3 / 11
第一章
3 これって結局修羅場なのか!?
しおりを挟む
~3年前~
「う、うーん。」
やけに重く感じる身体を起こして、辺りを見回す。
遺跡のような文様がそこかしこにあり、どこか近未来とさえ思えてしまうようなそんな場所。
目の前には美しい白銀のドレスを身にまとい、こちらを覗き込んでいる女性。
「目が覚めましたか、春美さん?」
「ええ、まあ…。」
どうやら向こうはこちらのことを知っているようだ。
「私は精霊王。世界と世界を繋ぐ架け橋のような役目を担っています。」
よく見るとその精霊王と名乗る女性の背中から蝶々のような羽が生えている。
見間違いかと思い、一度目を腕でゴシゴシと擦る。
再度見てみたが、やはり生えている。
羽の動きを見ても、ただのコスプレとは思えない。
「あの…ここは…?」
「ここは世界の狭間。春美さんはトラックに引かれて命を落としました。…これは覚えていますか?」
「トラックに…そうか、あの時。」
確かに一瞬の出来事だったが、なんとなく覚えている。
強い衝撃、周りから聞こえてくる悲鳴、赤く染まった視界。
思い出すだけで、思わず吐きそうになる。
「ごめんなさい、無理に思い出させてしまいましたね。」
精霊王が私の背中を優しく擦る。
「…ありがとう、もう大丈夫。」
「では、話を続けますね。…命を落とした貴方には、勇者になる素質があったのです。」
「勇者…?」
(勇者って…ゲームとかアニメにあるやつかな?)
「貴方にはこことは違う世界、ハルモニアを魔の手から救っていただきたいのです。」
「ハルモニア…よくわからないけれど、困ってる人がいるんだよね?わかった、私勇者になるよ。」
「本当ですか、ありがとうございます!」
(勇者になるのはいい、けど…。)
「ねえ、一つだけお願いしてもいい?」
「ええ、何でしょう。」
「お兄ちゃんを…家族をお願いしてもいいかな?」
「家族を…ですか?」
精霊王がキョトンとした顔で聞き返してくる。
「うん、きっと私を失ったことで、悲しんでいると思うんだ。だから、面倒見てもらえないかな。」
「…ええ、わかりました。貴方の願いを聞き入れましょう。」
~~~
「というわけで、今に至るのです。」
「な、なるほど…。」
要約すると、俺の彼女だったはずの桜は精霊王とやらで、春美が転生していたことを知っていたと。
そして桜は春美のお願いだけで俺と一緒にいたと。
…そういうことであっているのだろうか?
本当だとしたら、それは少し悲しい話だな。
「精霊王、今までありがとう。とりあえず貴方で安心した。お兄ちゃんのこと、家族のこと、今までありがとう。」
「…そうですね、これで私の役目も終わり…。」
「そ、そんな…桜…。」
思わず膝から崩れ落ちてしまう。
これまでの桜との思い出が全て役目だったなんて…。
「終わり…にはできませんね。」
「「えっ。」」
俺と春美の声がかぶる。
「ごめんなさい、春美さん。私もここまで本気になるつもりはなかったんですがね。ついつい惚れ込んでしまいました。」
「精霊王…あんた…。」
春美が再び腰の剣に手をかける。
「春美さん、貴方には感謝しています。けれど、ここから先は別のお話。そうでしょ?春美さん。」
(なんだなんだ…これって結局修羅場なのか…!?)
「とりあえず、二人とも落ち着いてくれー!!」
「う、うーん。」
やけに重く感じる身体を起こして、辺りを見回す。
遺跡のような文様がそこかしこにあり、どこか近未来とさえ思えてしまうようなそんな場所。
目の前には美しい白銀のドレスを身にまとい、こちらを覗き込んでいる女性。
「目が覚めましたか、春美さん?」
「ええ、まあ…。」
どうやら向こうはこちらのことを知っているようだ。
「私は精霊王。世界と世界を繋ぐ架け橋のような役目を担っています。」
よく見るとその精霊王と名乗る女性の背中から蝶々のような羽が生えている。
見間違いかと思い、一度目を腕でゴシゴシと擦る。
再度見てみたが、やはり生えている。
羽の動きを見ても、ただのコスプレとは思えない。
「あの…ここは…?」
「ここは世界の狭間。春美さんはトラックに引かれて命を落としました。…これは覚えていますか?」
「トラックに…そうか、あの時。」
確かに一瞬の出来事だったが、なんとなく覚えている。
強い衝撃、周りから聞こえてくる悲鳴、赤く染まった視界。
思い出すだけで、思わず吐きそうになる。
「ごめんなさい、無理に思い出させてしまいましたね。」
精霊王が私の背中を優しく擦る。
「…ありがとう、もう大丈夫。」
「では、話を続けますね。…命を落とした貴方には、勇者になる素質があったのです。」
「勇者…?」
(勇者って…ゲームとかアニメにあるやつかな?)
「貴方にはこことは違う世界、ハルモニアを魔の手から救っていただきたいのです。」
「ハルモニア…よくわからないけれど、困ってる人がいるんだよね?わかった、私勇者になるよ。」
「本当ですか、ありがとうございます!」
(勇者になるのはいい、けど…。)
「ねえ、一つだけお願いしてもいい?」
「ええ、何でしょう。」
「お兄ちゃんを…家族をお願いしてもいいかな?」
「家族を…ですか?」
精霊王がキョトンとした顔で聞き返してくる。
「うん、きっと私を失ったことで、悲しんでいると思うんだ。だから、面倒見てもらえないかな。」
「…ええ、わかりました。貴方の願いを聞き入れましょう。」
~~~
「というわけで、今に至るのです。」
「な、なるほど…。」
要約すると、俺の彼女だったはずの桜は精霊王とやらで、春美が転生していたことを知っていたと。
そして桜は春美のお願いだけで俺と一緒にいたと。
…そういうことであっているのだろうか?
本当だとしたら、それは少し悲しい話だな。
「精霊王、今までありがとう。とりあえず貴方で安心した。お兄ちゃんのこと、家族のこと、今までありがとう。」
「…そうですね、これで私の役目も終わり…。」
「そ、そんな…桜…。」
思わず膝から崩れ落ちてしまう。
これまでの桜との思い出が全て役目だったなんて…。
「終わり…にはできませんね。」
「「えっ。」」
俺と春美の声がかぶる。
「ごめんなさい、春美さん。私もここまで本気になるつもりはなかったんですがね。ついつい惚れ込んでしまいました。」
「精霊王…あんた…。」
春美が再び腰の剣に手をかける。
「春美さん、貴方には感謝しています。けれど、ここから先は別のお話。そうでしょ?春美さん。」
(なんだなんだ…これって結局修羅場なのか…!?)
「とりあえず、二人とも落ち着いてくれー!!」
0
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
悪役令嬢に相応しいエンディング
無色
恋愛
月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。
ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。
さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。
ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。
だが彼らは愚かにも知らなかった。
ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。
そして、待ち受けるエンディングを。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ヒロインだと言われましたが、人違いです!
みおな
恋愛
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でした。
って、ベタすぎなので勘弁してください。
しかも悪役令嬢にざまあされる運命のヒロインとかって、冗談じゃありません。
私はヒロインでも悪役令嬢でもありません。ですから、関わらないで下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる