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第17話追放11日目

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「ふ、ふ、ふ、ふ、馬鹿な人達ね。
 私に逆らわなければ、少しは長生きできたのに。
 まあ、いつまでも生きていけるわけではないからね。
 戦いに踏み切ったのは悪い判断ではなかったわ。
 でも負けちゃ何にもならわいわよ」

 聖女メグ。
 いや、魔女メグは、捕えられ眼の前に引き出された、国王以下の重臣達を嘲笑い嬲り者にしていた。
 その隣には、何の感情も浮かべていない、死んだ魚のような眼をしたジョージ王太子が立っていた。

「おのれ!
 お前は何者だ!
 聖女を騙って何をしようとしている!」

 満身創痍の状態で、いつ死んでもおかしくないのに、それでも五将軍家の跡取り娘の誇りを胸に、気力を振り絞ってグストン侯爵家令嬢ポピーが問う。
 だがその問いに答えるほどメグは親切ではなかった。
 教えて殺す方が絶望感を与えられるのか、それとも教えてから殺す方が絶望感を与えられるのか、楽しそうな眼つきで見極めようといしていた。

「ふ、ふ、ふ、ふ、教えてあげましょう。
 私は魔神の使徒なのよ。
 ここまで言えばわかるわよね。
 魔神はこの世を滅ぼすのが望みなの。
 人や獣人や精霊を殺し尽くすのが楽しくてしょうがないのよ」

「おのれ!
 人間を舐めるなよ!
 好き勝手にはさせんぞ!」

「あら、あら、あら、あら。
 自分の欲望を満たすために、私達をこの世界に引き込んだのは人間よ。
 際限のない欲望を満たすために、同じ人間を虐げ殺したのも人間よ。
 私達魔はそれを手伝っただけよ。
 恨み非難するのなら、同じ人間を恨み非難するのね」

「おのれ、おのれ、おのれ!
 お前達が誘惑しなければ、人間も堕落しないのだ。
 お前達さえいなければ」

「やはり人間はその程度ね。
 ここまでわかっても自分達人間の非を認めず、私達魔のせいにする。
 私達魔は、全てを表にだしてからは言い訳などはしないわよ。
 謀略の間は騙しますけどね。
 それは人間も同じでしょう。
 どちらの方が下劣で、この世から滅びた方がいいのかしらね」

 ポピー嬢は思わず目を背けて下を見るしかなかった。
 他の意識を保っている国王派も、魔女メグから眼を背けた。
 いつ死んでもおかしくない傷を受けて、更に意地と気力まで叩き折られて、立っている事もできなくなってしまった。
 さらにそこに魔女メグが追い打ちをかけた。

「そうね。
 貴方達に慈悲を与えてあげましょう。
 傷を癒し命永らえさせてあげます。
 そして魔に仕える眷属にしてあげましょう。
 ここにいいるジョージ王太子のようにね」

「いやぁああああああ!」

 王城内に絶叫がこだました。
 最後の抵抗にポピー嬢もオリバー国王も自殺しようとしたが、死ぬことすら許されなかった。
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