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8.ステファンの幸せな日々
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結婚式の夜、アマンダと熱い夜を過ごしたステファンは昼過ぎに目を覚まし青褪めた。
「うわ! ヤバい寝過ごした、何で起こしてくれ⋯⋯あ、仕事休み取ってたんだ」
「ステファンどうしたのぉ~」
二度寝しようと布団に潜り込んだステファンの横で寝ぼけ眼のアマンダが擦り寄って来た。
「一週間休みをもらってたのを忘れててさあ⋯⋯あ、目が覚めたんならさぁ」
「ふふっ、もう! ステファンったらぁ」
次に二人が起きた時には既に夜が更けていた。
「こんな時間じゃ、もう一日泊まるしかないよなぁ。はあ、多分怒ってるよな」
「えー、もう尻に敷かれちゃってるとか、信じらんなーい。アマンダプンプンだよぉ」
頬を膨らませ可愛らしく腕を組んだアマンダの大きな胸が強調されてステファンの目が釘付けになった。
「⋯⋯え、ごめんごめん。そんなつもりじゃなかったんだ。アマンダの隣が居心地良すぎてさぁ」
「ホントかなぁ⋯⋯奥さんの方がお金持ちだから、アマンダ捨てられちゃうのかもぉ」
「そんなわけないだろ? 朝になったら買い物に行こう、んで好きな物なんでも買ってあげるよ」
「きゃあ、流石ステファ~ン! だーい好きぃ」
メリッサの父の商会のツケで散々買い物をして豪華なレストランで食事をしたステファン達はそのままアマンダのアパートに戻って行った。
「せっかくの休みなのにこのままアマンダといられないなんて、マジでつまんないよなぁ」
明日は流石に帰らないとまずいと思ったステファンが呟くとアマンダが膝に座ってしなだれかかってきた。
「記憶喪失になっちゃえば? あのおばさんのことだけ忘れたことにしたら良いんだよ。ところどころ忘れちゃう記憶喪失もあるって聞いたもん」
「ところどころ⋯⋯おー、それ良いかも! すっごい便利じゃん」
「でしょ? アマンダねぇ、欲しいものがあるんだよね~」
アマンダがステファンのシャツのボタンを外しながら上目遣いで見上げ首を傾げた。
「な~んだ、早く言えば良いのに」
「うふふっ⋯⋯」
ステファンとアマンダは一週間の蜜月を過ごし、ドレスショップや宝飾店で生まれて初めての大人買いをした。レストラン・劇場・カジノ⋯⋯。商会の名前を出しても断られる店もあったが、金のないステファン達はツケの利く店を選んで豪遊して回った。
家に戻った時メリッサを上手く騙せると信じ込んでいるステファンの行動が全て記録されているとも知らず、買って帰ったビンテージだと信じているワインで乾杯をはじめた二人だった。
ステファンがアマンダと楽しく過ごしていた頃、メリッサは事務所でケニスと報告書を読みながらお茶を飲んでいた。
「ビンゴ⋯⋯」
「もし彼ならワッツ公爵家が下手に出てもおかしくないけど、絶対に関わったらダメだからな」
「確証を得る方法かぁ⋯⋯。もう一度酔わせるとか」
「俺の話聞いてる? マジで絶対にダメだからな!!」
「後はどうやって誘き出すかだよねぇ⋯⋯」
ケニスの反論は耳に入ってないらしいメリッサが腕を組んで報告書を覗き込んだ。
「コイツがもし仲間だったとしても、立場を考えたら自由に行動できる時間はそんなにないと思うんだ。今更昔の仲間に会いに来るとは思えない⋯⋯コイツだけは放置しよう」
「だからこそストレスが溜まってて弾けたいって思ってるんじゃないかと思うのよね、彼が一番欲しがるものって⋯⋯あ、思い出した。真珠だ!」
「⋯⋯異常な執着だって言う話だから間違いないとは思うけど、関わるのは危険すぎるよ」
独特の美しさを持つ真珠は神話にも多く登場し、愛・権力・富の象徴として数千年前から王族・貴族・聖職者等々に愛されてきた。
「真珠かぁ、それならいいのがあるじゃん。賭けの日まで少し時間があるし⋯⋯それまでにおねだりしてみる」
「頼むからアイツだけはやめよう。メリッサに何かあったら⋯⋯俺、生きてけないから」
「ケニスったら大袈裟だなぁ。確認だけならいいでしょう? このまま中途半端で終わらせるのはモヤモヤするから」
ケニスは引き続きワッツの周辺を詳しく調査することにして渋々引き上げて行った。
記憶喪失だったと言い張っているステファンが仕事に行っている間に、商会宛にあちこちから請求書が届いた。
「すご、人って一週間でこんなに使えるもんなんだ。流石にこれは⋯⋯放置しすぎたかも」
「実際はこれの10パーセントってとこだぞ?」
頭を抱えて机に頭をぶつけていたメリッサの手元を覗き込んだルーカスがニンマリと笑った。
「へ?」
驚いて見上げたメリッサの額にデコピンしたルーカスが自分の机に戻っていきながらゲラゲラと笑い出した。
「うちがツケ払いできる店には全部模造品やくず野菜を渡して頼んでおいたんだ。見た目だけ高価に見えるこの模造品と安い食材で誤魔化してくれってな」
