんな女じゃないですよ。けど、素直じゃないからなかなか認めてくんないだけです」

「そんな、難しいことか?」

「それは――」

「そりゃ、そうよ。仲間内でデキちゃって、ダメんなったら、気まずくて堪んないじゃない」

 龍也が上手くかわすだろうことはわかっていたが、歯を食いしばるあきらを見ていると、これ以上龍也に想いをぶつけられるのはツラいだろうと思った。

 本当なら、今すぐにでもこの場から飛び出したいだろう。

「それに、龍也の気持ちがこんだけ本気で、しかも結婚まで考えてるなら、悩まないはずないじゃない」

「えっ!? それって俺が重いってこと?」

「いや、重いってより重すぎだろ。死ぬまで、とか」

「じゃあ、結婚してくんなきゃ死んでやる、とか?」

「あーーー……。あきら、じっくり考えろ?」

「うん、その方がいいよ。龍也がいい奴なのはわかってるけど、さすがに怖いわ」

 麻衣があきらの顔を覗き込む。

「それに、恋愛と結婚は違うからね」

「そうだな。それで失敗した例がここにいるし、じっくり考えろ。週末に会うだけなら、お互いに格好つけていられても、一緒に暮らすとなるとそうはいかないからな」

 陸の言葉に、部屋の空気が冷える。酔いも醒めそうだ。

 内容が内容だけに、流しずらい。

「経験者の言葉、重すぎるよー」と、麻衣がちょっとおどけて言った。

「ありがたいだろ?」と、陸がケラケラと笑う。

「ありがたくないよ!」

「そうよ。あきらが益々尻込みしたら、陸のせいだかんね」

「知るかよ! つーか、千尋と麻衣はどうなんだよ! いくらイギリスに行く前に結婚しろとは言っても、三人立て続けはきついぞ」

「確かに! うちは子供も増えるし、ご祝儀貧乏とかなりたくないぞ」と、大和。

「ああ。私はないない! ってか、そろそろ別れるし」

「はあっ!? なんで? お肌艶々効果がキレたか?」

「なんでよ! 私は前からお肌艶々です!!」

「じゃあ、なんでだよ?」

「もともとそんな真剣な付き合いじゃなかったのよ。私はあきらと違って、『いい男だなー』ってくらいの気持ちでヤレちゃう女なんで」

 私にしては珍しく自虐的なことを言ってしまった。

 けれど、私に普通の恋愛、普通の結婚が出来ない以上、そんなフザけた女だと思われている方が都合がいい。

「……素直じゃないのはどっちよ」

 ずっと黙っていたあきらが、言った。私を睨みつけて。

「地球滅亡の瞬間、千尋が一緒に居たいのは誰?」

「え――」
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