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本編
536.驚愕
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「「お兄ちゃん! 見てみて~」」
宝飾の注文が終わった後、何か企んだような表情をしたレベッカさんが、アレンとエレナを引き連れて部屋を出て行った。
そして、しばらくすると子供達が楽しげな様子で戻ってきたのだが――
「アレン、エレナ、どうした……んだ!?」
「「どう? 似合う?」」
「はぁ!? エ、エレナ、か、髪がぁ……」
エレナがすっきりショートカットになっていて、アレンと同じ髪型になっていた。
僕がすぐにエレナに駆け寄り、がしっと両手で頬を挟んでまじまじとエレナを見る。
「な、何で? どうして!?」
「エレナ、似合わない?」
「いや、似合うよ! 似合うけど、どうして?」
アレンとエレナは同じ顔なのだから、エレナがアレンと同じ髪型になっていても、似合っていることは間違いない。だけど、そうじゃない! そうじゃないんだよ!
「髪! どうしたの! 切っちゃったの!?」
というか! 驚き過ぎて語彙力が低下しているのが、自分でもよくわかった。
「「ふっ、ふっ、ふっ! お兄ちゃん、見てみて~」」
「ん?」
「「じゃーん!」」
「……えっ? えぇーーー!?」
エレナが自分の髪の毛を掴むと、すぽっと取ってしまった。
「はぁ!? カ、カツラ!?」
「「正解!」」
カツラの下にはネットのようなものを被った姿だったので、エレナの地毛は無事なのだろう。
「よ、良かった~~~……」
「ふふっ、タクミさん、驚いたかしら?」
「レベッカさん! 驚いた、で済まないくらい驚きましたよ~~~」
むしろ、心臓が止まりそうになった。
やっぱりと言うか、何と言うか。今回の仕掛け人はレベッカさんだな。先ほどの退室した時の企んでいるような顔は気のせいではなかったようだ。
「前にね、そっくりな双子の王子様が入れ替えをしていた話を聞いてね」
「ああ……ありましたね」
クレタ国の双子の王子、クラウド様とレイン様のことだな。
うん、入れ替わりの話は、嬉々として子供達がレベッカさんに聞かせていたな。
「アレンちゃんとエレナちゃんもやりたいって話していたのよ」
「……確かに二人なら言いそうですね」
「でも、さすがにエレナちゃんが髪を切るのは駄目って説得してね」
「レベッカさん、ありがとうございます!」
うわ~、本当に髪を切ろうとしていたことがあったのか!
レベッカさん、阻止してくれて大変助かりました!
「だから、カツラを用意してあげるって、時間を貰っていたの。だけど、あまり質の良い素材が見つからなくてね。やっと納得できるものができたの。だから、今日はそのお披露目よ」
……そうか。だいぶ前からこの企みは計画されていたってことなのか。
「アレンもね、エレナの髪があるの!」
アレンがマジックバッグからカツラを取り出し見せてくれたが、しっかりとエレナと同じ髪型にしてリボンを結んでいる。
「二人ともアレンちゃんになることもできるし、二人ともエレナちゃんになることもできるようにしておいたわ~」
レベッカさんが〝良い仕事をした〟と言わんばかりに微笑んでいた。
「あ、そういえば、服も同じものを着ている」
「「そうなの~」」
どうやら、カツラだけではなく、まったく同じ衣装もそれぞれに用意してくれたようだ。
二人は似たような服装はしているが、まったく一緒っていう服は持っていなかったはずだ。……確か。
「でもね、お兄ちゃん、騙せなかった~」
「すぐに見破っちゃったね~」
「あれ?」
そういえば、そっくりだったが、僕はすぐにエレナのほうに駆け寄っていたか?
