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13.再会の意味
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しおりを挟む亘と因縁の再会をして一か月。
毎年のことだが、工場が休みに入る前に発注しようと、打ち合わせが立て込み、クリスマスどころではなく、慌ただしくお正月休みに入った。
再会の翌週、月曜日には本契約を交わし、今後の流れを説明した。その場には、瑠莉さんも同席していた。
水曜日に一回目の打ち合わせがあったが、比呂と金城くんが出向いた。まだ、私の出番ではない。
帰って来た比呂は不機嫌で、その理由を金城くんが教えてくれた。
「大河内さんて相川さんの同級生なんですよね? 元カレかなんかですか? 婚約者が席を外した時、相川さんの話をしだして、なんか、すっげぇ……遊んでる……みたいなこと言ってて。相川さんは年下も既婚者も関係なく手当たり次第だから、気をつけろとか言われて……。あ! 俺はそんなこと信じないですよ? 主任も、大河内さんが昔相川さんに振られでもして、腹いせにでたらめ言ってるんだろうって言ってましたし」
予想はしていた。
だから、比呂にもそれは言ってあった。
比呂からその話はされなかった。
二回目の打ち合わせはその一週間後。
年末の挨拶を兼ねていたから、比呂と私と長谷部課長も同行した。
この時も瑠莉さんが同席していたし、課長が一緒だったこともあって、亘は何も言わなかった。ただ、気色悪い笑みを浮かべて、私をじっと見ていただけ。
「相川。有川の言う通り、絶対にあいつと二人きりになるなよ」と、打ち合わせの帰りに課長に言われた。
「ありゃ、相当危ないだろ」
年が明け、三回目の打ち合わせも比呂と金城くんが出向いた。一回目同様に私のことを色々と言っていたようだが、やはり比呂は何も言わなかった。
そして、四回目の打ち合わせ。
瑠莉さんがインテリアのカタログを見ながら考えたいと言うので、私も同行した。
比呂と金城くんは図面を見ながら、配線関係の話をしていた。電気関係については工事部門の担当がいるのだが、インフルエンザで一昨日から休んでいた。だから、今日は希望を聞いて、後日担当者に伝えることになっている。
私と瑠莉さんは窓際でカタログを広げていた。
二時間ほど経過して、私は瑠莉さんに誘われて、ホテル内のカフェで休憩を取った。
瑠莉さんは亘の本性など全く気付いていなくて、高校時代の亘の話を聞きたがった。私は、当たり障りのない、瑠莉さんが喜びそうに大袈裟に亘を美化した話をした。
休憩なのに、すごく疲れた。
部屋に戻る途中、瑠莉さんのスマホが鳴り、私は先に戻った。ドアを開けた瞬間、空気の悪さに気づく。
こちらも休憩していたのか、三人は図面を脇に寄せ、コーヒーを前にしていた。あの、愛人らしい秘書が持って来たのだろうか。
とにかく、三人はコーヒーを片手に談笑している様子ではなく、いや、亘だけは楽しそうだ。比呂は膝の上で組んだ両手に、やけに力が入っている。手の甲に指が、爪が食い込んでいそう。金城くんは、青い顔で俯いている。
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