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38 通じない言葉
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❋引き続き、アラール視点となります❋
「あの白色の豹が、リュシエンヌ?何を言ってるの?アレはどう見たって豹だったわ」
「ユラこそ何を言っているんだ?この世界に来てすぐ、この世界についての勉強をした時に説明された筈だ。この世界には、人間と獣人が居て、更に魔獣や魔物が存在すると。勿論、メグはちゃんと知っていた」
「それでも、獣人に慣れていない私の目の前に、豹の姿で現れたリュシエンヌが悪いんじゃない?私の元の世界では、豹は獰猛な動物だっから、私が攻撃してしまったとしても、罪にはならないでしょう!?」
ーどんな屁理屈だー
「それと、あの魔道具はどこで手に入れたんだ?」
「アレは、リューゴ商会が持っていた物よ。魔物や魔獣に襲われた時に、使うとか使わないとか言ってたのを見せてもらって、そのまま…借りていたの」
「借りていた…ねぇ……」
おそらく、勝手に持ち出したんだろう。本当に、面白い程の罪を重ねてくれる。しかも、その罪の重さを分かっていない。元の世界では、これ位の事は罪にならなかったりするのだろうか?だから、罪を犯した意識も無く、枷を外せと叫べるのか?
トントン─
「すみません。アラール様、入っても良いですか?」
「メグ?入っても良いが、何かあったのか?」
「失礼します」と言ってメグが部屋に入って来た途端、またユラが叫び出した。
「メグ!私がこんな扱いをされているのに、今迄どこに行っていたの!?早くこの枷を外して!メグからもアラール様にお願いして!」
「ユラ……それはできない」
「は?何言ってるの!?」
「ユラは罪を犯したんだから、それはちゃんと反省して償わないと」
「反省?償う?どうして?あんな獰猛な姿で現れたリュシエンヌが悪いんじゃない!あの時、私じゃなくてメグが居たとしても、同じように攻撃してるわ!」
「それはないから。見た目が獰猛な豹であっても、それが動物か獣人かを確認しただろうし、もし本当に獰猛な動物だったとしても、護衛から武器を取り上げる事はせずに、護衛の人に対応を任せるもの」
これには正直、驚いた。メグがユラに反抗するとは思わなかった。メグには、“ユラを召還に巻き込んでしまった”と言う罪悪感があるから、てっきり、ここにはユラの酌量軽減の願いをしに来た─と思っていた。
「なっ…でも、それはあくまでも仮定の話しでしょう!?実際あの場に居たら…それに、私だって知っていたら、ちゃんと対応できたわ!」
「ユラ……ユラも、私と一緒に学んでいたから知っていた筈よ?ユラが覚えてなかっただけ。それに…知らなかったから何をしても赦させる、自分は異世界人だから赦させる─なんて思ってないよね?ユラが異世界人だとしても、ここで生きていくと決めたなら、この世界の事を学んでこの世界でのルールを守らないといけないのよ」
「なによ……恵のくせに偉そうに!」
「…………」
ーここまで言っても反省無しかー
寧ろ、更に納得いかずにキレている。これ以上、何を言っても反省どころか逆効果にしかならないだろう。そのお陰?で、こっちも躊躇いなく処分を下す事ができる。
「私は、本当に…独りぼっちだった私に声を掛けてくれて嬉しかったし、結星には感謝してるの」
「なら、ここから───」
「でも、ここに来てからの結星は、自分を哀れんでいるだけで、ここに馴染もうともしなかった。その上、色んな人達に迷惑を掛けても自分は悪くないなんて…私は聖女として、ユーグレイシアの人達を幸せにしたいと思ってるの。でも、結星は……リュシエンヌを傷付けても反省すらしないのなら、私はもう、結星を助ける事なんてしない、できないから」
「な──っ!」
「メグ………」
「アラール様、すみませんでした。本当は、もっと早いうちに、私がユラと距離を取るべきだったんです」
「いや、何度も言うが、メグは何も悪くない。」
お互い唯一の同郷なのだから、分かっていたとしてもそう簡単に切り捨てる事などできなかっただろう。それに、今迄は“自分だけが我慢していれば良い”と言う思いもあっただろうから。でも、今回の事はそうはいかない。だから、これ以上は─と言う気持ちでユラと決別する事にしたんだろう。
「メグ、あんた何様のつもり!?何で私があんたなんかにそんな事────」
「お前こそ…何様なんだ?そろそろ、その口を利けなくしてやろうか?あぁ、それとも……閉じられなくしてやろうか?」
「アラスター!?は…早かったな!!」
本当に戻って来るのが早い。クレイオン嬢に付き添って、そのまま暫くは戻って来ないと思っていた。
ー頼む!ユラ!馬鹿な発言はしないでくれ!ー
「あの、リュシエンヌは……」
「ん?あぁ、クレイオン嬢はレイモンド殿下にお願いしたから大丈夫だ」
「良かった……」
「大丈夫なら、私の枷も外して下さい!」
「─────は?」
「「…………」」
ーユラ……何故お前は自ら地雷を踏むんだ!?ー
「あの白色の豹が、リュシエンヌ?何を言ってるの?アレはどう見たって豹だったわ」
「ユラこそ何を言っているんだ?この世界に来てすぐ、この世界についての勉強をした時に説明された筈だ。この世界には、人間と獣人が居て、更に魔獣や魔物が存在すると。勿論、メグはちゃんと知っていた」
「それでも、獣人に慣れていない私の目の前に、豹の姿で現れたリュシエンヌが悪いんじゃない?私の元の世界では、豹は獰猛な動物だっから、私が攻撃してしまったとしても、罪にはならないでしょう!?」
ーどんな屁理屈だー
「それと、あの魔道具はどこで手に入れたんだ?」
「アレは、リューゴ商会が持っていた物よ。魔物や魔獣に襲われた時に、使うとか使わないとか言ってたのを見せてもらって、そのまま…借りていたの」
「借りていた…ねぇ……」
おそらく、勝手に持ち出したんだろう。本当に、面白い程の罪を重ねてくれる。しかも、その罪の重さを分かっていない。元の世界では、これ位の事は罪にならなかったりするのだろうか?だから、罪を犯した意識も無く、枷を外せと叫べるのか?
