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26.何も知らない
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その日からジェイクは朝はエリンと食事をし、昼は外出。夜は離れで妹と過ごしている。
「何となく言い出しづらくて、アリスには錬金術師を見つけたから屋敷に住んでもらってると言ってある」
「アリス様はおいくつなのですか?」
「私の2つ下だ」
「?」
「もしかして私の歳を知らないとか?」
エリンが頷くとジェイクは苦笑いして、
「本当に何もお互いの事を話し合っていなかったんだね」
ジェイクは24歳、19歳の時両親が事故で亡くなり爵位を継いだのだと知った。
「これからは色んなことを話し合っていけると嬉しい。今まで誤解させていて本当にすまなかった」
逃げ出した錬金術師はなかなか見つからず、エリンは屋敷から出られないでいた。
離れに人が住んでいることはまだ誰にも知られてなかったので、引き続きアリスは離れに住むことになった。
王宮から錬金術師登用の御触れが出されたが、勿論名乗りを上げたものはいない。
エリンは定期的に回復薬その他を王宮に届けているが、その中にはアリスが作った物も含まれているらしい。
一人で夕食をとっている時、イライザとバイオレットがやって来た。
ジェイクは既に離れに行った後だったので、エリンは一人応接室で対面した。
今日はいつもに増してゴテゴテと派手に着飾っているイライザと、娼婦のように胸を見せつけたドレスを着たバイオレットがソファに座っていた。
「ジェイクは? 今日もいないの?」
「はい、出かけておいでです」
「まぁいいわ、今日はエリンに話があってやってきたの。
私があなたのお父様から離婚の申し立てをされたのを知ってるかしら?」
お父様は離婚したと仰っていたけど・・と思いながらエリンは頷いた。
「それなら話が早いわ、お父様を説得してちょうだい。
離婚を取りやめにするか慰謝料を払うかどちらかにさせなさい」
「何故そんな事をしなくてはいけないんでしょうか?」
「あなたのようなお馬鹿さんには分からないのね。
慰謝料もなしで放り出されたらこれから先やっていけないのよ」
「伯爵様のところに帰られたのでは?」
「お父様は援助してくださらないって仰るの。この歳になってコブつきで出戻ったなんて恥ずかしいって」
「私にはどうにも「出来るに決まってるでしょう! お前はお父様のお気に入りだし、こんな立派なお屋敷に住んで。お父様が駄目ならお前が援助してくれてもいいのよ」」
「お断りします」
「何ですって? 下手に出てたらいい気になって、長年世話をしてやった恩も忘れて何様のつもり?
妹が可哀想だと思わないの?」
「世話をしていただいた覚えはありませんし、バイオレットの事を可哀想だとも思えません。
それにバイオレットは妹じゃないって聞きました」
「何ですって!」
イライザは立ち上がりエリンの腕を掴もうとしたがエリンはそれをかわして、
「イライザ様は気に入らない事があるといつも鞭で叩いたり食事抜きにしたりなさいました。
バイオレットは私の持っている物を何でも欲しがって持って行ってしまって。
挙句、大勢の前で婚約破棄されました」
腰に手を当て仁王立ちしたイライザは、鼻をふんと鳴らし、
「それはお前が薄鈍だからよ。
躾をしてやってたんだから感謝されて当然です」
「私だってそうだわ、あんたより私の方が魅力があったからデイビッドが私に惹かれたんじゃない」
「でしたら、ラルセル公爵家に行かれては如何ですか? 婚約者とその母親なら助けてくれるのではありませんか?」
「デイビッドに頼めないって知ってるんでしょう? 婚約破棄されたんだから」
「知りませんでした。でも、私にはもう関係ありませんから。
二度とここには来ないでください」
ドアが大きく開き、執事から連絡を受けたジェイクが入ってきた。
「何となく言い出しづらくて、アリスには錬金術師を見つけたから屋敷に住んでもらってると言ってある」
「アリス様はおいくつなのですか?」
「私の2つ下だ」
「?」
「もしかして私の歳を知らないとか?」
エリンが頷くとジェイクは苦笑いして、
「本当に何もお互いの事を話し合っていなかったんだね」
ジェイクは24歳、19歳の時両親が事故で亡くなり爵位を継いだのだと知った。
「これからは色んなことを話し合っていけると嬉しい。今まで誤解させていて本当にすまなかった」
逃げ出した錬金術師はなかなか見つからず、エリンは屋敷から出られないでいた。
離れに人が住んでいることはまだ誰にも知られてなかったので、引き続きアリスは離れに住むことになった。
王宮から錬金術師登用の御触れが出されたが、勿論名乗りを上げたものはいない。
エリンは定期的に回復薬その他を王宮に届けているが、その中にはアリスが作った物も含まれているらしい。
一人で夕食をとっている時、イライザとバイオレットがやって来た。
ジェイクは既に離れに行った後だったので、エリンは一人応接室で対面した。
今日はいつもに増してゴテゴテと派手に着飾っているイライザと、娼婦のように胸を見せつけたドレスを着たバイオレットがソファに座っていた。
「ジェイクは? 今日もいないの?」
「はい、出かけておいでです」
「まぁいいわ、今日はエリンに話があってやってきたの。
私があなたのお父様から離婚の申し立てをされたのを知ってるかしら?」
お父様は離婚したと仰っていたけど・・と思いながらエリンは頷いた。
「それなら話が早いわ、お父様を説得してちょうだい。
離婚を取りやめにするか慰謝料を払うかどちらかにさせなさい」
「何故そんな事をしなくてはいけないんでしょうか?」
「あなたのようなお馬鹿さんには分からないのね。
慰謝料もなしで放り出されたらこれから先やっていけないのよ」
「伯爵様のところに帰られたのでは?」
「お父様は援助してくださらないって仰るの。この歳になってコブつきで出戻ったなんて恥ずかしいって」
「私にはどうにも「出来るに決まってるでしょう! お前はお父様のお気に入りだし、こんな立派なお屋敷に住んで。お父様が駄目ならお前が援助してくれてもいいのよ」」
「お断りします」
「何ですって? 下手に出てたらいい気になって、長年世話をしてやった恩も忘れて何様のつもり?
妹が可哀想だと思わないの?」
「世話をしていただいた覚えはありませんし、バイオレットの事を可哀想だとも思えません。
それにバイオレットは妹じゃないって聞きました」
「何ですって!」
イライザは立ち上がりエリンの腕を掴もうとしたがエリンはそれをかわして、
「イライザ様は気に入らない事があるといつも鞭で叩いたり食事抜きにしたりなさいました。
バイオレットは私の持っている物を何でも欲しがって持って行ってしまって。
挙句、大勢の前で婚約破棄されました」
腰に手を当て仁王立ちしたイライザは、鼻をふんと鳴らし、
「それはお前が薄鈍だからよ。
躾をしてやってたんだから感謝されて当然です」
「私だってそうだわ、あんたより私の方が魅力があったからデイビッドが私に惹かれたんじゃない」
「でしたら、ラルセル公爵家に行かれては如何ですか? 婚約者とその母親なら助けてくれるのではありませんか?」
「デイビッドに頼めないって知ってるんでしょう? 婚約破棄されたんだから」
「知りませんでした。でも、私にはもう関係ありませんから。
二度とここには来ないでください」
ドアが大きく開き、執事から連絡を受けたジェイクが入ってきた。
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