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しおりを挟む私もお父様に微笑み返す。
だけど正直、今心配なのは自分の事よりランデルだ。きっと私の背中の傷がどうなるかなんて、宮廷医師達に聞けば分かる事だろう。
何とか上手く言っておかないと、責任を感じて変な方向へと話しが行きかねない。
さすがに結婚して責任を追うなんて事はしないと思うけど…。この間、オブライト家の跡継ぎになると話したばかりだし。
ああ、やっぱり私がランデルの近くにいるのはマズイ気がする。
「ねえお父様、私を刺した犯人はどうなったの?」
「…今の所は尋問中だけど、これから裁判がはじまるだろう。没落貴族の逆恨みで王族を狙ったんだ。軽い刑では済まないだろうね」
「そうなんだ…」
逆恨み。
ランデルは何もしていないけど、王族として狙われる事も多々ある。ゲームでもそうだった。
「あのね、私、少しだけまだこわいの。ここじゃない静かな所で休みたい…。当分どこかの領地でゆっくり出来ないかな?」
「おお、レオノール…可哀想に。心にも傷をおってしまったんだね。そりゃそうだよな…病み上がりですぐあんな事になってしまって。分かった、良い場所がある
。南部に静かで治安の良い田舎町があるからそこでゆっくり静養しなさい」
「本当?ありがとう。そうさせてもらうね。あ、もちろんお父様はこちらでお仕事してね!私はメイサがいれば大丈夫だから」
「そう言われると寂しいものがあるが…助かるよ。実は新しい事業の件で、お客様がこられる事になっていてね」
「そうなのね、私は大丈夫。頑張ってねお父様」
「ああ、ありがとう」
それから数日がたった。
せっせと、私の長い髪編み編みするランデル。伏せた長いまつ毛と、ふわりとした陶器のような白い頬が尊い。
「ねぇ、ランデル…こんな事しなくていいんだよ?あと、お部屋に戻らなくてもいいの?そろそろお勉強の時間だよね?家庭教師の先生が来られるんじゃない?」
編む手を止めずに、頬を少しだけ膨らませるランデル。なにそれ可愛い。
「…いやだ。今日の僕はレオノールのお世話役だ」
また…言ってる。毎日お見舞いに来てくれるのは有難いけど、責任を感じているからか毎度私の世話を焼きたがるランデル。
正直可愛いランデルの側にいられるのはとっても幸せだけど…。
「あのね…陛下からは体調が落ち着くまで、お城で安静にしていなさいと言われていたのだけど、そろそろオブライトの屋敷へ戻ろと思うの」
陛下からはランデルを守った事での、感謝の言葉や気持ちを頂いた。
気持ちに関してはよく分からないけど、なにやらとんでもなく高価なモノを頂いたらしい。置物とかかな?
お父様が一度お断りしたみたいだけど、それでは気が済まないと既に屋敷に運ばれたらしい。
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