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リミィの恋の話
54.体術の授業で-2
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「じゃあ、まず、経験者グループの方から見本を見せようか?誰か前に出て手合わせしてみたいものはいるかな?」と経験者チームに声をかけると全員が手を挙げた。
ふむ、とティムンは思案して
「じゃあ、体格のいい君と…君、前へ出て」
大柄なコルトムと長身のカランが選ばれた。
「名前は?」
「コルトム・ハルトアカーンです!」
「カラン・ククルトーン」です!」
「コルトムにカランだね。では、二人とも剣術の経験はあるという事だし、皆の前で手本をみせてもらおうか?じゃあ、打ち合ってみて」
そう言うと、ティムン先生は二人に練習用の木刀を手渡した。
「じゃあ、はじめっ!」
「へへっ!一分で倒してやる!」自信満々でコルトムは、力任せに木刀を振り回した。
ぶんっと木刀がぶれる音がする。
当たったら痣ぐらいでは済まなさそうな勢いで皆は驚いた。
反対にカランは冷静ですれすれでその木刀をかわす。
((おお、これはカランの実力の方が断然上だな))とジルとリミィは思った。
他の皆はぶんぶんと木刀の音を立てるコルトムに恐れをなしてビクビクハラハラしながら見ているが、ジルとリミィと先生方はにんまりしながら見ている。
(コルトム、大会で優勝したことあるってどんなしょぼい大会だ?あんな力任せに、振りまくってるだけなんて)とジルが思っているとティムンも同じように思っているのかコルトムの方を見ながら苦笑いしてい他。。
そして、ものの一分もしない内にカランが力任せのコルトムの木刀をはじいて飛ばした。
「「「「わっ」」」」と皆が歓声をあげた。
一瞬、かっとしたコルトムが素手で殴りかかろうとしたが、すかさずティムン先生が間に入る。
「勝負あり!」とコルトムを手で制した。
「「カラン!すごい!」」
「「かっこいい!」」
初心者チームから賞賛の声が上がる。
「コルトムは、力に頼り過ぎているね。それと、負けたからと言ってかっとして殴りかかろうとしたのは、いただけないな。君は体格も力もあるんだから、きちんと型や力の配分を考えて動けばもっともっと強くなれるよ。将来が楽しみだ」
「はっ!はいっ!ありがとうございますっ!」
「カラムは、良い太刀筋と動きだったね。君なら既に初心者チームの指導もできそうだ。君のような生徒に出会えるなんて心強いよ。座学の方も頑張れば来年、特別クラスで会えるかもね?」
「っ!あ、ありがとうございます」
「さぁ、じゃあ、次は正しい形や剣の振り下ろし方を見てもらおうか、そこの双子君たち前へ」
「「はいっ!」」
「名前を」
「リミィ・パリュムです!」
「ジル・パリュムです!」
「では、経験者の君達に剣の振りから見本を!」
「「はいっ!」」
言われるままに二人はまず構え、上段からの素振り、横から上への払い、そして突きを見せた。
二人の振るった木刀はひゅっと空気を切るような音がした。
「「「す、すごい」」」
それは、素人目に見てもキレのある綺麗な形は、素晴らしかった。
「なんだよ、あんなの形だけだろ?」と、コルトムが小さく呟き、腰巾着の二人は「そうですよね」と、コルトムのご機嫌を取るように相づちをうっている。
側にいたカラムが、内心で(何言ってるんだ?こいつらの目は節穴か?)と思っていた。
どう見ても七歳のそれじゃない!
力はともかく、実際の剣を持って切りつければより鋭く切れるのは間違いなくこの双子達の方だろう。
コルトムの振り回した木刀のぶれぶれの音とまるで違う。
まさに空を切る音だ。
コルトムの太刀筋では力任せに打ち付けても一回目の攻撃で刃はぼろぼろになるだろうし二回目の攻撃では、肉を砕く事はできても切り裂く事は出来まいと思った。
そんな皆の其々の反応を楽しげに見ていたティムン先生は、双子達に声をかけた。
「とても、キレイな形だったよ。素晴らしい!じゃあ、先程のカラムやコルトムほど激しくなくても良いので形を意識しながら二人で軽く流してみて」
「「はいっ!」」
尊敬崇拝するティムンの指導に張り切る二人である。
もう、来年、特別クラスに入る為にも、目立たないようにとか何とか言ってられないのである。
そして、二人が軽く打ち合い始めると、皆は更に驚いた。
それは、まるで美しい対の舞を見ているかのような美しさである。
「「「うわ、き、綺麗~」」」と皆が溜め息をつく。
コルトムは、悔し紛れに「ダンスじゃ、ねぇんだぞ」と呟いたが、誰にも相手にされなかった。
カラムは、自分が双子達に『大丈夫か?』などと声をかけたことを後悔していた。
(何なんだよ、こいつら俺なんか足元にも及ばねぇじゃねえか!)と!
