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第一章
よく喋る二人
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マーガレットは一度会っただけで疲れてしまったので、キャシーとはあまり会いたくはなかった。いつも怒鳴ってばかりのジェラルドも同様だった。
しかし、キャシーはいつも突然本邸に突撃してくるのだ。もちろん先触れも何も無かった。
「あ、奥さん!これ見てください!ジェラルド様が私のために買ってくれたのよ?奥さんは何か買ってもらったことってあるのかしら?あ、ごめんなさいっ!ジェラルド様の真実の愛の相手は私だったわ!悪気はないんですよ?ただ、ジェラルド様に愛されているだけなの!真実の愛に勝るものはないですもんっ!そうでしょう?」
今日も今日とて、マーガレットの返事も待たずにキャシーは一人勝手に話し続けていた。
(まぁ、こんなに息が続くなんて、凄いわ。鍛えているのかしら?)
マーガレットはキャシーの嫌味にも全く堪えず、キャシーの息継ぎに感心していた。
「奥さんはご令嬢だから、宝石なんていっぱい持ってるんですよね?でも、私にはジェラルド様がくれた宝石が沢山離れにはあるんですよ?ジェラルド様は毎日私にプレゼントを買ってきてくれるんです!毎日ジェラルド様が私を愛してくれるんですよ?あ、ごめんなさいっ!奥さん初夜もまだなんですよね?結婚して何ヶ月も経ってるのに…やっぱり真実の愛の私がいるからですよね?ジェラルド様が私だけを愛してるから、ずっと離れで一緒に過ごしてるし…でも仕方ないですよね?真実の愛なんですもん!悪気はないんですっ!」
何も言わないマーガレットに対し、キャシーは喋り続けた。
マーガレットが怒って手でも出してくれれば、ジェラルドが追い出してくれると思っていたのだ。
(なんで怒って私を打たないのよっ!こんなに嫌味を言ってるのに!奥さんは愛されなくて、私だけが愛されてるのよ?悔しいって言って、私を思いっきり打ちなさいよっ!)
キャシーがそんなことを考えている事などつゆ知らず、マーガレットはやはりキャシーに感心していた。
(一体どこまで喋り続けられるのかしら…?あらまぁ、お顔を真っ赤にして…お相手様は可愛らしい方ね)
何を言っても反応しないマーガレットにキャシーは焦れていた。
(何よっ!もうっ!)
散々一人で喋り続けたキャシーは、喋り疲れて離れに帰って行ったのだった。
(お相手様が来たということは、そういうことよね…夜が憂鬱だわ。きっとお昼間は旦那様が仕事でいないから、一人で寂しくて本邸に来てしまうのよね…どうにかして頂けないかしら…?)
マーガレットの杞憂通りにその日の夜、ジェラルドがやって来た。
バーーンっ!
「どういうことだ!またしてもキャシーを泣かせるとは…いい加減にしてくれないか?キャシーの宝石が見窄らしいと言ったそうではないか!あれは私がキャシーに贈ったものだ!それを貶すということは、私を貶したことに同じだ!わかっているのか?テイラー家には迷惑をかけるなと言っただろう!」
勢いよくジェラルドが静かな部屋に入って来て、マーガレットを捲し立てた。
(あらまぁ…旦那様とお相手様って本当にそっくりなのね。二人ともよくここまで息が続くものね…流石真実の愛だわ!)
