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昭和48年編

喫茶マーガレット

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 頭の整理が追いつかず、考えてたら眠ってしまった。
昔からどこででも、どんな時も寝れる。得意技は5分昼寝。順応性の高さだけは健在です。
住み込み?働かなければ悪い気がして、とりあえず着替えて下へ行こう。
服.....どれもこれも私が買うような服ではない.....仕方なく一番地味な白い花柄シャツにラッパジーンズをチョイス。

「おはよう。真由」
「おはようございます。」
「なに?かしこまっちゃって。さっお掃除して、準備よ」
何をどうすれば.....この人の名前すら分からない。
「私は中するから、真由は表をおねがいねっ。」
「はい......」
ほうきとちりとりを渡され、ドアを開ける。
店には『喫茶マーガレット』と書いてある。

 ここは通りから路地に入ったところ?
商店街に人が歩いてる。ヘアスタイルといい、ファッションとさまざまだ。
ロン毛の男性陣に、スーツのキレッキレな感じのピタッとしたオールバック兄ちゃん、オーバーオールデニムの若者。私と同じラッパズボンのひと。
なんだかにぎやかな街。

 戦後30 年弱かぁ。あっ!今ばあちゃん生きてるかな。ここは何処?住所...東京都?平成の私が住む場所みたい......。もしかして、この喫茶店て!!
さゆりさん!?

 そう。私が平成で暮らすマンションの一階は昔、喫茶店だったらしい。その元喫茶店で暮らす小百合さんはよく話すチャーミングな方。
マンションの下で会えば立ち話をする仲だ。

 私はマーガレットへ戻りドアを開ける
「さゆりさん!」
「はい。なに?終わりました?」
やっぱりさゆりさんだ!

「おはようございます!」
誰かが入ってきた。まさかお客さん?もう?
「おはよう。マッチャン。今日も決まってるわね~」
くるくるヘアのぽっちゃりした男性。
「でしょぉんっ!さぁて準備しなくっちゃぁ。おはようっ。真由なんか食べるぅ?」
明らかにオネェ臭がする.....彼は厨房担当のよう。

 私、ここに居たら亮さんに会えなくて、もとの時代に戻れなかったら.....どうなるの?!
「はいっ。モーニングっ。召し上がれー」
ウィンクするマッチャン。
「ありがとうございます。」
「なぁに?ます。って さゆりちゃぁん、この子頭打ったーぁ?あたしにますって」
「ふふふっ昨日、倒れてからちょっと変みたいなのよ」

 私はこの昭和48年で、戻る術を探さなければならなくなったようだ。マッチャンが作ってくれたトースト、ゆで卵、サラダ、コーヒーの香りで、絶対に夢ではない。現実だと分かった。

 次から次へ集まるお客さんに、慌ただしく時が過ぎる。
「真由ちゃん~。ミックスジュースね」
「あっはい!」
みんな名前を呼んでくれる。常連さんかな。

 午後になりマッチャンが、店の一段上がったスペースに椅子とマイクをセットしだす。
なに?次は何だろう

「さゆりちゃぁん。今日は何人?」
「デュオでしょ。たしか、初めてのグループなのよ。そこに書いておいたはずよ。」
壁にかけられた本日の♬というボードを見てみると、『ひぐらしのはな(2 )』とかいてある。

「いらっしゃいませ~」
「こんにちは。ひぐらしのはなの村上です。」

 ギターを持って立つ、肩あたりまでのロン毛に小さめの白いボタンシャツをエンジ色のラッパズボンに入れ込み、涼しい切れ長の奥二重、スッと通る鼻筋、白い肌、シュッとした顎....
亮さん!
「浅井です。宜しくおねがいします。」

「亮さん!!!大変ですよ。私達バイクで事故ってここに居るんですっ。もしかしたら死んじゃうかも、どうやって戻ります?どうします?」

 興奮と共にこの奇妙な運命を共にしている状況にある種の安心感も交じりありとあらゆる感情を混ぜ合わせ私は亮さんに迫り寄った。

「だれ?」
「.......え。亮さんではないですか?浅井 亮」
「そうだけど。」
「ごめんなさいね。その娘は真由。昨日から変なのよね。気になさらないで~」
さゆりさんのフォロー?で私はただの変人となった。
明らかに亮さんなのに.....私を知らない。

二人はアコースティックギターを出しステージで音合わせを始めた。
亮さんがギター、村上さんというボブカーリーヘアの上下デニムの彼はマイクの前へ。

村上「ここに歌手志望がいるって聞きましたが」
「いるわよんっほら、そこの変人ちゃんよ。」
マッチャンが、私を見る......
「あっ!女の子だからいいかもよ。亮。一回合わせてもらおう。いいですか?」
「どうぞ どうぞ」マッチャン....どうぞって。

私は訳もわからない状況で、訳のわからない歌を歌うことに.....
「僕も歌うから一緒に合わせてみて!」
「.......はい。」まじですか......。
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