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それぞれの成長 パーティー編

2.鍛練する理由となんとなく出来た新術(2)

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 予言といえば、ルードが姿を消した。

『八日後の午後に坑道で話す』と言い残していたが、どういうことなのか。

 それと半月斧。ルードは『託す』と言っていたが、これもまた謎。

 取り敢えず、現在はサクちゃんが預かっているが……。

「これを扱えるのは俺だけだろ」

 託すと言われても、と他三人が首を傾げる中、当たり前のように受け入れるのはある意味凄い。が、最初から使う気満々なのはどうかと思う。

「遺失物で届け出ないと怒られるよ?」

 そう言って茶化したが、「多分、俺の武器だろこれ」と半月斧にれ。確かに、サクちゃん以外には合わない。魔物の骨と金属を組み合わせて作られており、見た目も派手で業物わざものな雰囲気があるのでちょっと羨ましい。

 今は苦心しながらそれを用いた鍛練を行っているようで、ヤス君の賢人化に続いて、サクちゃんも武人化まっしぐらだなと思う。

 ルードについての話は謎が多かった。取り調べ中の冒険者ギルド職員から得た情報をイワンコフさんから聞いたが、一年ほど前にふらっと現れて冒険者登録し、半年とたずにゴールド冒険者になった地元の青年ということしか分からなかったそうだ。

 詳しく調べようと、ルードの名で冒険者ギルドの記録魔道具に検索をかけたが引っ掛からなかったらしい。おそらく偽名だったのだろうとのこと。

「書類は調べてないんですか?」

「あの連中がそんな物をしっかりと取っておくと思うか?」

 溜め息を吐くイワンコフさんを思い出す。俺も馬鹿な質問をしたものだと思う。

 工作員と言いなりの職員しかいない冒険者ギルドが、真面目に業務をこなす訳がない。クリス王国の不利に働くことしかしないだろう。あるいは、それらの書類もラグナス帝国に流しているかもしれない。

 ドゴン一味のギルドカードも作ってなかったしな。酷いもんだ。

 なんにせよ、ルードは誰ともつるまずダンジョン下層も数日で単独攻略してしまった凄腕冒険者だったらしい。そしてチエが職員になってからは、ほとんどチエの受付についていたのだとか。

 ルードが敢えて目の敵にされるように振る舞っていたという俺の考えも、当たらずとも遠からずといったところなのかもしれない。

 一体、何者だったんだろうな。

 ルードのことを考えるとモヤモヤする。そもそも出会いがおかしい。そんな優秀な冒険者が、サラマンダーと闇竜のサブロを間違えるとは思えない。

「サブロ、お前、もしかしてルードのこと何か知ってたりしないよな?」

 片手で腕立て伏せをしつつ、俺の目の前で右前足と左後ろ足を上げ、プルプル震えながら体幹トレーニングらしき行動をとっているサブロに訊く。

 すると、サブロはすっと視線を逸らした。

「ピ、ピギー?」

 チラリとこちらを見てからこめかみに指を当てて小首を捻る。目を細めて見ていると、いたたまれなくなったのか駆け出した。

 やはり何かを知っているようだ。どうやらサブロも俺たちと接触するように仕組まれていたらしい。

 まぁ、害はないようだし別に良いんだけれどもね。

 敵ではないようなので、思惑については考えないことにした。考えたところで分からないことは考えない。当て推量をしたところで時間の無駄になるだけだ。
 
 
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