「それね。本当にすぐエレナちゃんのほうに駆け寄っていたわね~。でも、良かったわね。お兄ちゃんはちゃんと二人のことをわかってくれているってことよ」
「「うん!」」
僕は無意識だったが、しっかりと子供達のことを見分けていたようだ。
「あのねあのね、おばあ様ね!」
「いっぱい作ってくれたんだよ!」
「え? もしかして、黒髪のカツラ!? え、赤いもの!?」
アレンとエレナのマジックバッグをごそごそと漁ると、黒髪と赤髪のカツラを取り出した。
「お兄ちゃんとお揃いになれるの!」
「おばあ様ともお揃いなの!」
僕とレベッカさんと同じ髪色になるためのカツラのようだ。
「はい、これはタクミさんの分ね」
「えっ!?」
しかも、僕にも子供達と同じ青い髪とレベッカさんと同じ赤い髪のカツラを渡された。
「青髪はタクミさんと同じ髪型にしておいたのだけど、赤髪のほうは長い髪型にしておいたわ。あ、子供達のものは黒髪がそれぞれ自分の髪型、赤い髪は長い髪型よ」
「……」
色だけでなく髪型に違いもあるようだ。
「何かあった時、これで変装して逃げてちょうだい」
「……え?」
……まさかの逃走用の変装道具だったのか。
「髪の色って一番印象に残りやすいでしょう? 単純だけど、効果的だと思うの」
「確かにそうかもしれないですね。だけど、逃げる状況にならないように気をつけます」
「あらまあ、それが一番ね」
まずは逃げ隠れする必要がないような生き方を心掛けよう。
「でも、ありがとうございます。何かあった場合は、活用したいと思います」
「ええ、そうしてちょうだい」
いつか変装する日が来るかもしれない。なので、カツラはありがたく《無限収納》に保管しておこうと思う。あと、ちょっと思ったんだけど、装備変更の魔道具とかに登録したら、さっと別人っぽく早着替えできたりするのだろうか? 変身ヒーローのようで、少しだけ面白そうかもしれないな。
「ところで、このカツラの髪の毛って何の素材なんですか?」
「あらあら……植物の繊維だということは覚えているんですけど……何だったかしら? ごめんなさいね、すぐに確認しておくわね」
「いえいえ、ちょっと気になっただけで、絶対に知りたいってわけではないので大丈夫ですよ」
……人毛が使われているのならどうしようかと思ったが、植物の繊維なら安心だ。
それにしても、とてもサラサラな触り心地で艶のある髪質感だな~。レベッカさんが拘っただけはある。
「「お兄ちゃん、今度はエレナになってくる~」」
子供達はすっかり変装することを楽しんでいるようだ。
「おぉ、今度は変装ごっこか? もともとそっくりだとは思っていたけど、同じ格好をしていると瓜二つだな~」
後ほど、帰宅したヴァルトさんに、今度はエレナになった二人が突撃していった。だが、ヴァルトさんは見分ける云々の前に驚くことはなく、普通に二人の頭を撫でてから着替えに自室に行ってしまった。
「「あれ~?」」
あまりにも普通な対応だったため、アレンとエレナは拍子抜けしたような表情をしていた。
ちなみに、僕はしっかりと見極め、正解を選べました! うん、本当に良かったよ。
宝飾の注文が終わった後、何か企んだような表情をしたレベッカさんが、アレンとエレナを引き連れて部屋を出て行った。
そして、しばらくすると子供達が楽しげな様子で戻ってきたのだが――
「アレン、エレナ、どうした……んだ!?」
「「どう? 似合う?」」
「はぁ!? エ、エレナ、か、髪がぁ……」
エレナがすっきりショートカットになっていて、アレンと同じ髪型になっていた。
僕がすぐにエレナに駆け寄り、がしっと両手で頬を挟んでまじまじとエレナを見る。
「な、何で? どうして!?」
「エレナ、似合わない?」
「いや、似合うよ! 似合うけど、どうして?」
アレンとエレナは同じ顔なのだから、エレナがアレンと同じ髪型になっていても、似合っていることは間違いない。だけど、そうじゃない! そうじゃないんだよ!
「髪! どうしたの! 切っちゃったの!?」
というか! 驚き過ぎて語彙力が低下しているのが、自分でもよくわかった。
「「ふっ、ふっ、ふっ! お兄ちゃん、見てみて~」」
「ん?」
「「じゃーん!」」
「……えっ? えぇーーー!?」
エレナが自分の髪の毛を掴むと、すぽっと取ってしまった。
「はぁ!? カ、カツラ!?」
「「正解!」」
カツラの下にはネットのようなものを被った姿だったので、エレナの地毛は無事なのだろう。
「よ、良かった~~~……」
「ふふっ、タクミさん、驚いたかしら?」
「レベッカさん! 驚いた、で済まないくらい驚きましたよ~~~」
むしろ、心臓が止まりそうになった。
やっぱりと言うか、何と言うか。今回の仕掛け人はレベッカさんだな。先ほどの退室した時の企んでいるような顔は気のせいではなかったようだ。
「前にね、そっくりな双子の王子様が入れ替えをしていた話を聞いてね」
「ああ……ありましたね」
クレタ国の双子の王子、クラウド様とレイン様のことだな。
うん、入れ替わりの話は、嬉々として子供達がレベッカさんに聞かせていたな。
「アレンちゃんとエレナちゃんもやりたいって話していたのよ」
「……確かに二人なら言いそうですね」
「でも、さすがにエレナちゃんが髪を切るのは駄目って説得してね」
「レベッカさん、ありがとうございます!」
うわ~、本当に髪を切ろうとしていたことがあったのか!