マーガレットはジェラルドの怒鳴り声を物ともせず、呑気にそんな事を考えていたのだった。
「いいか?二度とキャシーを傷付けるなどと馬鹿なことをしないでくれ!私達には今後一切関わらないで欲しい!」
言うだけ言って、ジェラルドは帰って行った。
(人の話を聞かない所も全く同じだわ。私は話さなくても良いのだけれど、お相手様が寂しくなって本邸に来てしまうのよね…ままならないものね…)
こうして昼にはキャシーが突撃して一人で喚いて、満足したら離れに帰って行く。
夜にはジェラルドが突進してマーガレットを怒鳴り散らす。
マーガレットの日常はなんとも迷惑なものとなってしまったのだった。
しかし、キャシーはいつも突然本邸に突撃してくるのだ。もちろん先触れも何も無かった。
「あ、奥さん!これ見てください!ジェラルド様が私のために買ってくれたのよ?奥さんは何か買ってもらったことってあるのかしら?あ、ごめんなさいっ!ジェラルド様の真実の愛の相手は私だったわ!悪気はないんですよ?ただ、ジェラルド様に愛されているだけなの!真実の愛に勝るものはないですもんっ!そうでしょう?」
今日も今日とて、マーガレットの返事も待たずにキャシーは一人勝手に話し続けていた。
(まぁ、こんなに息が続くなんて、凄いわ。鍛えているのかしら?)
マーガレットはキャシーの嫌味にも全く堪えず、キャシーの息継ぎに感心していた。
「奥さんはご令嬢だから、宝石なんていっぱい持ってるんですよね?でも、私にはジェラルド様がくれた宝石が沢山離れにはあるんですよ?ジェラルド様は毎日私にプレゼントを買ってきてくれるんです!毎日ジェラルド様が私を愛してくれるんですよ?あ、ごめんなさいっ!奥さん初夜もまだなんですよね?結婚して何ヶ月も経ってるのに…やっぱり真実の愛の私がいるからですよね?ジェラルド様が私だけを愛してるから、ずっと離れで一緒に過ごしてるし…でも仕方ないですよね?真実の愛なんですもん!悪気はないんですっ!」
何も言わないマーガレットに対し、キャシーは喋り続けた。
マーガレットが怒って手でも出してくれれば、ジェラルドが追い出してくれると思っていたのだ。
(なんで怒って私を打たないのよっ!こんなに嫌味を言ってるのに!奥さんは愛されなくて、私だけが愛されてるのよ?悔しいって言って、私を思いっきり打ちなさいよっ!)
キャシーがそんなことを考えている事などつゆ知らず、マーガレットはやはりキャシーに感心していた。
(一体どこまで喋り続けられるのかしら…?あらまぁ、お顔を真っ赤にして…お相手様は可愛らしい方ね)
何を言っても反応しないマーガレットにキャシーは焦れていた。
(何よっ!もうっ!)
散々一人で喋り続けたキャシーは、喋り疲れて離れに帰って行ったのだった。
(お相手様が来たということは、そういうことよね…夜が憂鬱だわ。きっとお昼間は旦那様が仕事でいないから、一人で寂しくて本邸に来てしまうのよね…どうにかして頂けないかしら…?)
マーガレットの杞憂通りにその日の夜、ジェラルドがやって来た。
バーーンっ!
「どういうことだ!またしてもキャシーを泣かせるとは…いい加減にしてくれないか?キャシーの宝石が見窄らしいと言ったそうではないか!あれは私がキャシーに贈ったものだ!それを貶すということは、私を貶したことに同じだ!わかっているのか?テイラー家には迷惑をかけるなと言っただろう!」
勢いよくジェラルドが静かな部屋に入って来て、マーガレットを捲し立てた。
(あらまぁ…旦那様とお相手様って本当にそっくりなのね。二人ともよくここまで息が続くものね…流石真実の愛だわ!)
マーガレットはジェラルドの怒鳴り声を物ともせず、呑気にそんな事を考えていたのだった。
「いいか?二度とキャシーを傷付けるなどと馬鹿なことをしないでくれ!私達には今後一切関わらないで欲しい!」
言うだけ言って、ジェラルドは帰って行った。
(人の話を聞かない所も全く同じだわ。私は話さなくても良いのだけれど、お相手様が寂しくなって本邸に来てしまうのよね…ままならないものね…)
こうして昼にはキャシーが突撃して一人で喚いて、満足したら離れに帰って行く。
夜にはジェラルドが突進してマーガレットを怒鳴り散らす。
マーガレットの日常はなんとも迷惑なものとなってしまったのだった。
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