トントン─
「すみません。アラール様、入っても良いですか?」
「メグ?入っても良いが、何かあったのか?」
「失礼します」と言ってメグが部屋に入って来た途端、またユラが叫び出した。
「メグ!私がこんな扱いをされているのに、今迄どこに行っていたの!?早くこの枷を外して!メグからもアラール様にお願いして!」
「ユラ……それはできない」
「は?何言ってるの!?」
「ユラは罪を犯したんだから、それはちゃんと反省して償わないと」
「反省?償う?どうして?あんな獰猛な姿で現れたリュシエンヌが悪いんじゃない!あの時、私じゃなくてメグが居たとしても、同じように攻撃してるわ!」
「それはないから。見た目が獰猛な豹であっても、それが動物か獣人かを確認しただろうし、もし本当に獰猛な動物だったとしても、護衛から武器を取り上げる事はせずに、護衛の人に対応を任せるもの」
これには正直、驚いた。メグがユラに反抗するとは思わなかった。メグには、“ユラを召還に巻き込んでしまった”と言う罪悪感があるから、てっきり、ここにはユラの酌量軽減の願いをしに来た─と思っていた。
「なっ…でも、それはあくまでも仮定の話しでしょう!?実際あの場に居たら…それに、私だって知っていたら、ちゃんと対応できたわ!」
「ユラ……ユラも、私と一緒に学んでいたから知っていた筈よ?ユラが覚えてなかっただけ。それに…知らなかったから何をしても赦させる、自分は異世界人だから赦させる─なんて思ってないよね?ユラが異世界人だとしても、ここで生きていくと決めたなら、この世界の事を学んでこの世界でのルールを守らないといけないのよ」
「なによ……恵のくせに偉そうに!」
「…………」
ーここまで言っても反省無しかー
寧ろ、更に納得いかずにキレている。これ以上、何を言っても反省どころか逆効果にしかならないだろう。そのお陰?で、こっちも躊躇いなく処分を下す事ができる。
「私は、本当に…独りぼっちだった私に声を掛けてくれて嬉しかったし、結星には感謝してるの」
「なら、ここから───」
「でも、ここに来てからの結星は、自分を哀れんでいるだけで、ここに馴染もうともしなかった。その上、色んな人達に迷惑を掛けても自分は悪くないなんて…私は聖女として、ユーグレイシアの人達を幸せにしたいと思ってるの。でも、結星は……リュシエンヌを傷付けても反省すらしないのなら、私はもう、結星を助ける事なんてしない、できないから」
「な──っ!」
「メグ………」
「アラール様、すみませんでした。本当は、もっと早いうちに、私がユラと距離を取るべきだったんです」
「いや、何度も言うが、メグは何も悪くない。」
お互い唯一の同郷なのだから、分かっていたとしてもそう簡単に切り捨てる事などできなかっただろう。それに、今迄は“自分だけが我慢していれば良い”と言う思いもあっただろうから。でも、今回の事はそうはいかない。だから、これ以上は─と言う気持ちでユラと決別する事にしたんだろう。
「メグ、あんた何様のつもり!?何で私があんたなんかにそんな事────」
「お前こそ…何様なんだ?そろそろ、その口を利けなくしてやろうか?あぁ、それとも……閉じられなくしてやろうか?」
「アラスター!?は…早かったな!!」
本当に戻って来るのが早い。クレイオン嬢に付き添って、そのまま暫くは戻って来ないと思っていた。
ー頼む!ユラ!馬鹿な発言はしないでくれ!ー
「あの、リュシエンヌは……」
「ん?あぁ、クレイオン嬢はレイモンド殿下にお願いしたから大丈夫だ」
「良かった……」
「大丈夫なら、私の枷も外して下さい!」
「─────は?」
「「…………」」
ーユラ……何故お前は自ら地雷を踏むんだ!?ー
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