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1章

10 それは突然のこと

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自分の部屋のドアを開ける時何か少しの違和感を感じた。

あれっ、誰かいる?

部屋の中に誰かいる気がする。

扉を開ける。

そこに立っていたのはカムイ君だった。

「リア様、少し話があるのですが、よろしいでしょうか?」

「うん。いいよ。」

なんだろう。私が出ている間に何かあったのだろうか。

「そこに腰掛けてください。」

ベッドを指差した。

ここは私の、リアちゃんの、部屋なのに指図されたのはちょっと違和感だった。

けれど言うことに従った。

私が座ると、カムイ君は扉のある方に歩いていった。

そしてガチャッ、と。

鍵を閉めた。

ん?

なんだかイヤな予感?

「リア様、、。いや、リアっ。」

「はいっ。」

突然の大声に私も驚いて大きな声を出してしまった。

「本当に、心配させんなよ。」

「えっ。」

カムイくんの話し方がいつもと違う。どうしたのだろうか。

「俺とお前は一応主従関係にあるけどさ、一応付き合ってるんだから、あんまり心配かけさせないでくれ。」

付き合ってるの?私とカムイくん?それって。リアさんとカムイくんって王女とその護衛の騎士だよね。そういうことなの?えっ。えっ。

私が混乱している間にカムイくんは、私に近寄り抱きしめた。

えっ。

頭の中が真っ白だった。

こんなことがあっていいのだろうか。長いこと生きてきてイケメンに心配されて抱きしめられたことなんてないのだが。

あ、なんかいいにおいする。

ボーッとしてしまう私。

「あ、あのさ。私のこと好き?」

何を聞いているんだろう。

「好きだよ。リア。」

耳元でささやかれた。

落ち着け私。何言っちゃってんの。カムイくんが好きなのはあくまでリアさんで、だけど私が今はリアさんだからつまり私のことが好きってことなんだよね。

自分の都合のいいように解釈してしまっている。抑えられない、この気持ち。

彼の体はゴツゴツしていてとても男らしい。腕の力も強くて離れることができない。多分、だよね、リアさん。

顔を上げるとカムイくんと目があった。

「あっ。」

彼はニコッと笑った。


「カムイーー」

その時ドアの外から大きな声でカムイくんを呼ぶ声が聞こえた。

「いるんだろー。なーに鍵締めてんだよリア様に変なことしてないだろうなー。」

やばい。ノックくんだ。

この状況は。

「リア。3日後少し出かけないか?」

「出かける?」

「うん。とっておきの場所見つけたから。大丈夫。君の母上には伝えてある。」

もしかしてリアさんのお母様はこのことを知ってる?

「そういうことだから。よろしく。」

そう言うとカムイくんは立ち上がった。

「すまんすまん。ちょっとタイカ王から大事な伝言があってな。誰にも聞かれちゃいけなかったんだよ。」

「そっか。てっきりいけないことしてるんかと思ったわー。ほんじゃ。リア様。こいつ借りてきますねー。」

二人は私の部屋を出ていった。
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