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※それは嫉妬か支配欲か※

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 広々とした宮殿の中心にある、皇帝と皇后の玉座。詩音は今、その席に座っていた。


「今年は雨量も多く豊作です。ですが、今のうちに灌漑と治水の対策をしておく必要があるかと思い、お願いに上がりました」

「うむ、そうだな。それについては農業、環境の各担当大臣を含めて検討しよう。進言感謝する。もう下がって良いぞ」


 皇帝・皇后に謁見を賜っていた農業組合の代表は、遥星のその言葉を受けてその場を後にした。


「今日の謁見はこれで終わりだな。詩音、私は大臣と少し話をするから、先に部屋に戻っていてくれるか」

「分かりました」


 暗殺者がこの宮廷内に潜んでいた頃は、遥星は常に詩音と行動を共にしていた。事が解決し宮廷内に平和が訪れ自由に動けるようになった今、時々こうして少し離れるということも増えてきていた。


(お腹空いたなー。お昼ご飯なんだろ)


「詩音ちゃーん」


 詩音が遥星の居室へ向かっている途中、後ろから声を掛けられ振り返ると、遥星の兄・佑星だった。


「お義兄にい様」

「最近調子いいね~。評判だよ、聡明で美しい皇后陛下って」

「いえ、そんな......」


 褒められるのがあまり得意ではない詩音が目線を逸らすと、反対に佑星にじいっと見つめられる。


「あの......何か?」

ようとさぁ~、やったでしょ。やったよね?……いやー、ようやくって感じだね」

「そ、それは」


 いきなりそんなことを言われ、詩音の顔はかあっと瞬時に紅潮した。

 こっちの世界に戻ってきたその日、確かに佑星の言う通り、ようやく結ばれた。遥星からの愛をずっと求めていた詩音にとって、それは何事にも替え難いくらい悦ばしく、心を満たす出来事だった。
 そしてその日以来、タガが外れたようにほとんど毎日求め合っているのだった。


「肌のツヤとか半端ないしねぇ。ふ~ん、どお? あいつ結構上手い?」

(や、やだ、なんか見た目にもバレバレなのかな......)


 佑星がニヤニヤしながら手を伸ばし、詩音の頬に軽く触れそうになった時、後ろから「詩音」と強く呼ぶ声がした。


「兄上、何してる? 詩音に触らないでくれるか」


 遥星が詩音と佑星の間にさっと入り、兄を睨みつける。


「おっと、悪い悪い。あまりにも彼女が色っぽくてさ。みんな皇后様の色香に見とれてたぜ、気をつけろよ~」


 佑星は両手を上げて「何もしてないよ」のポーズを取り、そしてさっさと立ち去って行った。


「遥さま、大臣とお話があったのでは......」


 遥星はそう言いかけた詩音の腕を掴み、振り返らずにずんずん歩き始める。
 詩音は不思議に思いながらも、それに従って腕を引かれながら小走りで着いていく。


 遥星の居室に入り扉を閉めた瞬間、一番近くの壁に一瞬にして押し付けられた。そして間髪入れずに唇を塞がれる。

 驚き目を見開く詩音の口内に、遥星の舌が侵入してくる。同時に、服の上から胸をまさぐられ、思わず息が漏れた。


「......っ、遥、さま? ......どうしたの、ですか」

「大臣との話は終わった」


 遥星は詩音の耳や首筋に吸い付きながら、身体をねっとりと撫で回す手を止めない。


「あの......、まだ、お昼です...ぁっ」

「だから?」


 突然の愛撫の嵐に戸惑いながら詩音が問うも、冷たく返されてしまう。
 一方で、愛撫はますます激しさを増してゆき、帯が解かれて前半身が露わになる。そしてその隙間から遥星の手が滑り込み、直接詩音の肌を犯していく。

 遥星が詩音の乳首を親指でぴんと弾いた時、既に先程の愛撫によってそこは固く立ち上がってしまっていたのだと、気付かされる。

 遥星の舌が、詩音の口内を蹂躙する。歯列をなぞり、上下左右の壁を撫で回し、詩音の舌を絡めとってわざと水音を響かせる。

 突然のことに思考が追いついていかない詩音だったが、身体は裏腹にだんだんと力が抜けてきてしまう。

 するとその時、両脚の間から腕が差し込まれ、壁に押し付けられたまま開脚させられてしまった。


「や、遥さま、何をっ」

「......詩音は、俺のものだ。誰にも触らせない」


 詩音の入口に、同じく帯を解いて前だけ開けていた遥星のそれが宛てがわれる。


「だめですっ、まだ準備が......っ」


――出来てない、と思ったのに。


 詩音のそこは抵抗することなく、ずぷぷぷっと卑猥な音を立ててあっという間に遥星を飲み込んだ。


「ゃ......はぁっ...」


 壁に押し付けられ抱えられたままの詩音は、咄嗟に遥星の肩にしがみつく。
 何も分からないまま下から突き上げられ、高い声と共に蜜壷から出る水音がこだまする。


「......ぁんっ......ひゃぁんっ......あぁんっ」


 自分自身の重みも加わってか、硬いものが詩音の奥の奥まで突き刺さり、自分でも聞いたことのないような声が勝手に出てしまう。

 身体が上下する度に花芯が遥星の腹部を擦り、中の刺激と外の刺激がますます蜜を溢れさす。

 蜜で滑らかになった詩音の中はさらにスムーズに遥星のそれを取り込み、奥を引っ掛かって通る彼の段差の刺激をよりくっきりと詩音の脳に伝えた。


「ぁ、あぁっ......よう、さま...もぅ、だめっ......あ、ああっ!」


 最奥と、中の壁と、花芯と、三点を同時に強烈に刺激され、あっという間に詩音の脳裏に閃光が走る。そして詩音のナカは、それと同時にぎゅぎゅっと遥星を締め付ける。

「......くっ」

 その締め付けによって、彼自身もまた、熱いものを詩音の中に放出してしまった。



 遥星がくったりとした詩音の身体を下ろし自身を抜くと、愛液と精液の混ざりあったものがこぽぽ、と音を立てて漏れだした。


「遥......さ、ま...」


 とろんとした目で見詰める詩音を、ようやく我に返った遥星が横抱きに持ち上げる。寝台まで運び、そこに横たえると、両手で詩音の手を握った。


「......詩音、ご、ごめん」


 さっきまでの柔らかさのない射抜くような目とは打って変わって、叱られた仔犬のような目で詩音を見ながら謝る。


「いえ。何か、あったのですか」

「いや、兄上が詩音に触れているのを見たら、ついかっとなってしまって......」


 詩音は握られた手に少し力を入れた。


「私が迂闊でした、すみません」

「いや、私が余裕がないのが悪いのだ。兄上も言ってたように、最近、そなたが余りにも......」


 しゅんとする遥星に詩音はそっと微笑み、力の抜けた手にもう一方の手を重ね、遥星を包んだ。


「私は......貴方だけのものです。何があっても」



.+*:゚+。.☆



「あれー? 詩音ちゃんは?」

 午後の会議が始まる前に、佑星が問いかける。

「......具合が悪くなって、今は部屋で寝てる」

 遥星がぶっきらぼうに返すと、佑星は途端にニヤニヤしだした。

「ふーん。開花したねぇ、遥」

「......ふん」

 自分の行動などお見通しなのだと言う兄に返す言葉が見つからず、遥星は返事にならない返事をして、議題の書いてある竹簡をバラバラと開いた。

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