***
二人に体術、剣術を教え込んだ双子達の母ルミアーナは、剣技も体術もスゴかった!体術に至ってはラフィリルの英雄、鬼将軍と言われる夫ダルタス将軍を投げ飛ばすほどの腕前である。
異世界日本の記憶を持つ母ルミアーナは空手と柔道と剣道の達人で弓道も嗜む武闘派女神?だった。
二人とも三歳の頃からそれらを母ルミアーナから叩き込まれている訳で、よくお城の近衛騎士団の練習場にも通っていたのである。
ちなみに、ティムンに最初に剣術、体術を叩き込んだのもティムンの義姉であるルミアーナ(双子の母)である。
まさに、双子母恐るべしである。
(もう、この物語のタイトル『ラフィリアード家の恐るべきお母様』でも、いいんじゃね?と言う感じである)
ふむ、とティムンは思案して
「じゃあ、体格のいい君と…君、前へ出て」
大柄なコルトムと長身のカランが選ばれた。
「名前は?」
「コルトム・ハルトアカーンです!」
「カラン・ククルトーン」です!」
「コルトムにカランだね。では、二人とも剣術の経験はあるという事だし、皆の前で手本をみせてもらおうか?じゃあ、打ち合ってみて」
そう言うと、ティムン先生は二人に練習用の木刀を手渡した。
「じゃあ、はじめっ!」
「へへっ!一分で倒してやる!」自信満々でコルトムは、力任せに木刀を振り回した。
ぶんっと木刀がぶれる音がする。
当たったら痣ぐらいでは済まなさそうな勢いで皆は驚いた。
反対にカランは冷静ですれすれでその木刀をかわす。
((おお、これはカランの実力の方が断然上だな))とジルとリミィは思った。
他の皆はぶんぶんと木刀の音を立てるコルトムに恐れをなしてビクビクハラハラしながら見ているが、ジルとリミィと先生方はにんまりしながら見ている。
(コルトム、大会で優勝したことあるってどんなしょぼい大会だ?あんな力任せに、振りまくってるだけなんて)とジルが思っているとティムンも同じように思っているのかコルトムの方を見ながら苦笑いしてい他。。
そして、ものの一分もしない内にカランが力任せのコルトムの木刀をはじいて飛ばした。
「「「「わっ」」」」と皆が歓声をあげた。
一瞬、かっとしたコルトムが素手で殴りかかろうとしたが、すかさずティムン先生が間に入る。
「勝負あり!」とコルトムを手で制した。
「「カラン!すごい!」」
「「かっこいい!」」
初心者チームから賞賛の声が上がる。
「コルトムは、力に頼り過ぎているね。それと、負けたからと言ってかっとして殴りかかろうとしたのは、いただけないな。君は体格も力もあるんだから、きちんと型や力の配分を考えて動けばもっともっと強くなれるよ。将来が楽しみだ」
「はっ!はいっ!ありがとうございますっ!」
「カラムは、良い太刀筋と動きだったね。君なら既に初心者チームの指導もできそうだ。君のような生徒に出会えるなんて心強いよ。座学の方も頑張れば来年、特別クラスで会えるかもね?」
「っ!あ、ありがとうございます」
「さぁ、じゃあ、次は正しい形や剣の振り下ろし方を見てもらおうか、そこの双子君たち前へ」
「「はいっ!」」
「名前を」
「リミィ・パリュムです!」
「ジル・パリュムです!」
「では、経験者の君達に剣の振りから見本を!」
「「はいっ!」」
言われるままに二人はまず構え、上段からの素振り、横から上への払い、そして突きを見せた。
二人の振るった木刀はひゅっと空気を切るような音がした。
「「「す、すごい」」」
それは、素人目に見てもキレのある綺麗な形は、素晴らしかった。
「なんだよ、あんなの形だけだろ?」と、コルトムが小さく呟き、腰巾着の二人は「そうですよね」と、コルトムのご機嫌を取るように相づちをうっている。
側にいたカラムが、内心で(何言ってるんだ?こいつらの目は節穴か?)と思っていた。
どう見ても七歳のそれじゃない!
力はともかく、実際の剣を持って切りつければより鋭く切れるのは間違いなくこの双子達の方だろう。
コルトムの振り回した木刀のぶれぶれの音とまるで違う。
まさに空を切る音だ。
コルトムの太刀筋では力任せに打ち付けても一回目の攻撃で刃はぼろぼろになるだろうし二回目の攻撃では、肉を砕く事はできても切り裂く事は出来まいと思った。
そんな皆の其々の反応を楽しげに見ていたティムン先生は、双子達に声をかけた。
「とても、キレイな形だったよ。素晴らしい!じゃあ、先程のカラムやコルトムほど激しくなくても良いので形を意識しながら二人で軽く流してみて」
「「はいっ!」」
尊敬崇拝するティムンの指導に張り切る二人である。
もう、来年、特別クラスに入る為にも、目立たないようにとか何とか言ってられないのである。
そして、二人が軽く打ち合い始めると、皆は更に驚いた。
それは、まるで美しい対の舞を見ているかのような美しさである。
「「「うわ、き、綺麗~」」」と皆が溜め息をつく。
コルトムは、悔し紛れに「ダンスじゃ、ねぇんだぞ」と呟いたが、誰にも相手にされなかった。
カラムは、自分が双子達に『大丈夫か?』などと声をかけたことを後悔していた。
(何なんだよ、こいつら俺なんか足元にも及ばねぇじゃねえか!)と!
***
二人に体術、剣術を教え込んだ双子達の母ルミアーナは、剣技も体術もスゴかった!体術に至ってはラフィリルの英雄、鬼将軍と言われる夫ダルタス将軍を投げ飛ばすほどの腕前である。
異世界日本の記憶を持つ母ルミアーナは空手と柔道と剣道の達人で弓道も嗜む武闘派女神?だった。
二人とも三歳の頃からそれらを母ルミアーナから叩き込まれている訳で、よくお城の近衛騎士団の練習場にも通っていたのである。
ちなみに、ティムンに最初に剣術、体術を叩き込んだのもティムンの義姉であるルミアーナ(双子の母)である。
まさに、双子母恐るべしである。
(もう、この物語のタイトル『ラフィリアード家の恐るべきお母様』でも、いいんじゃね?と言う感じである)
応援ありがとうございます!
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