「⋯⋯おお、父さんって流石商売人だね! 考えることが悪どい」
「褒めてねえじゃん」
「うわ! ヤバい寝過ごした、何で起こしてくれ⋯⋯あ、仕事休み取ってたんだ」
「ステファンどうしたのぉ~」
二度寝しようと布団に潜り込んだステファンの横で寝ぼけ眼のアマンダが擦り寄って来た。
「一週間休みをもらってたのを忘れててさあ⋯⋯あ、目が覚めたんならさぁ」
「ふふっ、もう! ステファンったらぁ」
次に二人が起きた時には既に夜が更けていた。
「こんな時間じゃ、もう一日泊まるしかないよなぁ。はあ、多分怒ってるよな」
「えー、もう尻に敷かれちゃってるとか、信じらんなーい。アマンダプンプンだよぉ」
頬を膨らませ可愛らしく腕を組んだアマンダの大きな胸が強調されてステファンの目が釘付けになった。
「⋯⋯え、ごめんごめん。そんなつもりじゃなかったんだ。アマンダの隣が居心地良すぎてさぁ」
「ホントかなぁ⋯⋯奥さんの方がお金持ちだから、アマンダ捨てられちゃうのかもぉ」
「そんなわけないだろ? 朝になったら買い物に行こう、んで好きな物なんでも買ってあげるよ」
「きゃあ、流石ステファ~ン! だーい好きぃ」
メリッサの父の商会のツケで散々買い物をして豪華なレストランで食事をしたステファン達はそのままアマンダのアパートに戻って行った。
「せっかくの休みなのにこのままアマンダといられないなんて、マジでつまんないよなぁ」
明日は流石に帰らないとまずいと思ったステファンが呟くとアマンダが膝に座ってしなだれかかってきた。
「記憶喪失になっちゃえば? あのおばさんのことだけ忘れたことにしたら良いんだよ。ところどころ忘れちゃう記憶喪失もあるって聞いたもん」
「ところどころ⋯⋯おー、それ良いかも! すっごい便利じゃん」
「でしょ? アマンダねぇ、欲しいものがあるんだよね~」
アマンダがステファンのシャツのボタンを外しながら上目遣いで見上げ首を傾げた。
「な~んだ、早く言えば良いのに」
「うふふっ⋯⋯」
ステファンとアマンダは一週間の蜜月を過ごし、ドレスショップや宝飾店で生まれて初めての大人買いをした。レストラン・劇場・カジノ⋯⋯。商会の名前を出しても断られる店もあったが、金のないステファン達はツケの利く店を選んで豪遊して回った。
家に戻った時メリッサを上手く騙せると信じ込んでいるステファンの行動が全て記録されているとも知らず、買って帰ったビンテージだと信じているワインで乾杯をはじめた二人だった。
ステファンがアマンダと楽しく過ごしていた頃、メリッサは事務所でケニスと報告書を読みながらお茶を飲んでいた。
「ビンゴ⋯⋯」
「もし彼ならワッツ公爵家が下手に出てもおかしくないけど、絶対に関わったらダメだからな」
「確証を得る方法かぁ⋯⋯。もう一度酔わせるとか」
「俺の話聞いてる? マジで絶対にダメだからな!!」
「後はどうやって誘き出すかだよねぇ⋯⋯」
ケニスの反論は耳に入ってないらしいメリッサが腕を組んで報告書を覗き込んだ。
「コイツがもし仲間だったとしても、立場を考えたら自由に行動できる時間はそんなにないと思うんだ。今更昔の仲間に会いに来るとは思えない⋯⋯コイツだけは放置しよう」
「だからこそストレスが溜まってて弾けたいって思ってるんじゃないかと思うのよね、彼が一番欲しがるものって⋯⋯あ、思い出した。真珠だ!」
「⋯⋯異常な執着だって言う話だから間違いないとは思うけど、関わるのは危険すぎるよ」
独特の美しさを持つ真珠は神話にも多く登場し、愛・権力・富の象徴として数千年前から王族・貴族・聖職者等々に愛されてきた。
「真珠かぁ、それならいいのがあるじゃん。賭けの日まで少し時間があるし⋯⋯それまでにおねだりしてみる」
「頼むからアイツだけはやめよう。メリッサに何かあったら⋯⋯俺、生きてけないから」
「ケニスったら大袈裟だなぁ。確認だけならいいでしょう? このまま中途半端で終わらせるのはモヤモヤするから」
ケニスは引き続きワッツの周辺を詳しく調査することにして渋々引き上げて行った。
記憶喪失だったと言い張っているステファンが仕事に行っている間に、商会宛にあちこちから請求書が届いた。
「すご、人って一週間でこんなに使えるもんなんだ。流石にこれは⋯⋯放置しすぎたかも」
「実際はこれの10パーセントってとこだぞ?」
頭を抱えて机に頭をぶつけていたメリッサの手元を覗き込んだルーカスがニンマリと笑った。
「へ?」
驚いて見上げたメリッサの額にデコピンしたルーカスが自分の机に戻っていきながらゲラゲラと笑い出した。
「うちがツケ払いできる店には全部模造品やくず野菜を渡して頼んでおいたんだ。見た目だけ高価に見えるこの模造品と安い食材で誤魔化してくれってな」
「⋯⋯おお、父さんって流石商売人だね! 考えることが悪どい」
「褒めてねえじゃん」
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