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それぞれの成長 パーティー編
32.確認したいこと試してみたいこと(5)
しおりを挟む「私、魂格十一なんだけど、ユーゴは今どれだけあるの……?」
「俺? 四十六だね」
四十六、と呟いて魂が抜けたようになったエリーゼを放置し、俺は【異空収納】からステーキの入ったバットを取り出す。
それをサブロの前に置いて「ご飯だぞ」と声を掛けると、サブロは「ギキュウ」と嬉しそうに鳴いて笑顔で食べ始めた。俺は腕組みしてその様子を眺める。
「んー、事前にステボで確認していたとはいえ予想以上に成長してたな。勾玉に入ってると状態が分からんから怖いよな。サブロ、勾玉の中の広さは大丈夫か?」
サブロは「グァウ」と答えて頷く。大丈夫なようで一安心。従魔の証はもう外してあった。チェーンの長さが足りなくて巻けなくなってしまったのだろう。
あれを腕に巻いて感動に震えていた可愛らしいサブロはもうどこにもいない。今は闇竜だと言われても何の疑いも抱けない。その名に違わぬ立派な姿となっている。
でも、もう少し小さいままでいて欲しかったな……。
子供の成長を見る親の複雑な心境のようなものを味わいつつ、俺はサブロに必要な物をざっと確認した。食事用の器と従魔用のアクセサリー。
あとは、専用の鞍とか合っても良いかもな。騎獣になることをサブロが嫌がらなければだけれども。
「ユーゴ、それで、私を連れてきた理由は?」
「ん? まずはサブロとの顔合わせ」
エリーゼが「まずは?」と訊き返すのを手で制し、サブロのステボをチェックする。魂格が上がったので補正値で平均五十を超えはしたが、基礎能力値が低くて見掛け倒し状態。これでは的と変わらない。大きく目立つだけに尚の事。
「エリーゼ、補正値込みの能力平均値ってどのくらい?」
「え⁉ わ、私⁉ よ、四十くらいだけど……」
ふむ、と俺は顎に手を遣って、レノア、イザベラ、ニーナの能力値を訊ねた。
「イザベラが平均五十でレノアが平均三十くらい。ニーナは私より少し低いな」
「よし、丁度良いな。頼みがあるんだけど、サブロと修行してくれないか?」
「え? サブロと?」
エリーゼが目を丸くして俺とサブロを交互に見る。
「見た目は強そうだけど、能力値はエリーゼたちと変わらないんだよ。一昨日までは手の平に乗る大きさだったし、基礎能力値が追いついてないんだ」
「そ、そうなの? とてもそんな風には見えないんだけど」
「まぁ、それは戦ってみれば分かるよ。ここではやらないけどね」
サブロが食事を終えたので、俺はバットを【異空収納】に仕舞い、サブロに勾玉へ戻ってもらう。その光景を見ていたエリーゼの目は点になった。
「ねぇ、ユーゴは、神様か何かなの?」
「ハハハ、何言ってんの。ダンジョンのドロップアイテムを使ってるだけだよ」
言いつつ、もう一つの目的である従魔スキルの試し打ちを始める。既にステボで確認済みだが再確認。説明にもざっと目を通す。
サブロの新しいスキルは【ポイズンブレス】と【ダークフレイム】の二種。勾玉に入っている状態でもスキルが借りれるか【ダウン】を自分に掛けて試してみる。
俺の周囲に黒煙が立ち上り、脱力感に見舞われる。大丈夫なようだと覚ったので『毒の息を吐く』という俺やエリーゼまで危なそうな説明の【ポイズンブレス】以外のすべてのスキルを試してみることにした。
まずは【ダークボール】だが、念じた場所に発動することができなかった。自分の術と違い、従魔スキルは発動領域内でしか使えないことが分かった。
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