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宿場町~裏社会編

32.マッドピエロ戦とアルネスの街への帰還(2)

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 すっかり気が晴れた俺は、単身マッドピエロに突撃し、攻撃を躱されることを見越してピンポン球サイズの【過冷却水球】を配置。

 サクちゃんとヤス君の攻撃で躱すであろう場所にもどんどん配置。もう絶好調。まだまだ置ける。

 気づけばマッドピエロの周囲が【過冷却水球】だらけ。マッドピエロは周囲を見回し驚いた顔をしたが、すぐにニヤけてナイフを投げた。

 それは【過冷却水球】に命中し、弾け飛んだ氷の欠片で【過冷却水球】の誘爆を引き起こす。

「あー、そうくるか! くっそ、間隔が狭すぎた!」

 今度は目をピンクのハートにしたフィルが動き出し【過冷却水球】に衝突。体を凍りつかせていく。

 俺はすぐにフィルの氷結を解除するが、また身動きできるようになったフィルが、仕掛けた【過冷却水球】に体当たりしに行く。

「絵面はコミカルだが凶悪で笑えんぞ!」

「本当だよ! こいつ! 面倒くさっ!」

「ユーゴさん、フィル君の氷結解除せず放置で! 転がしておいた方が安全です! あと【氷球】の投擲も絡めてください! サクやんは隙を見て槍投擲で!」

「分かった!」

 俺とサクちゃんが声を揃え、顔を見合わせて頷き散開する。手筈てはず通り、まずは【氷球】を投擲する。と、マッドピエロが横に跳んで躱した。だが着地すると同時にストンと胸に矢が刺さる。

 マジか!

 驚いてヤス君を見ると小さくガッツポーズ。

「よしっ!」

 狼狽うろたえた様子のマッドピエロが移動した先には【過冷却水球】。触れた瞬間に弾けて水を被り氷結。混乱したように動き回り、多くの【過冷却水球】の餌食えじきになる。好機と見た俺は追加で【過冷却水球】を設置。マッドピエロを小さな円で囲む。

 マッドピエロの体はほぼ氷結。動きが鈍くなる。さっきまでの人を小馬鹿にしたような顔つきが焦りで満ちてゆく。

 が、ふとニヤけ、宙に浮いた幾つかの毒ナイフを氷結状態で倒れているフィルに向かって立て続けに発射した。

 こいつ、いやらしいっ!

 俺はフィルに向かって全速力で走り手を伸ばす。思い切り魔力を注ぎ込んで念じ、フィルの手前で【異空収納】を広げる。イメージは黒い円盾。

 このまま維持! 維持しろ! 消えるな!

 強く念じると、カチリと嵌まった感覚があった。

 よし、完成の感覚!

 漆黒の円盾が宙に留まる。が、魔力が凄い勢いで消費されていくのを感じる。

「なっ、なんすかそれ!」

「なんかできた! けどキツい!」

 【異空収納】で作った盾に毒ナイフがパチンッと弾かれて消える。

「あれっ⁉」

 俺は吸い込まれると思っていたので困惑。毒ナイフを【異空収納】から取り出して投げ返そうと考えていたのだが、思惑が外れてしまった。

「くっそ、予想外」

 しょうがないので【氷球】を作って投擲する。マッドピエロは避けるが、その位置目掛けてヤス君が矢を放つ。ほぼ同時にサクちゃんも槍を投擲。

 矢は太腿、槍は深々と胴体に突き刺さる。
 
 
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