レベッカさん、阻止してくれて大変助かりました!
「だから、カツラを用意してあげるって、時間を貰っていたの。だけど、あまり質の良い素材が見つからなくてね。やっと納得できるものができたの。だから、今日はそのお披露目よ」
……そうか。だいぶ前からこの企みは計画されていたってことなのか。
「アレンもね、エレナの髪があるの!」
アレンがマジックバッグからカツラを取り出し見せてくれたが、しっかりとエレナと同じ髪型にしてリボンを結んでいる。
「二人ともアレンちゃんになることもできるし、二人ともエレナちゃんになることもできるようにしておいたわ~」
レベッカさんが〝良い仕事をした〟と言わんばかりに微笑んでいた。
「あ、そういえば、服も同じものを着ている」
「「そうなの~」」
どうやら、カツラだけではなく、まったく同じ衣装もそれぞれに用意してくれたようだ。
二人は似たような服装はしているが、まったく一緒っていう服は持っていなかったはずだ。……確か。
「でもね、お兄ちゃん、騙せなかった~」
「すぐに見破っちゃったね~」
「あれ?」
そういえば、そっくりだったが、僕はすぐにエレナのほうに駆け寄っていたか?
「それね。本当にすぐエレナちゃんのほうに駆け寄っていたわね~。でも、良かったわね。お兄ちゃんはちゃんと二人のことをわかってくれているってことよ」
「「うん!」」
僕は無意識だったが、しっかりと子供達のことを見分けていたようだ。
「あのねあのね、おばあ様ね!」
「いっぱい作ってくれたんだよ!」
「え? もしかして、黒髪のカツラ!? え、赤いもの!?」
アレンとエレナのマジックバッグをごそごそと漁ると、黒髪と赤髪のカツラを取り出した。
「お兄ちゃんとお揃いになれるの!」
「おばあ様ともお揃いなの!」
僕とレベッカさんと同じ髪色になるためのカツラのようだ。
「はい、これはタクミさんの分ね」
「えっ!?」
しかも、僕にも子供達と同じ青い髪とレベッカさんと同じ赤い髪のカツラを渡された。
「青髪はタクミさんと同じ髪型にしておいたのだけど、赤髪のほうは長い髪型にしておいたわ。あ、子供達のものは黒髪がそれぞれ自分の髪型、赤い髪は長い髪型よ」
「……」
色だけでなく髪型に違いもあるようだ。
「何かあった時、これで変装して逃げてちょうだい」
「……え?」
……まさかの逃走用の変装道具だったのか。
「髪の色って一番印象に残りやすいでしょう? 単純だけど、効果的だと思うの」
「確かにそうかもしれないですね。だけど、逃げる状況にならないように気をつけます」
「あらまあ、それが一番ね」
まずは逃げ隠れする必要がないような生き方を心掛けよう。
「でも、ありがとうございます。何かあった場合は、活用したいと思います」
「ええ、そうしてちょうだい」
いつか変装する日が来るかもしれない。なので、カツラはありがたく《無限収納》に保管しておこうと思う。あと、ちょっと思ったんだけど、装備変更の魔道具とかに登録したら、さっと別人っぽく早着替えできたりするのだろうか? 変身ヒーローのようで、少しだけ面白そうかもしれないな。
「ところで、このカツラの髪の毛って何の素材なんですか?」
「あらあら……植物の繊維だということは覚えているんですけど……何だったかしら? ごめんなさいね、すぐに確認しておくわね」
「いえいえ、ちょっと気になっただけで、絶対に知りたいってわけではないので大丈夫ですよ」
……人毛が使われているのならどうしようかと思ったが、植物の繊維なら安心だ。
それにしても、とてもサラサラな触り心地で艶のある髪質感だな~。レベッカさんが拘っただけはある。
「「お兄ちゃん、今度はエレナになってくる~」」
子供達はすっかり変装することを楽しんでいるようだ。
「おぉ、今度は変装ごっこか? もともとそっくりだとは思っていたけど、同じ格好をしていると瓜二つだな~」
後ほど、帰宅したヴァルトさんに、今度はエレナになった二人が突撃していった。だが、ヴァルトさんは見分ける云々の前に驚くことはなく、普通に二人の頭を撫でてから着替えに自室に行ってしまった。
「「あれ~?」」
あまりにも普通な対応だったため、アレンとエレナは拍子抜けしたような表情をしていた。
ちなみに、僕はしっかりと見極め、正解を選べました! うん、本当に良かったよ。
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